【声明】「ビルマ民主化指導者アウンサンスーチー氏のインセイン収容所への連行に抗議し、国際社会の緊急な対処を求める」(2009/05/18)

ヒューマンライツ・ナウ声明

 

「ビルマ民主化指導者アウンサンスーチー氏のインセイン収容所への連行に抗議し、国際社会の緊急な対処を求める」 

 

 5月14日、ビルマ軍事政権は、ノーベル平和賞受賞者であるビルマ民主化指導者アウンサンスーチー氏を軟禁中の自宅から連行し、付き添いの女性二名とともにヤンゴンのインセイン収容所に拘束した。軍政は、5月初旬にアウンサンスーチー氏が、同氏周辺の湖を泳いで自宅に忍び込んだアメリカ人男性と接触したことが、自宅軟禁の条件に違反したとして、同日、同氏を起訴、5月18日に初公判を開くとしている。 

 

 アウンサンスーチー氏の健康状態は極めて悪化していると伝えられ、悪名高きインセイン政治犯収容所の過酷な収容条件がさらに同氏の状況を悪化させることが危惧される。
民主化リーダーであるアウンサンスーチー氏に対する自宅軟禁は、何らの正統な根拠もない違法な民主化弾圧・恣意的拘禁であり、国連人権理事会決議(2007年10月2日)など国際社会は一致して、同氏の即時釈放を求めてきた。軍政はこれに応じず、昨年5月27日にアウンサンスーチー氏の軟禁期限が切れたにも関わらず、何らの根拠もなく軟禁を一年延長すると宣言し今日に至ったものである。このような違法な自宅軟禁の条件に違反したことを理由とする訴追が不当であることは明らかである。

 

 軍政の意図は、今年5月27日の後もアウンサンスーチー氏の拘束を続け、2010年に実施が予定されている総選挙における民主化勢力の活動を封じ込めようとするものであることは明らかである。このような状況での総選挙が到底公正なものとなりえないことはいよいよ明瞭となった。
東京を本拠地とする人権NGOヒューマンライツ・ナウは、ビルマ軍政のこの言語道断の処置に強く抗議する。

 国際社会は、ビルマ軍事政権に対するこの間の微温的態度を変更し、今回の軍政の暴挙を強く抗議し、アウンサンスーチー氏に対する拘禁・自宅軟禁延長を命ずる一方的判決が敢行されないよう、ビルマ軍政に対し一致したプレッシャーをかけることが求められている。
ヒューマンライツ・ナウは日本政府を含む各国政府にこの問題に関する迅速かつ明確な態度表明と、最大限の外交努力をするよう要請する。

以上