【声明】ナイジェリアにおける200人余の少女拉致について

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報道によれば、2014414日、ナイジェリア北東部のボルノ州チボクで、銃で武装した集団が中高一貫教育を行っている女子校の学生寮に押し入り、女子生徒200人以上を拉致したとされる。

55日、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」の指導者とされる人物[1]が、外国のメディア向けに通じて犯行を認めるビデオ映像を公開、「拉致した少女たちをアラーの御心により売り渡す」と宣言した。拉致の意図は、欧米流の教育をやめさせるためだとその人物は主張している。[2]

少女たちのうち数十人は脱出に成功したと報道されるが、依然多数の少女たちが拘束されていると言う。さらに、ユニセフによれば、今月4日夜にも「ボコ・ハラム」とみられる武装集団が北東部の別の村を襲い、12歳から15歳の少なくとも8人の少女を連れ去ったと言う。[3]

 

 東京を本拠とする国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、勉学に励んでいる少女を、教育をやめさせる目的で拉致し、売買しようとする卑劣な人権侵害行為に強く抗議する。

いかなる理由があるにせよ、子どもを人質とするテロ行為は許されない。

 拉致、奴隷化、人身売買は国際法に違反する深刻な犯罪であり、教育を受けていることを理由として少女を組織的に攻撃するこれらの行為は人道に対する罪に該当する可能性が高い。[4]

少女が教育を受ける権利は、世界人権宣言、子どもの権利条約、女性差別撤廃条約を含む国際人権法によって保障された、極めて重要な権利である。

 

子ども、特に脆弱な立場に立つことの多い少女が、暴力や威嚇、犯罪によって教育を受ける権利を奪われるだけではなく、教育を受けたためにいかなる制裁を受けることも断じて許されるべきではない。

 ヒューマンライツ・ナウは、犯行声明を出した集団に対し、速やかに少女たちを釈放し、保護者のもとに返すことを求める。

同時に、ナイジェリア政府は、少女たちの教育に対する権利、生命・安全に対する権利を保護する責務を果たし、国際社会と協力のうえ、少女たちの人命を尊重し、救出に全力をあげることを要請する。

 また、国連を中心とする国際社会に対し、暴力や威嚇、そして紛争から、子どもたちの成長発達する権利・教育を受ける権利が奪われることのないよう、一層の取り組みを求める。



[1]報道によれば、アブバカル・シェカウ(AbubakarShekau)とされる。

[2]
http://edition.cnn.com/2014/05/05/world/africa/nigeria-abducted-girls/

[3]http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=47733#.U2sjHKmCjSc In May 6 2014, Rupert Colville,
the spokesman for the Office of the High Commissioner for Human Rights , said
in a briefing in Geneva. “[We] warn the perpetrators that there is an absolute
prohibition against slavery and sexual slavery in international law,”. “These
can, under certain circumstances, constitute crimes against humanity
.

[4]Ibid