【声明】ロヒンギャ 人道に反する過酷な人権侵害を止めるために、国際社会は一致した行動を

ヒューマンライツ・ナウは本日2017年11月14日、声明「ロヒンギャ 人道に反する過酷な人権侵害を止めるために、国際社会は一致した行動を」を公表しました。

 

声明「ロヒンギャ 人道に反する過酷な人権侵害を止めるために、国際社会は一致した行動を」

1  ミャンマー・ラカイン州のロヒンギャ住民への迫害、人権侵害は極めて深刻な状況にある。国連によれば、隣国バングラデシュに逃れた住民は60万人を超えたとされる。

 約100万人の人口と言われるロヒンギャ住民の約6割が避難しなければならない状況は明らかに尋常ではない。

 東京を本拠とする国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、ロヒンギャ住民の人権状況と難民化した住民の人道危機に深刻な懸念を表明する。

2  イスラム教徒のロヒンギャ住民はミャンマーで長年にわたり差別・迫害を受けてきた。

 昨年10 月 9 日、ラカイン州北部で、武装集団が治安部隊を襲撃、これに対する治安部隊の掃討作戦がロヒンギャ住民を標的とし、治安部隊による住民の超法規的殺害、レイプと性的暴行、恣意的拘禁と拷問、住居やモスクの焼き討ちなどの深刻な人権侵害を伝える様々な報道、報告が寄せられたが、国軍も政権も人権侵害を否定、北部地域への立ち入りを禁止し、人道物資のアクセスも、メディアの取材も大幅に制限した。

さらに、今年3月に国連人権理事会決議で設置された、国連の独立事実調査団も受け入れず、公正・中立な第三者による真相究明と責任者の処罰に背を向けてきた。

3  今年8月25日に反体制グループ「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)が複数の警察施設を襲撃したことを機に、ミャンマー軍がロヒンギャ住民に対し軍事行動を展開し、その攻撃は、単に反政府グループを掃討するにとどまらず、民間人も標的とした著しく不均衡で過剰なものである。

 バングラデシュに逃れた難民たちは殺害、レイプ、村の焼き討ち等、極めて深刻かつ残虐な人権侵害について克明に証言している。また、広範な居住地に火をつけた焼き討ちにより、村が破壊され、ロヒンギャ住民の生活の本拠がほとんど破壊されたことは証拠上も明らかである。

 ザイド国連人権高等弁務官は、9月に開催された国連人権理事会冒頭で、ロヒンギャに対する国軍の行為について、「民族浄化の教科書的見本」であると強く非難した。

4   国際社会は一致して、これ以上の人権侵害と人道危機を阻止するために行動すべき

 アウンサンスーチー国家顧問は、難民の帰還を認める方針を示している。しかしながら、人権侵害に対する国連の独立調査を拒絶し、軍の人権侵害に対する責任を不問に付せば、問題の根本原因は解決せず、住民は再び過酷な人権侵害、虐殺に脅えることとなろう。

 破壊された居住地域を尊厳をもって生きられる地域に回復することと同時に、軍、治安部隊の人権侵害について説明責任を果たすことが急務である。

 ニューヨークでは国連総会第三委員会で、ミャンマー・ロヒンギャ問題に関する総会決議の採択が予定されている。昨年、国連総会はミャンマーに関する決議を採択せず、国際社会としての一致した意思を示せなかったが、今回は国際社会として一致した態度を明確にすることが必要である。国軍、治安部隊による人権侵害を非難し、これ以上の住民への軍事作戦を停止すること、人道支援、メディアのアクセスを認めること、一刻も猶予のない難民への人道支援への努力を加速化させること、そして、人権侵害の真相究明と責任追及のために、国連の独立事実調査団を含めた国際社会のメカニズムを受け入れることを総会決議は明確にする必要がある。すべての加盟国に対し、決議への賛成を求めたい。

 一方、国連安全保障理事会は、11月7日にロヒンギャ問題で議長声明を発表した。

 ここでは、治安部隊等のロヒンギャ住民への人権侵害を非難し、政府にこれ以上の過剰な軍事行動をしないことを求めるとともに、人道支援を進めていくこと等を強調した。

 しかし、安保理の対応は危機に即して十分なものとはいえない。私たち世界の人権NGOは88団体共同で、事態の重大さにかんがみて、軍関係者へのターゲット制裁、ミャンマーへの武器禁輸等の制裁措置がとられることを求める声明を公表している。

今後の事態に進展に応じてこうした措置を真剣に検討していくべきである。

そして、各国政府は、安保理決議を待つことなく、ミャンマー軍への軍事援助・協力を停止し、人権侵害に加担しない姿勢を鮮明にすべきである。

ヒューマンライツ・ナウは、これ以上の虐殺、人道に反する人権侵害、そして民族浄化を許さないために、多国間での一致した明確な意思表示と行動を求める。

同時に、バングラデシュ等に避難した難民への緊急かつ十分な支援を最優先課題とすべきである。

最後に、ヒューマンライツ・ナウは、ミャンマー政府に対し、軍の人権侵害の即時停止と徹底した調査の実施、ロヒンギャ住民およびイスラム教徒へのヘイトスピーチと差別への包括的な対策の策定と実施、8月に公表されたコフィアナン元国連事務総長を委員長とする政府の諮問委員会の出した勧告を誠実に実施し、構造的な差別や貧困問題を解決し、ロヒンギャの市民権を剥奪している1982年の「国籍法」を再検討することを強く要請する。

                                   以上