【声明】新型コロナウィルス感染拡大防止策における人権保障を求める

ヒューマンライツ・ナウは「声明:新型コロナウィルス感染拡大防止策における人権保障を求める」を発表いたしました。

新型コロナウイルスの感染拡大によって世界と日本の人々の命と健康が損なわれていることに深刻な懸念を表明し、この事態に立ち向かう医療従事者その他のサービスセクターの尽力に心より敬意を表明します。
そのうえで、感染拡大が進む日本の現状において政府が感染防止策を取るにあたり、人権の観点から、施策を要望し声明を発表いたしました。

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声明:新型コロナウィルス感染拡大防止策における人権保障を求める

2020年4月7日

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ

 

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、新型コロナウイルスの感染拡大によって世界と日本の人々の命と健康が損なわれていることに深刻な懸念を表明し、この事態に立ち向かう医療従事者その他のサービスセクターの尽力に心より敬意を表明します。

そのうえで、感染拡大が進む日本の現状において政府が感染防止策を取るにあたり、人権の観点から、以下のとおり、施策を講じることを要望します。

 

1 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って発生する人々の経済的損失に対する適切な補償を進めること

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「イベント自粛要請」「外出自粛要請」により、多くの産業が活動停止や大幅な縮小を余儀なくされ、事業が立ちゆかなくなる事態に直面しています。

新型インフルエンザ対策等特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されれば、経済活動への打撃はさらに決定的なものになります。

食や観光、エンターテイメント、スポーツ等は特に打撃を受け、古くから守り育ててきた企業ブランドや大切な事業、文化的活動そのものが、壊滅的危機に瀕しています。こうした事業の損失は経済的損失であるだけでなく、社会的、文化的損失です。また、多くの人が職を失えば、生活は危機に瀕し、住居を追われ、教育の機会を失うなど、居住、教育、労働、生存権が侵害される事態も広範に発生すると予想されます。このような生活基盤の損失への不安が解消されなければ、感染のリスクを冒して出勤・外出する人も大量に生じかねません。

憲法25条は、すべての国民に、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)を保障しています。また、社会権規約11条は、自己とその家族のための適切な食料・衣類・住居を内容とする適切な生活水準についてのすべての者の権利を認めています。

法律に基づく自粛要請等によって経済活動の停止や大幅な縮小を余儀なくされたことで、勤労によって自らの生活を支えることができなくなった人に対しては、生活保護の制度を柔軟に適用する、家賃や光熱費の負担を国の負担において当面免除する、個々人とその家族のための食料確保のために必要な費用を国が支給するなどの施策を迅速に取るべきです。感染という生命・健康への権利を守るために何人もその生活基盤である事業、住居、教育などを奪われることがないよう、生活水準を不均衡に低下させることなく従前の生活を送れるよう、十分な支援と補償がなされるよう要請します。

中小企業やフリーランス、個人事業主、芸術家へのまとまった支援をするとともに、非正規雇用者、技能実習生をはじめとする外国人労働者など、経済的打撃を受けやすい層が苦境に陥らないような支援が必要です。

OECD諸国を中心に、市民の苦境に対応するため、かつてない経済的社会的支援策が導入されています(別表参照)。[1]日本でも、人々の生存と生活を守るため、誰もが取り残されない十分な生活支援策の実施を早急に行うことを求めます。

 

2 検査と治療へのアクセスを保障すること

健康に対する権利を確保するため(社会権規約12条)に、政府は市民に対し、可能な限り、検査と治療の機会を提供し、アクセスを保障することが求められています。PCR検査は疑わしい症状を呈するすべての人に対し、差別なくアクセス可能なかたちで提供される必要があります。

英オックスフォード大学の研究者らでつくるグループの調査から、日本でのPCR検査の数が他の感染拡大国に比較して数として著しく少なく、特に人口比で検査を受けた人が著しく少ないことが明らかになっています。

4月4日までの統計で人口100万人当たりの検査数は韓国が8600件以上、フランスが約3412件、日本が約312です。[2]

国は検査の抑制は行っていないとしていますが、検査を受けるためのハードルは高く、疑わしい症状にり患した者がどこへ行けば検査を受けられるのか、情報も不足している状況です。

政府が軽症者を病院以外の施設に移す方針を決定したのは積極的なニュースですが、今後感染拡大防止のための効果的な措置を、時機を逸することなく講じ、治療につなげるために、検査をよりアクセス可能なものにすることを要請します。

 

3 差別禁止と脆弱な人々の保護を徹底すること

政府による支援策と健康のための措置は、性別、性的指向、年齢、障害の有無、民族、国籍の差別なく実施される必要があります。

高齢者・障害者・妊産婦など、特に脆弱な立場に置かれた人への配慮とともに、こうした事態で後回しにされやすい、特に入管や拘置所などの施設に収容されている人々や外国人、言語的・民族的マイノリティ、非正規雇用労働者、貧困状態にある人たちに対して特別の配慮がなされ、取り残されることがないように支援されるべきです。ホームレス、ネットカフェ難民、住居を失う人たちへの住居などの支援は急務です。

また、雇用調整助成金を受給した企業が非正規雇用労働者の雇用の維持にはこれを活用しないような制度の悪用を監視し、労働者の安全と雇用を守ることが求められます。

さらに、危機的状態で特に影響を受けやすい脆弱な立場の人々への特別の支援策も拡充される必要があります。外出制限によりDVや虐待が増加することは諸外国でも明らかになっており、日本でも相談件数が増えています。欧州等諸外国では緊急な施策が導入されています(別表 DV対策の項参照)。

日本でも支援を抜本的に拡充すること、自宅待機といった状況でもアクセスできる、終日対応可能な相談窓口の設置といった実効性のある対策の導入と、支援団体への即時の支援が求められます。

経済的な理由で子どもたちがオンライン授業などの教育の機会を奪われることのないよう、教育の支援も求められます。

危機においては排外主義や差別が深刻化しやすい傾向が見られますが、政府は外国人や民族的マイノリティにも等しく支援をすることを明確に表明し、ヘイトスピーチとは闘うべきです。

 

4 感染拡大を防止する当局の権限が濫用されないよう、適切な歯止めがかけられ、モニタリングがなされるべきこと

日本における現行法に基づく緊急事態宣言では、大幅な私権制限は想定されていません。しかしながら、国と地方自治体の長に多大な権限が集中することが懸念されます。当局による権限行使は法律を逸脱しないこと、濫用されないこと、目的達成に必要最小限度の私権制限にとどめることが意識されなければなりません。危機に乗じたプライバシー権や表現の自由の制約は許されません。

言論統制や言論への圧力は到底あってはなりません。適切な歯止めがかけられ、モニタリングが機能するよう、政府は情報開示を徹底し、自らの意思決定過程の透明性を確保し、メディアの役割を尊重すべきです。

自由権規約4条は「国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合においてその緊急事態の存在が公式に宣言されているときは、この規約の締約国は、事態の緊急性が真に必要とする限度において、この規約に基づく義務から逸脱する措置をとることができる。ただし、その措置は、当該締約国が国際法に基づき負う他の義務に抵触してはならず、また、人種、皮膚の色、性、言語、宗教又は社会的出身のみを理由とする差別を含んではならない。」と定め、さらに私権制限の歯止めを明確にしています。

ヒューマンライツ・ナウは政府と当局に対し、この義務を誠実に履行することを要請します。

以上

 

別表 国際比較:新型コロナ下での市民への支援施策

PDF: COVID-19に伴う主要各国支援策
詳細は、こちら

 

新型コロナは人々の健康と生活に甚大な影響をもたらしています。世界各国の政府は、人々が感染の危機にさらされないよう、外出制限などと併せて機動的な生活支援を進めています。日本の施策は大きく遅れを取っていることから、HRNボランティアチームは急遽各国比較をまとめました。4月4日時点に知りえた内容を書いていますが、網羅できているわけではないものの、まずは知ること、知ったうえで日本の施策を分析することが必要と考え、公表します。

 

[1] https://www.imf.org/en/Topics/imf-and-covid19/Policy-Responses-to-COVID-19#F

http://oecd.org/coronavirus/en/?fbclid=IwAR090C-nW7Wo2S4XX1fGNaNk8rk0IjY7al8NvtWGGO7VcR4P453MYEjfhvo

[2] https://ourworldindata.org/grapher/full-list-cumulative-total-tests-per-million

別表 国際比較:新型コロナ下での市民への支援施策

PDF: COVID-19に伴う主要各国支援策

個人向け

法定の疾病給付 収入補助・生活保護給付・失業手当 個人事業主向けの特別支援策 住宅ローン・家賃の支払い等に関する特別措置 税金に対する減免等措置 その他の緊急手当
アメリカ ・危機時の家計や企業を支援するCARES法を可決。総予算約3,010億:成人一人につき1200ドル、子供には500ドルの直接支払いという形で家族に所得支援の提供(世帯収入の上限制限あり)、約2,500億ドルは、7月まで失業保険の支払いを週600ドルに引き上げ、自営業者やギグ・エコノミー労働者へ保険適用範囲を拡大し、給付を26週間から39週間に延長する予定。 ・今回のPandemic Unemployment Assistanceによって失業給付がフリーランス、自営業者にも給付資格が拡大。子供が学校やデイケアへ行けないため、チャイルドケアが必要で仕事ができない人もOK ・住宅ローン・家賃の支払い等に関する特別措置
・学生ローンの利子と元金の支払いの延期。
・銀行やその他の金融機関は、COVID-19の悪影響により延滞となった連邦政府の保険付き住宅ローンについて、猶予を免除することが求められる。
・退職金口座からの必須最低分配金(Required minimum distributions from retirement accounts)は、2020年に向けて停止
・2020年の税金に対して$1,200(夫婦合算申告の場合 $2,400)の税額控除が追加。また、子供一人に対し$500の税額控除が可能。このリベートの適用が可能となるのは、確定申告書調整後所得が$75,000(独身)、$112,500(特定世帯主)、$150,000(夫婦合算)を超えない納税者が対象で、所得金額をこの金額を超えると、$100超えるごとに$5税額控除額が減額。調整後所得が$99,000(独身)、$136,500(特定世帯主)、$198,000(夫婦合算)を超える場合は、こちらの税額控除の適用とならない。
・このリカバリーリベートは、下記の条件がすべてに当てはまる場合のみ。
1) 米国居住者 2)他の納税者の扶養家族となっていない 3)EstateやTrustではない 4)社会保障番号がある。
・州へのメディケイドの支払いの増加。
イギリス ・感染により勤務できなくなった従業員は、法定の疾病給付(Statutory Sick Pay)を受けることができる。1週間あたり94.25ポンドで最大28週間分まで受給可能。ただし、正社員でない場合や毎週の賃金が118ポンドを下回っている場合には、原則として対象外。罹患証明はオンラインで申請可能で、実際に医師を訪れる必要はない。
・通常、疾病給付は病欠の4日目から数えて支払われるが、今回はこれを1日目からとする法改正がなされる予定で、それが可決された場合には3月13日から遡及して適用される。
・疾病給付を受けられない個人事業主やフリーランスが仕事を失った場合には、Universal Creditという低所得者向けの生活保護給付(就労による所得の額に応じて給付額は変動する)か失業手当(Employment and Support Allowance)を受けることになる。
Universal Creditに関しては、今回のCOVID-19に際しては、受給要件である最低所得額の基準(現行は1万6千ポンド)が一時的に緩められる予定であり、また、本来であれば受給に際して必要な職業安定所での面談を経なくとも給付金を先行して受給することができるようになる予定。Universal Creditの基準額を上回る所得の者が失業した場合には、失業手当を受給することになる。COVID-19に罹患した者や隔離を勧告された者に関しては、通常であれば基準日の8日目からの手当支給であるところ、1日目からの支給を受けられることになる。
・この支援策では、COVID-19により収入を失った個人事業主を対象に、所得の8割に当たる額が1カ月につき最大2500ポンドまで、課税対象の給付金として支給される。給付を受けるには、収入の半分以上を個人事業から得ている必要がある。また、2018/19年度の営業利益が5万ポンド以下か、2016/17年度からの3年間の平均が5万ポンド以下であることも条件となっている。 ・COVID-19により住宅ローンの返済が困難な世帯を対象に、3か月の返済猶予を認めることで政府と金融機関の間で合意がなされている。これはCOVID-19により借家人からの家賃収入に影響を受ける大家に関しても適用される。
・借家人保護の緊急立法として、最低3か月の間、家賃滞納を理由とする退去手続を大家ができないこととなる。当該期間後も、大家と借家人は、借家人の個別事情を考慮した家賃の支払計画を共同して策定することが期待されている。
・金融行為監督機構(Financial Conduct Authority)は、個人ローンやクレジットカードの支払に関して、個人顧客への柔軟な対応をするように金融機関へ要請している。
・その他にも、総額で5億ポンド規模の緊急手当がなされる予定。これらは住民税の負担軽減や住宅手当等により各自治体を通じて実行される見通し。
フランス ・コロナウイルスの流行により影響を受ける一定の者に、「就業休止」事由該当を認めることによる、疾病保険からの給付
①学校等の閉鎖により子ども(原則16歳以下)の保育を行う必要がある一方で、在宅勤務が不可能である者
②公衆衛生委員会(haut conseil de la santé publique)が隔離(isolement)の実施を推奨するハイリスク者(長期疾患のある者や妊娠後期の者)で、在宅勤務が不可能である者。
なお、長期疾患のある者でなくとも、医師が就業停止を求める証明書がある場合は、対象となりうる。
・2ヶ月で85億ユーロの規模で、「chômage partiel(部分的失業)」制度を簡易かつ拡大的に適用し、労働者及び企業を支援。企業が一時帰休中等部分的失業中の従業員に支払う手当を、法定最低賃金の4.5倍(6927ユーロ)を上限に、国が補填予定 ・税金や社会保険料の支払猶予(場合によっては免除)に加えて、水道、ガス、電気、賃料の支払の猶予が可能
・個人事業主、小企業等支援のための連帯基金が設立され(国のほか、地方政府が支出。保険会社からも資金受け入れ。)し、以下の給付の財源となる(2020年3月分は17億ユーロ。4月も継続される)。
・売り上げが年間100万ユーロ以下であり、かつ、10名以下の従業員を雇用する者に対し、以下の要件の少なくとも1つを満たす場合に、上限1500ユーロの給付。オンラインによる簡易な申請で受給可能。
①行政の命令による営業停止に服したこと
②2020年3月の売り上げ減少が2019年3月の売り上げに比して50%以上であること
・資金繰りがショートし銀行からローンが得られない場合等倒産の危機にある場合には、さらに、2000ユーロが支給され得る。ただし、この追加的給付は、従業員が少なくとも1名いる場合に限る。
・家主は、居住者を、2020年5月31日まで退去させられない(通常3月31日まで適用される冬季の退去を禁ずるルールの例外的延長)。
ドイツ ・短期雇用労働者に対するシンプルかつ素早くアクアセスできる補償の提供
・4月1日から、社会給付(社会法典第二編の求職者に対するベーシック・インカム・サポート(SGB II)、社会法典第十二編の社会扶助(SGB XII))へのアクセスが6ヶ月間緩和され、資産やアパートの広さは考慮されなくなる。一時的に収入を失った親は、児童手当(キンダーツブッシュラッグ)の恩恵を受けることができる。
・短時間労働のスキーム:金融危機の間と同様に、一時的にアクセスしやすくなる。企業は、通常の規制では 3 分の 1 の労働時間削減の影響を受ける労働者が10%に達した場合、この制度の下で労働者への支援を要請可能。労働時間の短縮による月次純利益の差額の 60%を補償することに加えて、労働時間の短縮に伴う社会保障費の100%を労働局が負担。これは、社会保障費の50%しか助成されず、使用者が残りの半分を負担しなければならなかった金融危機と比較すると増加。
カナダ ・傷害保険給付の更なる支援措置として、傷害保険給付の1週間の給付待機期間の免除を含む。 ・通常の雇用保険給付を受けられない自営業者やパートタイム労働者を含む、廃業により職を失った人たちへの 即時的な経済的支援。
・多額の所得補償制度の創設:カナダ緊急対応給付金(CERB)は、Covid-19のために収入を失った人々に月々2,000カナダカナダドル(最大4ヶ月間)を支払う。
・税金の申告を遅らせる規定(個人は6月1日まで申告をする必要がなく、8月31日以降まで支払いを延期可能)、低所得世帯を対象としたGSTクレジット(還付対象)の増額(資格を持つすべての成人は300ドル、子供はすべて150ドル受領可能) ・税金の申告を遅らせる規定(個人は6月1日まで申告をする必要がなく、8月31日以降まで支払いを延期可能)、低所得世帯を対象としたGSTクレジット(還付対象)の増額(資格を持つすべての成人は300ドル、子供はすべて150ドル受領可能)
スペイン ・Covid19に関連する理由による解雇は、正当化されれない (3月27日より)
・Temporary contractは危機の間に中断することができますが、ロックダウンの終了後に再開する必要あり (3月27日より)
・扶養家族の世話をする必要のある労働者への最大100%の有給の補償
・COVID-19に感染した労働者または検疫された労働者に対して、基本給の75%分をSick Payとして支払う
・所得が急落した自営業者による社会保障制度の拠出
・経済活動停止の影響を受けた自営業者(SSCベースの70%、少なくとも1ヶ月間)には特別手当が支給
・2017年に作られた法的支援枠組み(the special 2017 drought credit lines)を活用し、農家へのローン満期延長の保証
・住宅ローンの支払いに対する1か月の延期。 (3月17日)
・仕事を失う労働者や収入が損失する自営業者のための住宅ローンの支払いの遅延(1〜3カ月)
・社会保障に関しては、2,500万ユーロの特別配分が承認され、学校閉鎖中も脆弱な環境下に置かれた子どもたちへの給食が配布が可能
・扶養家族への支援の提供を確実にするための3億ユーロの追加予算基金
・地方自治体が2019年の予算余剰を利用して、社会福祉サービスと扶養家族への主な支援に資金を提供(3億ユーロ)
韓国 ・ 2020年3月から6月までのデビットカード・クレジットカード利用に係る個人向け控除の拡大
・自動車購入のための一時的な個人消費税減税
・家主は50%の所得税の控除を受けることが可能 ・全世帯の7割にあたる1400万世帯に最大約9万円の緊急災難支援金の支給
・高所得層を除く世帯へ人数に応じて一律支給、単身40万ウォン、4人以上に約9万円給付。総額で約8000億円。早ければ5月上旬に支給。地域限定商品券や電子マネーの形
オーストラリア
ニュージーランド ・COVID19 Leave Payment:保健省の指導により自己隔離している、感染している、または扶養家族が自己隔離または感染していることが理由で就業できない個人に対しての収入補助。就業時間が週20時間以上のものは585.80NZD、同20時間以下は350NZDが支給される。事業主も申し込むことができる。(121億NZD。本プログラムは3月27日付で終了。賃金補助に移行した模様) ・COVID 19 賃金補助:企業・団体の従業員に対する賃金補助に51億NZドル。非営利組織、個人事業主、法人などに適用される。組織がNZ国籍であること、2020年1~6月までの期間で前年同月比30%以上の売り上げ減がある(または予見される)こと、などが応募の条件となっている。 ・高齢者などへの冬季暖房費補助に28億NZドル

 

法人向け

賃金保障・疾病給付等の補償 税金に対する減免等措置 中小企業向けの支援策 その他企業向け支援策 特定業種向けの支援策
アメリカ ・利子や罰則なしで納税を猶予
・あらゆる規模の企業は、2,210 億ドルの減税と猶予の適用。事業中断融資の恩恵を受けず、雇用水準の維持に同意した深刻な影響を受けた企業に対する給与所得税の50%の控除を含む。2020年の給与税の支払いは、2021年と2022年に猶予。
・事業者は2018年、2019年、2020年の間の損失を5年間繰り越すことが認められ、即時還付の対象。
・Coronavirus Relief Actにより、従業員への給与支払いに伴い雇用者が支払わなければならない分(ソーシャルセキュリティ税6.2% メディケア税1.45%)の支払いを来年及び再来年に延期。
・中小企業向けに3500億ドルの融資枠。中小企業が雇用と給与を維持すれば、連邦政府への返済を不要にする仕組みで、事実上の給与の肩代わり策.
・コロナウイルスの影響を受けた企業に資本と流動性を提供するために緊急電力を使用するように中小企業庁に指示
・小企業庁は、コロナウイルス(COVID-19)の結果として実質的な経済的被害を受けた中小企業に運転資金のための低金利の連邦災害融資を提供
・低利融資を提供するために、500億ユーロ(GDPの0.25%程度)の要求が議会に出される。
・中小企業向けの事業中断融資を支援として約3500億ドル。
・中小企業が給与、家賃、既存の債務の利息、および8週間の公共料金のために使用されたこれらのローンの元本は、そのような中小企業が危機以前の雇用レベルを維持している場合免除。これらの事業中断融資は、事実上、危機の間、労働者の給与支払いを維持するための助成金。
・CARES法は、財務省の為替安定化基金に5000億ドルを提供。財務省はこれらの資金を使って、コロナウイルスの被害を受けた企業、都市、州を支援。財務省が航空会社、航空貨物会社、国家安全保障上重要な企業に対して、それぞれ250億ドル、40億ドル、170億ドルの融資を行うことがでる。残りの4,540億ドルは、連邦準備制度理事会が他の企業向けに融資機関(13(3))を設立するための資本を提供。このような融資機関は、約4兆ドルのビジネスローンの支援可能。 ・航空会社、航空貨物会社、支援企業には、2020 年 9 月 30 日まで雇用を維持するために、それぞれ 250 億ドル、40 億ドル、30 億ドルの助成金を支給
イギリス ・使用者が負担する法定の疾病給付に関して、2週間分(COVID-19の隔離として望ましいとされている期間に対応)を上限に補償がなされる。この補償は2020年2月末時点での従業員の人数が250名よりも少ない使用者が対象で、3月13日から適用開始となっている。 ・法人税等の納付に関しては、個別相談ベースで納付猶予等の対応がなされる見込み。
・事業用固定資産に対する地方税であるBusiness Ratesに関して、減免措置が導入された。すでに小売事業者向けの軽減措置を受けている事業者に関しては100%免税、課税標準額が1万5千ポンド以上の資産を有する小売事業者や観光・レジャー産業で事業用資産を有する事業者についても100%免税を受けることができる。保育施設を運営している場合にも来年度の100%免税となる予定。
・2020年第2四半期の付加価値税(VAT)の支払いを約300億ポンド(GDPの1.4%)を2021年まで延期
・小規模事業者向けの特別控除を受ける資格のある事業者に対して、1万ポンドの(一回限りの)現金給付
・中小企業向けの支援策として、コロナウイルスに伴う事業障害に対する貸付制度が政府系金融機関であるBritish Business Bankから提供される。また、中小企業が融資を受ける場合に各ローンの80%部分まで政府が部分的に保証する制度(保証料の負担なし、500万ポンドを上限)も導入される。
・イングランド銀行は企業が発行するコマーシャルペーパー(無担保の短期約束手形)を積極的に買い入れる方針を表明している。
・イングランド内のビジネス小売価格税率のディスカウントが評価額5万1000ポンド以下の事業者で2020年と2021年度に100%増加
・3300億ポンド(GDPの14.9%)の企業向け臨時国家ローンと保証スキーム(中央銀行によるもの)。コロナウイルス企業融資枠(3/20)とコロナウイルス事業中断融資スキーム(CBILS)(3/17)を含む。
・都市封鎖の影響を受ける業種(小売、観光、レジャー産業等)に対する現金給付
・課税標準額が1万5千ポンド未満の資産を有する場合には(前記の小規模事業者向け現金給付の受給資格に関わらず)1万ポンド、課税標準額が5万1千ポンド以下の資産を有する場合には2万5千ポンドの給付を受けることができる
・小売、接待、レジャーに使用される不動産を持つ企業(不動産評価額が 5 万 1,000 ポンド以下)に対して、1 万ポンドから 2 万 5,000 ポンドの単発の現金補助金を含む、370 億ポンド(GDP の 1.7%)の企業支援の実施(3/11)
・上記分野の不動産については、料率評価額にかかわらず、不動産の事業料金が100%免除
・イギリスでは飲食業の営業許可が営業形態ごとに異なっており、レストラン、パブ、温かい食事のテイクアウトは別の営業許可となっているが、パブやレストランを営む店舗が持ち帰り用の飲食提供をすることができるように、営業許可の一時的な切替えを可能とする特別措置を立法化する予定。
フランス ・申請により、税、社会保険料の支払猶予(場合によっては免除)、法人税及び付加価値税の早期還付を得られる(個人事業主も対象)。 ・税金や社会保険料の支払猶予(場合によっては免除)に加えて、水道、ガス、電気、賃料の支払いの猶予が可能
・個人事業主、小企業支援のための連帯基金が設立(国のほか、地方政府、保険会社等も支出。)され、以下の給付の財源となる(2020年3月分は17億ユーロ。4月も継続される)。
・売り上げが年間100万ユーロ以下であり、かつ、10名以下の従業員を雇用する小企業に対し、以下の要件の少なくとも1つを満たす場合に、上限1500ユーロの給付。オンラインによる簡易な申請で受給可能。
①行政の命令による営業停止に服したこと
②2020年3月の売り上げ減少が2019年3月の売り上げに比して50%以上であること
・資金繰りがショートし銀行からローンが得られない場合等倒産の危機にある場合には、さらに、2000ユーロが支給され得る。ただし、この追加的給付は、従業員が少なくとも1名いる場合に限る。
・公的投資銀行のBpifranceが8670万ドル(約96億円)を注入し、資金調達ラウンドの最中だったスタートアップがBpifranceから資金を調達できるようにする
・450億ユーロに達する企業向け支援
・40億ユーロ(約4780億円)のスタートアップ向けの包括的な支援計画を発表(スタートアップの支援の充実)
・スタートアップは付加価値税の還付に加えて、研究開発投資の税還付を早く受けられる
・法人向けの新規の銀行融資に総額3,000億ユーロの公的保証を付与(個人事業主も対象)。保証は、会社の規模に応じて、ローンの金額の70〜90%をカバー。借入可能な額は雇用している従業員の給与2年分もしくは年間売上高の25%のいずれか多い方。
・仲裁人による、顧客またはサプライヤーとの紛争解決に対する無料サポートを政府が提供(個人事業主も対象)。
・国及び地方政府を相手方とする公的契約において、コロナウイルスを不可抗力事由と扱い、支払い遅延等による罰則は適用しないことを明言。
ドイツ ・中小企業ならびに零細企業(従業員10人未満)に対する支援は、融資ではなく給付金(課税対象)に決定され、2020年3月11日以降に発生した損害を対象として、従業員5人以下(フルタイム相当)の事業者に対しては3カ月分の資金繰り支援として、最大9.000ユーロの一括支払い、10名従業員以下(フルタイム相当)の事業者には同じく最大15,000ユーロの一括支払いとなっている。ただし、家賃が20%以上減額され、かつ給付限度額を超えない場合は、さらに2カ月間の必要資金を申請額に計上できる。
・2021年末までの時限基金で、市場でのリファイナンス(債務の借り換え)を目指す企業向けの4,000億ユーロの政府保証枠、企業の資本強化のための1,000億ユーロ以上の与信承認、ドイツ復興金融公庫(KfW)の特別プログラムへのつなぎ融資用の1,000億ユーロの追加与信承認が設定された。対象は、(1)総資産4,300万ユーロ以上、(2)売上高5,000万ユーロ以上、(3)年間平均従業員数249名以上の3つの要件のうち2つ以上を満たす企業。この要件に満たない中小企業でもインフラ関係で重要な企業であれば対象となりうる。
カナダ ・ビジネス・クレジット・アベイラビリティ・プログラム(BCAP)の設立による企業への信用供与の増加(650億カナダドル)。3月15日に遡って、最大3ヶ月間、最大75%の賃金補助金を支給するスキーム。 ・税制上の措置として、法人所得税、売上税の納税猶予、関税の支払い猶予(利子やペナルティは適用されない)など。 ・航空輸送分野への支援(空港が連邦政府に支払う地上賃貸料の2020年12月までの免除を含む)、農業分野への支援(生産者、アグリビジネス、食品加工業者への50億カナダドルの追加融資)など
スペイン ・労働者を解雇しない中小企業を対象とした社会保障負担の緩和
・中小企業・自営業を対象として、納税の6か月間の延期、または6ヶ月無利子の分割支払いの可能
・デジタル機器への投資に資金を提供するための助成金やローンを通じて、中小企業のデジタル化を支援
・少なくとも4月17日まで、株式市場でのスペイン株式の空売りの禁止
・COVID-19の医薬品とワクチンの開発のための研究開発に1億1,000万ユーロ支出 (3月17日)
・保健省が医療ニーズに関連する支出をカバーするために10億ユーロ支出(3月12日)
・医療ニーズの増大に対応するための地域に28億ユーロを前払い。3月12日)
・価格介入:政府が例外的な公衆衛生状況において、医薬品および特定の製品の最高価格を設定する可能性を示唆(3月12日)
韓国 ・コロナの影響で1ヶ月以上操業を停止するなどした企業に対する社員の給食手当ての9割相当を「雇用維持支援金」として支給・従業員が隔離や入院を余儀なくされて有給休暇を取得した場合には、1人当たり1日最大で1万2000円を企業に補填 ・小規模事業者と中小企業への特別経済支援を、1.2兆ウォンから4.6兆ウォン、中小企業に対しては0.03兆ウォンから0.63兆ウォンに引き上げ
・コロナ関連特別被災地に立地する中小企業に対する2020年末までの臨時特例減税の導入
・間売上高8,000万ウォン未満の小規模企業が支払うべき付加価値税が2020年末まで減額。
・2020年末までの間、一時的にVATの免税限度額が引き上げられます(3,000万ウォンから4,800万ウォン)。
・小規模事業者の方は、確定申告の期間を最大9ヶ月、地方税の申告・納税の期間を最大1年延長可能
・総額141兆ウォン(1150億ドル、国内総生産の7.4%)の支援策を導入
オーストラリア JobKeeper による企業・事業者への補助で、従業員1名につき、隔週で1,500AUDが支給される。
・対象となる企業は、年間収益が10億AUD以下の企業が対象。
・これには、非営利の組織やチャリティ団体なども含む。
・従業員は、フルタイム、パートタイムも含む
・個人事業主も含まれる
・国籍は豪州及びNZ
・3月30日から開始される(5月から政府による払い戻しの形式)
・合計1,300憶AUDのJobKeeperというプログラムを設置しており、事業者(団体、個人を含む)及び個人の労働者に対して補助が行われる。
ニュージーランド ・COVID 19 賃金補助:企業・団体の従業員に対する賃金補助に51億NZドル。非営利組織、個人事業主、法人などに適用される。組織がNZ国籍であること、2020年1~6月までの期間で前年同月比30%以上の売り上げ減がある(または予見される)こと、などが応募の条件となっている。 ・航空産業の支援に6億NZドル

 

DV対策

アメリカ
イギリス ・DV 被害者の外出は許され、全国的虐待ヘルプラインも運営している。また被害者救済のため、中央政府から地方議会に16億ポンドが支払われた。https://www.bbc.com/news/uk-52081280
・3月29日付でMinistry of Home AffairsがDVの被害者サポートに関するガイダンスをネット上に記載。ガイダンスには様々なNGОの情報が載っている。ちなみに、緊急の場合は999に電話をかけ、一言もしゃべらずとも55をダイヤルすると近くの警察に通報される。https://www.gov.uk/government/publications/coronavirus-covid-19-and-domestic-abuse/coronavirus-covid-19-support-for-victims-of-domestic-abuse
・一方、3月31日付付のガーディアンの記事によると、政府による資金援助を求めるため30団体ほどが政府に手紙(陳情?)を提出。
具体的な施策https://www.theguardian.com/society/2020/mar/31/call-for-uk-domestic-violence-refuges-to-get-coronavirus-funding
フランス ・3 月 25 日、男女平等担当大臣がDVの危険が強まると声明発表。移動制限に伴い一時的にシェルターの機能を停止したが、感染予防に気をつけながらシェルターを再開し被害者を受け入れることを発表。
・裁判所が閉鎖されていても、裁判官は暴力的な配偶者に対する住居からの立ち退きや接触禁止命令、被害者の保護命令を言い渡すことができる。
・24時間対応のチャットや、外出禁止令下でも営業を許可されている薬局から警察に通報できるシステムを構築。
・フランス政府のDV専用電話3919は、外出禁止中は日曜以外9時から19時まで受け付けており、無料で匿名で相談できる。
・緊急事態の時は17に電話すれば直接警察につながる。電話できない人は、「フランス犠牲者」連盟に加入している130団体か、公的機関「女性・家族の権利情報センター」にメールすることができる。http://nwsnet.or.jp/statement/Appendix1France.pdf
https://courrier.jp/news/archives/195448/?ate_cookie=1585721556
https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20200329-00170263/
ドイツ ・3月26日付の記事によると、ドイツ家族・高齢者・婦人・青少年省がDVの増加を警告しており、既存のヘルプラインに加えカウンセリングサービスを提供する計画を発表しました。このサービスには、子どもやティーンエイジャー向けの特別なホットラインが含まれる。https://kcrwberlin.com/2020/03/germany-passes-750-billion-euro-aid-package-to-save-economy-amid-coronavirus-crisis/
・ドイツ家族・高齢者・婦人・青少年省は自治体に必要に応じて代替の受付施設を組織するように要請。
https://www.ctvnews.ca/health/coronavirus/fears-of-domestic-violence-rise-as-millions-confined-over-virus-1.4872437
カナダ ・首相は、カナダの女性の避難所と性的暴行センターに5000万ドルを割り当。https://torontosun.com/news/local-news/braun-covid-19-crisis-creates-perfect-storm-for-domestic-violence

・オンタリオ州検事総長はDVやその他の暴力犯罪の犠牲者を支援するため、地域社会活動機関(Communicy Agency)に270万ドルを発表。
・また、裁判所や裁判所が遠隔で活動するのを助けるために130万ドルを技術に投資。https://www.cbc.ca/news/canada/toronto/york-region-crime-statisitics-covid-19-1.5519062

スペイン ・加害者が被害者と薬局に同伴する可能性も考慮し、被害者がたとえば「19番のマスク」などの特定の言葉を言うだけで薬局側が通報する仕組みの構築
・24時間対応など既存の措置を強化し、家から出られない被害者が心理療法家とチャットできるなど、国レベルの女性への暴力防止キャンペーン
韓国
オーストラリア 29日、新型コロナウイルスの感染拡大に関連しDVの被害件数が急増しているとの支援団体からの報告を受けて、DV対策資金として1億5000万豪ドル(約100億円)を投入し、DV被害者・加害者向けの電話支援サービスに充てる方針を発表。
https://www.jiji.com/jc/article?k=20200330039890a&g=afp
ニュージーランド

 

出典

アメリカ
イギリス
フランス
ドイツ
カナダ
スペイン
韓国
オーストラリア
ニュージーランド