ヒューマンライツ・ナウは、2016年8月から調査員をミャンマーに派遣し、現地NGO Action Labour Rights[1]と共に、ミャンマーの縫製工場における労働環境に関する調査を行ってまいりました。ヒューマンライツ・ナウは、本件調査の過程で、株式会社ミキハウストレード(以下「ミキハウストレード」。)、及び、株式会社ルシアン(以下「ルシアン」。ルシアンは株式会社ワコールホールディングスの子会社)の委託先工場の労働者にインタビュー調査を行いました。ヒューマンライツ・ナウでは、調査結果を踏まえて声明を公表しました(声明の全文は以下のリンクをご覧ください。)。
調査の結果、ミキハウストレードの委託先工場では、HRNが短期間に調査を行っただけでも、労働法に違反する長時間残業の強要、低賃金・給与の支払遅延、劣悪な労働安全環境、雇用契約書の不交付、産休を含む女性労働者の保護の欠如など、深刻な労働者の権利侵害の訴えが確認されました。なお、ミキハウストレードは、ヒューマンライツ・ナウの指摘を受けて株式会社エナジェティック・グリーンを中心とする第三者機関に調査を依頼し、2017年1月13日付で第三者機関が作成した調査報告書が公表されています[2]。
また、2016 年8月の行なったインタビュー調査の結果、ルシアンの委託先工場においても、労働安全環境が、ミャンマーの労働法の保障を下回ることが確認されました(なお、ヒューマンライツ・ナウが受領した2017年1月10日付のルシアンからの回答書によれば、労働安全環境の問題の一部については、その後改善措置が取られています。)。その他、最低賃金違反の疑い、及び、女性労働者への保護の欠如に関する労働者の訴えが確認されています。なお、ルシアンは、2017年1月25日付で、ヒューマンライツ・ナウの指摘を踏まえたプレスリリースを公表しております[3]。
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」 に基づき、企業には、(i)自らの活動を通じて人権に負の影響を引き起こしたり、助長することを回避し、そのような影響が生じた場合には、これに対処し、(ii)たとえその影響を助長していない場合であっても、取引関係によって企業の事業、製品またはサービスと直接的につながっている人権への負の影響を防止または軽減するように努めることが求められます。
ヒューマンライツ・ナウでは、ミキハウストレード、及び、ワコール(ルシアン)の委託先工場に対し、ヒューマンライツ・ナウの声明その他の調査で明らかになった問題を改善すること等を勧告しています。また、指導原則を踏まえて、ミキハウストレード、及び、ワコール(ルシアン)に対して、ミャンマーのその他の下請け会社、製品委託会社に対し、国際人権・労働基準及びミャンマー法を明確に遵守するように促進し、労働者の権利侵害の是正に主体的役割を果たすこと等を要請しています。
[1] http://www.actionlaborrights.org
[2] http://energeticgreen.com/blog/2017/01/13/mikireport/
[3]http://www.lecien.co.jp/news/files/ミャンマーの取引先工場における労働環境に関する指摘について20170125.pdf
ヒューマンライツ・ナウが公表した声明の全文については、以下をご参照ください。