【イベント報告】3月25日中高生春休み人権セミナー 私たちの未来×人権×生きづらさ

HRNは、3月25日に玉川聖学院で春休み人権セミナー「私たちの未来×人権×生きづらさ」を開催しました。今回は、女性の人権に焦点を当てながら身近な人権問題について議論しました。

HRN理事の三浦まり氏(上智大学教授)は女性のアクティビズムについて話しました。近年、トランプアメリカ大統領の女性差別発言やハリウッドのセクハラ疑惑が発端となり、ウィメンズ・マーチや#M e Too運動が起きています。これらの動きに世界各地の女性たちが立ち上がり、語られなかった女性への人権侵害の事実が白日の下にさらされました。今日の女性のアクティビズムは、運動へのバッシングの声が多くみえるようになった一方で、様々な立場の人が参加する運動となってきています。しかし、このような世界のムーブメントに日本は乗れていません。この理由として三浦氏は「強いバッシングがあるから」などと説明し、参加している中高生に向けて「若者世代で取り組めることをやってほしい」と語りました。

 

続いて登壇したHRN事務局長の伊藤和子氏は、伊藤詩織さんの元テレビ記者からの準強姦被害事件を例に日本での性暴力問題について話しました。伊藤氏は「日本で#M e Too運動が危険」と言います。実際に詩織さんは勇気を出して声を上げたにもかかわらず、その声以上のバッシング被害に遭い、詩織さんは活動拠点をイギリスに変えざるを得ませんでした。また、伊藤氏はテレビ番組が行ったアンケート調査から「性行為の同意があったと思われてもしかたがない行為」として男性は「泥酔している」、「2人っきりで車に乗る」、「露出の多い服装を着ている」と思っていることが判明したと紹介。最後に伊藤氏は「人権は行使していかなければダメになる」「声を上げなければ暗黙のルールになってしまう」と言い、声を上げることの重要性を訴えました。

 

次は、雨宮処凛氏(活動家)と伊藤氏による対談が行われました。多くの社会問題に取り組む雨宮氏ですが、今回は“生きづらさ”をテーマに話してもらいました。日本社会では、就職をしてもセクハラやパワハラで追い詰められ、自殺を選んでしまう方や、親からの虐待によって義務教育すら受けることができず、貧困に陥ってしまう方など様々な問題が浮かび上がってきています。そのような状況でも「今の日本社会の状況がおかしいんじゃないかと声を上げる若者たちが出てきた」と雨宮氏は言い、ある女の子のスピーチ映像を流しました。スピーチでは日本社会の生きづらさがリアルな言葉で表現されていました。スピーチの「『お前より大変な人はいる』『社会のせいにするな』と言われるけど、そんなこと言われたってお腹いっぱいにはならない!あとどれぐらいかわいそうになれば、満足なんだよ!?」という言葉は参加者の心にささるものでした。

 

休憩を挟んだ後には、スピーカーと中高生の代表でパネルディスカッションが行われました。昨年の「世界子どもの日 映像スピーチコンテスト」で最優秀賞を受賞した伯野寧さんからの「多くの人に女性のアクティビズム、フェミニズムを伝えていくためには、どんな風に話せばいいのか」という質問に三浦氏は「前はフェミニズムというと女性の権利を声高に叫んでいるという誤ったイメージがあった。しかし今はそのイメージが変わってきて、カナダのトルドー首相など男性でもフェミニストを公言するようになってきている。まずは、フェミニズムはかっこいいということを説明し、傍観者にならない男性を増やしていくことが重要」と答えました。一方、伊藤氏は「もっと怒った方がよい」と話しました。「私は法律的な観点からおかしいと思ったら、声を上げている。バッシングもあるが、それでも状況が変わったことも実感している」と話し、伝え方を工夫する人もバッシングを気にせず声を上げる人も必要であることを説明しました。

 

最後には参加者がグループに分かれ、今日のセミナーの感想や身近な人権問題についてグループディスカッションが行われました。ディスカッションの後には各グループで議論の内容が発表され、様々な意見を共有することができました。

登壇者のみならず中高生、そして参加者ひとりひとりが自分の意見を「声」にした当イベント。勇気がいるかもしれませんが、当イベントによってみなさんが「声をあげる」ための一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。