国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、11月30日、「いまも続くAV出演強要被害:被害根絶を目指して」を開催しました。問題への関心の高さと、解決に向けた参加者全体の思いが集結して、熱気に包まれたイベントとなりました。
主催者からの開会あいさつの後、相談支援の現場からの報告や、被害調査報告、被害当事者の方のお話、国会議員や省庁担当者の方々からのコメントや報告があり、質疑応答までの非常に中身の濃い1時間半でした。
藤原志帆子氏(人身取引被害者サポートセンター・ライトハウス代表)から最初に報告がありました。業界のしくみとそれによって浮き彫りになった問題点として強く指摘されていたのは、一度被害に遭うと終わりがないこと、そして、勧誘から販売後までのあらゆる段階に問題があるということでした。
伊藤和子氏(弁護士/ヒューマンライツ・ナウ事務局長)からは、AV強要被害調査報告書を踏まえたお話がありました。AV出演を拒否すると「違約金」の支払いを求められ、いわば「債務奴隷」のような状態に置かれること、また、傷害・虐待を含む女性の尊厳を無視した内容などが指摘されていました。包括的な被害防止・救済法と監督官庁の設置が強く求められているのです。
田口道子氏(ポルノ被害と性暴力を考える(PAPS)理事長)からは、相談窓口に寄せられる深刻な女性の人権侵害状況の報告がありました。追い詰められた女性たちの声が紹介されていましたが、解決の手法が限られているという現状を克服することが、いかに必要かというのが伝わってきました。
くるみんアロマ氏(社会活動家)からは、ご自身の経験を踏まえた痛切な報告がありました。もしAV出演を強要されるという状況に置かれた場合、その事態にいつのまにか陥ってしまうことがこの問題の恐ろしさであり、また、その事態から抜け出しても、内容削除と、安心した暮らしを送ることへの困難と労力が、被害者の負担となることが大きな問題と言えます。他の女性たちにはこれ以上同じような被害に遭ってほしくないという氏の訴えが、会場参加者の胸に強く響いたと感じました。
包括的な被害防止・救済法、省庁横断的な取り組みが求められていることもあり、超党派の議員や様々な省庁担当者の方々も、集会に駆けつけてくださいました。
糸数慶子参議院議員、佐々木さやか参議院議員、佐藤茂樹衆議院議員、田村智子参議院議員、遠山清彦衆議院議員、仁比聡平参議院議員、福島瑞穂参議院議員(五十音順)といった議員の方々からコメントを頂き、超党派での取組みの必要性が認識されていると感じられました。
内閣府からは2017年4月に策定した緊急対策と、それを踏まえ5月にとりまとめられた今後の対策について報告がありました。「JKビジネス」と合わせての取締りだけでなく、啓発・相談体制・支援等について関係府省を含めた対策となっていることが紹介されました。警察庁からは、昨年まで行われた実態調査の結果と緊急対策、またその後の取り組みが紹介されました。さらに、法務省ならびに消費者庁の担当者の方からもコメントがありました。
被害の広がりと深刻さを実感し、今後の被害防止と救済のために、早急な取り組みが必要だと感じられたイベントとなりました。