【報告書】国際スタンダードに基づくDV防止法等の改正に向けての調査報告書

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、2012年より、日本における女性に対する暴力、
特にDV、いわゆるデートDV、DV型ストーカー事案に対する被害者保護のための法制度と
運用のあり方について調査をし、このたび、調査報告書を公表いたしました。
DV法制定から10年が経過した今日も、女性に対する暴力の被害者保護・救済が十分に
行われないまま、女性や親族の殺害という最も痛ましい事件が近年も相次いでいます。
ヒューマンライツ・ナウはNPO法人全国シェルターネットの協力を得たアンケートを実施、
弁護士会や実務家の情報、判例等を収集したうえで、現在の制度と運用の不備を指摘、
国際スタンダードに基づく法改正として、DV防止法上の暴力の範囲を拡大すること、
DV防止法で保護される対象者に交際相手・元交際相手からの暴力被害者を含めること、
緊急命令制度の導入、ストーカー規制法の禁止命令の手続を抜本的に改革すること、
司法・警察機関の研修の強化、女性に対する暴力に関する包括的な立法の制定等を提言しました。
本提言は、ヒューマンライツ・ナウが昨年12月にUN Womenアジア太平洋地域ディレクターを
招聘して開催した国際シンポジウム「国際スタンダードに基づくDV法等の改正に向けて」における
提言内容を補強したものです。
本調査と提言作成にご協力をいただいたすべての皆様に感謝申し上げます。
今通常国会で、DV防止法第三次改正案、ストーカー規制法改正案が審議されており、
その内容は一歩前進と評価することができますが、急浮上した改正であり、与野党が
市民社会や被害者・支援者の意向を十分に反映した抜本改正とはいえません。
市民社会からDV防止法改正等を求め、支援現場の切実な問題を解決し、国際スタンダードに
かなった法改正を求める地道な取り組みと様々な要望が寄せられてきました。
ヒューマンライツ・ナウは、今通常国会での法改正に加え、さらに抜本的・包括的な
制度改革を求め、本意見書を公表いたします。
是非、今後の抜本的な制度改革に向けてご活用いただければ幸いです。
                      ヒューマンライツ・ナウ 事務局長 伊藤和子
                      同  女性の権利プロジェクト代表 後藤弘子 / 雪田樹理