【声明・報告書・記者会見@15日・16日】ユニクロ中国国内製造請負工場における過酷な労働環境 NGOが潜入を含む調査報告書を公表

ユニクロ ヘッダー
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ユニクロ中国国内製造請負工場における過酷な労働環境NGOが潜入を含む調査報告書を公表
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アジアの縫製産業に従事する労働者の権利保護および労働環境の
改善を求める国際キャンペーンをStudents and Scholars
Against Corporate Misbehaviour (SACOM)、Labour
Action China (LAC)、そして日本(ヒューマンライツ・ナウ)の
NGOが共同で開始しました。
日本のファッションブランド・ユニクロ(UNIQLO)の中国国内における
主要な製造請負企業であるPacific Textiles Holding LtdとLuenthai
Holding Ltd の2社について、SACOMは昨年、潜入調査および
労働者への聞き取り調査を行い、ヒューマンライツ・ナウもフォロー
アップ調査に加わりました。SACOMは、この調査結果をまとめた
報告書を1月11日に国際リリースしました。
報告書英文はこちら  http://sacom.hk/statement-clean-clothes-from-uniqlo-now-uniqlo-should-improve-the-working-conditions-of-the-suppliers-in-china-immediately/
判明したのは下請け工場労働者の過酷な労働環境であり、
主な特徴は以下の通りです。
1.長時間労働と低い基本給、労働法の違反
2.リスクが高く安全でない労働環境(工場のフロアの異常に高い気温、
  フロア全体を流れる排水、危険性の高い施設設備、正常でない
  換気設備、異臭、有害化学物質による健康影響への高いリスク、
  漏電による火事・感電のリスク、労働に対する厳しいプレッシャーなど)、
3.厳しい管理方法と処罰システム、
4.機能を果たさない工場内の労働組合、
などが挙げられます。
ヒューマンライツ・ナウは、この報告書をもとに製造会社に改善を
求めると共に、(株)ファーストリテイリングに対しても改善に向けた
対応を講じるよう求め、ステートメントを公表しました。
ステートメントはこちら ユニクロステートメント日本語.pdf (下記に全文掲載しています)
本調査報告書の作成に携わったSACOMのプロジェクト・オフィサー
Alex氏は、調査や報告書の内容を広く日本の消費者・
市民に知らせるため、このたび来日し記者会見を行うことになりました。
記者会見は2回、以下の予定で開催されます。
また一般公開の報告会もございますので、ぜひご参加ください。
【記者会見】
日時/2015年1月15日(木)13時半より
場所/厚生労働記者会
     (千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 9F会見場)
【記者会見・2回目】
日時/2015年1月16日(金)15時半より
場所/外国特派員協会
     (千代田区有楽町1-7-1有楽町電気ビル北館20階)
電話  03-3211-3161 Fax  03-3211-3168
Email: front@fccj.or.jp
※上記FCCJへ「1月16日記者会見へ参加希望」の旨をお申込みください。
(申込不要でお入りいただけますが、出来るだけ事前申込していただけますと幸いです)
【報告集会】
一般公開の報告集会「ファストファッション-《安さ》の裏側にあるもの」
日時/2015年1月17日(土) 19時~21時(18時半開場)
場所/文京区男女平等センター 研修室A
     (文京区本郷4-8-3 本郷真砂アーバンハイツ1F)
資料代/500円
参加申込: 不要
(混雑が予想されますのでお早めにお越しください。先着順でお越しいただいた順に着席していただきます。満席になった場合はご入場いただけない場合もございますのであらかじめご了承ください。)
問合せ≫
アジア太平洋資料センター(PARC)
(office@parc-jp.org 電話:03-5209-3455 Fax:03-5209-3453)
ヒューマンライツ・ナウ事務局
(info@hrn.or.jp 電話:03-3835-2110 Fax:03-3834-1025)
(注記)
ヒューマンライツ・ナウは、本調査報告書公開に先立ち、
2014年12月日本報告書を(株)ファーストリテイリングに送付し、
2015年1月8日までに事実関係について誤りがあれば連絡がほしい
旨伝えました。
同社は事実関係について、同年1月9日付電子メールにて
「ごく一部ではありますが報告書の内容に誤解ではないかと思われる
部分もございました」とするものの、それを越えて事実関係の訂正
要請はありませんでした。
ヒューマンライツ・ナウは「誤解ではないか」との点について
具体的な主張があれば、書面で送付することを求めています。
(ステートメント全文)
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中国の縫製/織物工場における労働者の権利を確保するための早急な行動をブランドとサプライヤーに求める
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 香港を拠点とするNGO・Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour(略称SACOM、大学师生监察无良企业行动)は、東京を本拠とする国際人権NGOであるヒューマンライツ・ナウ(HRN)、中国労働透視(Labour Action China)との共同調査プロジェクトの一環として、中国における工場従業員の労働環境について2014年7月から11月に渡り、潜入調査を含む、事実調査を行い、調査報告書を公表した。 本調査は日本の有名ファッションブランド、ユニクロの主要な製造請負企業であるPacific Textiles Holding LtdとDongguang Luenthai Garment Co. Ltdの2社について、現在中国の工場で発生している労働者の権利の実態を対象とするものである。
Pacific Textiles とLuenthaiはどちらもユニクロにニット生地とアパレル製品を供給している下請企業であり、両工場はそれぞれ南沙区と東莞市に位置している。本ユニクロキャンペーンは、世界的なファストファッションのサプライ・チェーンにおける中国の労働状況を明らかにすることで労働環境の改善と労働者の権利を確保することを目的としており、衣料産業における労働問題についての認識を高めることも視野に入れている。
調査の結果、明らかとなり、早急な対処が望まれる最も重要な課題は以下のとおりである。
1.長時間労働と低い基本給
 Pacific および Luenthai は基本給をそれぞれ月額1550人民元及び1310人民元としているが、これは広東市および東莞市にける最低賃金である。一方で、広東市や東莞市における2013年の労働者の平均的賃金レベルはそれぞれ月額5808人民元、2505人民元であった。 そのため、時間外労働が月給の中で重要な割合を占めている。
時間外労働時間数は衝撃的で、Pacificで月平均134時間、Luenthaiで月平均112時間の時間外労働と推計される 。Pacificにおいては、労働者の一部は「時間外労働の任意申請書」に署名するよう要求されており、申請書には時間外労働時間は119.5時間と記載されている。これは、明らかな法律違反である。
また、Pacificでは、時間外労働に対する残業代は法律で定められた、通常賃金の2倍の割増ではなく1.5倍の割増賃金しか支払われていない。Luenthaiにおいては、休日の時間外労働時間と100時間を超える時間外労働時間について、コンピューターではなく手書きによって記録されており、これにより社会監査官による労働者の労働時間の監査を免れることが可能だ。
2.リスクが高く安全でない労働環境
 長い実績のある両工場においても、労働環境は依然として過酷なものである。労働者の健康と安全は、明らかに最重要課題として認識されていない。工場内の異常な高温、あふれる排水、化学物質の使用や臭気、換気設備や事故防止等の対策の欠如、労働者へのプレッシャーなどすべてが、労働者の健康と安全に深刻なリスクをもたらしている。Pacificでは、労働者の作業台からの転落事故が頻発することを調査員は目撃したという。
Pacificの染料部門では、非常に高温な染料タンクでの作業を余儀なくされ、事故防止対策はない。
同工場では排水がフロア全体を流れ、2014年7月には機械からの漏電で労働者が死亡したとの証言もあったという。また、同部署では異臭を伴う有害な化学物質(PTEG、PT200など)が使用され、労働者は強い臭気のなかで作業を余儀なくされているが、換気の設備はなく、異常な高温のため労働者は防護措置を講ずることができない。こうした深刻な問題を解決し、労働者の健康・安全を確保するための効果的な処置は施されていない。
3.厳しい管理方法と処罰システム
 Pacificでは、労働者を処罰するため、58種類の規則が制定されており、そのうち41の規則は罰金制度を含んでいる。罰金制度は労働者と商品の質をコントロールする方法として頻繁に使われる。実際、各々の作業場には、労働規程には定められてない罰金制度と規則があり、作業場のホワイトボードに書いてあるだけのものもある。たとえば、編物のフロアでは、製品の品質を管理維持するために、数々の罰金が用いられており、商品に品質上の欠陥が見つかったり、編み機によごれがあったりした場合は、その労働者に一日の生産ノルマを達成した際に出される割増金から罰金が差し引かれる(罰金の額は労働者の行った行為によって異なるが約50~100人民元の間である)。Luenthaiでも、罰金制度は罰として利用される。しかしながら、労働契約法では、雇用者に罰金といった方法で労働者を処罰する権利は与えられていない。
4.代表を持たない労働者
 2つの調査対象となった工場には、労働者が、労働条件におけるさまざまな問題に関して意見を提出したり苦情を申し立てることができるような機関やメカニズムが何ら用意されていない。上に述べた違法行為や処罰システムは、彼ら労働者が民主的な労働組合を通じて代表されることができれば、正せる可能性がある。Pacificでは、企業労働組合主席選出弁法第6条で「企業行政責任者(行政副職を含む)、パートナー及びその近親族、人的資源部門の責任者及び外国籍従業員は、本企業の労働組合主席候補者としてはならない。」とされているにもかかわらず、組合長を管理部門長が兼任している。Luenthaiにおいては、工場レベルにおいて労働組合は存在しないが、労働者委員会と労働関係課(employee relation department)が存在する。しかし、これらは労働者が声をあげる場として活用できるものではない。
 ユニクロは、世界に1000店舗以上展開しており、高品質の商品を安価に販売していることでよく知られ、世界各国に事業を展開している。通常、品質を低下させずに安く生活必需品を製造するためには、人件費を安く抑えなければならないとされていることから、労働者の権利が確保されているかということが私たちの懸念であった。
 SACOMによる調査の結果、労働法規への違反が確認され、労働者の権利が深刻に侵害され、安全対策の十分でない劣悪な環境下で労働者が過酷な労働を強いられている状況が確認された。
 そこで、ヒューマンライツ・ナウは、製造業者およびファーストリテイリング社に対し、以下のことを求める。
製造業者2社に対する勧告:
・中国労働法に基づき、最低でも週に1日以上の休日を労働者に与え、月の時間外労働時間数を36時間以内におさめること
・労働者の健康及び安全に関して、適切な訓練、保護、及び健康診断を提供すること
・中国労働法の規定に従い残業代を支払うこと
・労働者の尊厳を守るため、経営方式を変革すること
・労働者が定期的に休憩を取ることができるようにすること
・製造工程で用いられる有害な化学物質から労働者の健康を守るため、必要なすべての対策を講じ、その対策と実施状況を公表すること
ファーストリテイリング社に対し、
・製造業者に対して適切な援助をし、労働環境の改善を促すこと
・同社の企業社会責任ポリシーを遵守すること
・製造業者が直接・民主的な労働代表を選任することができるようサポートすること
・製品の製造業者に関する情報を開示することで透明性を維持すること