【活動報告】ユニクロ製造請負工場の労働者の不当解雇について工場側が是正措置に合意しました。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウでは、ファーストリテイリング株式会社(FR社)のカンボジア国内製造請負工場(Zhong Yin B (Cambodia) Texitile Co.Ltd.) における労働者の不当解雇について、今年9月、FR社に世界各地の市民団体等と共同して公開書簡を送付、2016年10月13日には、東京で、NGO共同記者会見を開催しました。同日には、ユニクロ銀座本店で店頭呼びかけ行動も行われました。

公開書簡 http://hrn.or.jp/activity/8819/

会見等  http://hrn.or.jp/activity/8981/

この直後、10月14日から19日にかけて工場経営陣とカンボジアの労働組合であるC.CAWDU(Coalition of Cambodian Apparel Workers’ Democratic Union:カンボジアアパレル労働者民主連盟)の間で交渉が行われ、工場側が労働者の不当解雇について是正措置を取ることが合意されましたので、当方が入手した資料をもとに以下、報告いたします。

 

■2016年10月19日に合意された工場経営陣側の是正措置の主なポイント■

  1. 工場側は、2015年12月に仲裁評議会が復職を命じた46名の労働者を復職させ、解雇の日から復職する日までの期間における賃金の80%を支払う。
  2. 現在仲裁評議会で審議されている、54名の労働者の解雇事例については、仲裁評議会における仲裁手続きを進めること、その決定に従うことを合意する。
  3. 両当事者は、労働者、活動家、経営側に対して提起したすべての訴訟を取り下げる。

 

C.CAWDUによれば46人の労働者の職場復帰は12月15日、補償の支払いは10月24~28日とされています。

この件ではFR社も10月19日、以下の声明を公表しています。(http://www.fastretailing.com/jp/csr/news/1610191500.html)

 

■ユニクロ・カンボジア国内製造請負工場における労働者大量解雇の概要■

  • FR社のサプライヤーであるZhong Yin B工場の50名余の労働者が、2015年9月にカンボジアの労働組合であるCAWDUにおける活動を理由に解雇されました。2016年12月、カンボジアの仲裁委員会は全員の職場復帰を命じましたが、会社側はこれを拒絶。2016年、こうした会社側の姿勢を抗議するため、Zhon Yin B工場の同僚労働者がストライキをおこしましたが、大量解雇されました。
  • さらに、工場経営陣は、解雇された50名余の労働者を被告として、労働契約終了を確認する訴訟を提起しました。
  • 2015年9月の解雇から、1年が経過し、一部には諦めてしまった労働者たちもいましたが、100名を超える労働者たちは依然として復職を求め続け、彼らや家族の生活は困窮を極めました。
  • こうしたなか、三大陸の市民団体は連携して、Zhong Yin B工場の主要委託元であるFR社に対し、サプライチェーンのトップにある者として人権侵害を回復する措置を取るよう求め、書簡を送り、行動を開始しました。そうした矢先に、本件は解決したこととなります。

 

ヒューマンライツ・ナウでは、引き続き、工場側が合意をきちんと履行するよう、また、FR社がカンボジア製造請負工場の労働者の人権を保障するとともに、サプライチェーン全体における人権の尊重をさらに促進するよう、モニタリングしてまいります。

本件キャンペーンに参加、報道、そしてご注目をいただいたすべての方に感謝するとともに、今後とも本件についてご注目いただくようお願いいたします。