【共同声明】日本政府は民主化勢力、少数民族勢力を不当に排除する総選挙の強行に反対し、国連安全保障理事会および人権理事会において真の民主化プロセスのために主導的な役割を果た

ヒューマンライツ・ナウは、4月28日、7団体とともに外務省へ共同申入書を提出いたしましたので、ご報告いたし
ます。
PFB事務局
外務大臣 岡田 克也 殿
ビルマ(ミャンマー):
日本政府は民主化勢力、少数民族勢力を不当に排除する総選挙の強行に反対し、国連安全保障理事会および人権
理事会において真の民主化プロセスのために主導的な役割を果たすべき
ビルマ軍事政権(SPDC)は2008年に一方的に制定した新憲法につづき、今年3月、総選挙に関連する5つの法律を
発表しました。しかし、これらの選挙関連法、とりわけ、3月8日に発表された政党登録法は、事実上、国民民主
連盟書記長のアウンサンスーチー氏をはじめとした2,100人以上の政治囚を含む民主化勢力・少数民族勢力を完
全に排除した内容となっており、全ての勢力が参加した自由かつ公正な選挙の実施とはまったく相いれないもの
であります。私たちは軍政による一方的な新憲法の制定につづき、このような不当な選挙法のもとで総選挙が強
行されようとしている事態を非常に憂慮しています。
これまで日本政府はビルマ軍事政権に対して「すべての関係者に開かれた公正な選挙となるよう」要請してきま
したが、民主化勢力や少数民族勢力を完全に排除した今回の選挙関連法は、ビルマ軍事政権は国際社会からの声
のみならず、民主化を希求する国民の声を完全に無視し、真の民主化に向けた歩みを進める意欲が完全に欠如し
ているという事実を改めて浮き彫りにしました。
これでは全ての関係者による開かれた選挙どころか、民主化に逆行するものというほかありません。民主化勢力
、各少数民族勢力はビルマ連邦の主要な当事者であり、彼らが民主化改革のプロセスに参加できない限り、ビル
マの国民和解は到底実現しえません。今こそ国際社会が単なる言葉による非難を越えて、多国間の緊密な連携に
より、民主化の進展に向けた踏み込んだ外交努力を行うべき時であります。
私たちは日本政府に対し、総選挙の前に、以下の2点が実現されるようビルマ軍事政権に強く働きかけることを
要請します。
1. アウンサンスーチー氏を含む全ての政治囚を無条件で釈放し、民主化活動家と少数民族に対する弾圧を停止
すること。
2. アウンサンスーチー氏を含む民主化勢力、少数民族代表者ら全ての関係者とともに、2008年新憲法および選
挙関連法にある民主主義的原則にそぐわない条項の見直しを含む実質的な対話を行うこと。
すべての政治囚の釈放、集会、結社、表現の自由への抑圧の停止、少数民族勢力への武力攻撃の停止なくして、
人々が迫害を受けることなく民主化プロセスに参加することは不可能です。もし、これらの点が実施されないま
ま総選挙が強行された場合、日本政府は選挙の結果がビルマ国民の意思を反映したものとして認めることはでき
ないとビルマ軍事政権にはっきりと伝え、これまでのビルマに向けた日本政府の外交方針を抜本的に転換させる
べきだと考えます。国際的な武器禁輸措置や、軍政が犯しているとされる人道に対する罪について調査するため
の国連調査委員会の設置など、これまで以上に実質的な行動がとられるべきです。そうでなければ、圧政のもと
で苦しみつづけるさらに多くのビルマ国民を見過
ごすことになるでしょう。
日本は民主主義国家として、また、ビルマへの主要な支援国として、現在のビルマの状況を看過してはなりませ
ん。私たちは、日本政府が、ビルマ国民の希望を考慮し、国連安全保障理事会および人権理事会において、ビル
マの人権状況の改善と真の民主化プロセスのために主導的な役割を果たすよう、ここに強く要請いたします。
以上
2010年4月28日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
ビルマ市民フォーラム
ビルマ情報ネットワーク
ヒューマン・ライツ・ウォッチ
特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ
国民民主連盟 解放地域 日本支部(NLD LA JB)
全ビルマ学生連盟外交委員会ABFSU(FAC)
在日ビルマ人共同行動実行委員会 (JAC)