特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ震災プロジェクトは2011年7月9日、10日に、福島県南相馬を訪問し、被災地の実情を調査しました。これは、2011年4月30日の最初の訪問から約2か月以上経過した地点での調査にあたります。
現地では、被災地域、避難所、仮設住宅等を訪問し、被災者、原発周辺住民の訴えなどを聞きました。また、調査・訪問した弁護士が法律・生活相談を行い、その過程でも様々な不安・懸念などが市民から表明されました。
こうした相談を受けて、ヒューマンライツ・ナウ震災プロジェクトは、行政に対し直接、市民の不安に対しどのような対応をしているのかを具体的なケースに即して問い合わせました。しかし残念ながら、行政の回答からは、市民の懸念や困窮に十分に応える対応を行っているとはいえない状況が浮き彫りになりました。
調査・訪問の結果、南相馬の避難者・市民が生活の全般において先の見えない、困難な状況に置かれていることは明らかです。
その原因は未だ終息しない原発事故の深刻な影響であることは疑いないものの、市民の人権を保障する責務を負う政府・自治体として適切な対策をとることは急務です。
本書は、被災地の深刻な実情について多くの人に知っていただくため、迅速に調査の結果を記した簡易報告書です。
調査結果を踏まえ、ヒューマンライツ・ナウ震災プロジェクトとしては当面の差し迫った課題として、特に、本書末尾のとおり、行政等の真摯な対応をとるよう勧告を行っています。政府、自治体に対し、速やかに被災者保護の適切な措置を取られるよう求めるものです。
※意見書は日本赤十字社からの情報提供等に基づき2011/8/1に改訂しています。