【報告】「ファーストリテイリング社下請・​委託工場の労働環境改善に関する質問・要請​書 」に対する回答を受けて

東京を本拠とする国際人権NGOヒューマンライツ・ナウと香港のNGO・SACOMらがユニクロ中国委託先工場の過酷労働に関する調査報告書を公表してから一年が経過しました。

ヒューマンライツ・ナウは、この報告書公表直後にファーストリテイリングが公表した、委託先工場での労働環境改善に関する行動計画に関し、モニタリングをし、抜本的な改善策の実施と進捗状況の情報公開を求めてきました。

ヒューマンライツ・ナウは改善状況が十分でないことにかんがみ、2015年11月7日付で、ファーストリテイリング社に対し、公開の質問・要請書「ファーストリテイリング社下請・委託工場の労働環境改善に関する質問・要請書 」を送付し、2か月以内の回答を求めました。

2016年1月6日、ヒューマンライツ・ナウは、上記質問・要請書に対する回答をファーストリテイリング社より受け取りましたので、公表します。

まず、当団体の質問・要請事項に対し、ファーストリテイリング社が期限内に実質的な回答が寄せられたことは評価することができます。

回答書には、問題点を受け止めて改善する姿勢が見うけられ、生活賃金実現に向けた社内プロジェクト化、カンボジアにおいてILOが主導する労働環境モニタリング・スキームであるBetter Factories Cambodiaへの加入など、当方の要望に応える改革の実施や検討がなされている点を確認することができました。

しかし、生活賃金については「複雑な課題」との認識を示し、また当団体が求めてきたサプライヤー・リストの公表は実施しないとしており、課題が残されています。
さらに、化学物質、長時間残業等、未だ重大な懸念のある分野も残されており、当団体としては引き続き、改善状況を監査し、必要に応じて質問や改善提案を進めていく所存です。

また、SACOMは2015年11月にユニクロ委託先工場に関する新たな調査報告書を公表しており、当団体としてはその内容を精査中であり、ファーストリテイリングの対応にも注目しています。

当団体は、今後も日本をリードするファッションブランドのサプライ・チェーンにおいて働く多数の労働者の権利が適正に保障されることを求め、引き続きファーストリテイリング社の委託先工場における労働環境改善を求めていきます。

ファーストリテイリング社からの回答全文はこちら 「貴社下請 ・委託工場の労働環境改善に関する質問・要請」への回答 [PDF]