【イベント報告】3/24(木) 震災から5年 原発訴訟をとおして考える区域外避難者の人権

3月24日、HRNでは福島第一原発事故を受けた区域外避難の現状や、住宅問題、また原発訴訟について考えるイベントを開催しました。

以下、イベントに参加したインターンの報告を紹介します。

まず、原発賠償関西訴訟原告団代表であり、福島県郡山市から大阪に母子避難している森松明希子氏が域外避難の当事者としてお話されました。避難の決断は、放射線から逃れ、子どもの未来を守りたいと考えて自然に出た行動であるが、区域外であるために支援がない現状の問題点を指摘。「自主避難」と表現されることにより「勝手に避難している」といった間違った印象を持たれてしまう問題などを紹介されました。続いて、HRN会員で原発賠償関西訴訟弁護団に所属する中島宏治氏が原発賠償訴訟から通して見える問題を報告。避難地域指定解除による賠償打ち切りや、区域内外での賠償の差、区域の線引きにより被害者間に分断が生じている問題を指摘されました。次に、福島県いわき市から東京に避難し、東京で原告の代表を務める鴨下裕也氏は、政府が域外避難者に対して2018年早々にも住居の無償提供の打ち切りを計画していくことを指摘。打ち切られることで避難の必要性の根拠が失われ、社会の関心・議論から区域外避難者の住宅問題が切り捨てられる可能性があると懸念を示しました。最後に、「東京災害支援ネット」を設立し、原発事故関連の訴訟等に関わってきた、中川素充弁護士は、普通の事故と違い、原発事故では加害者である東京電力が賠償金の算定をしており、算定額が低いことを指摘。今後は避難者が団結し、国の法的責任を明確化して賠償を求めるべきだとしました。

ディスカッションでは、HRNが取り組んできた国連グローバー勧告が紹介され、今後「居住の権利」に関する国連特別報告者にも来日を要請するなどの提案をいただきました。HRNは今後も、福島原発事故問題に国際基準の観点から取り組んでいきたいと思います。(高橋知子)

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