【イベント】5/12「クメール・ルージュ法廷」開催報告1


<カンボジア特別法廷とは?>

(1) カンボジアでは、1975年~1979年、クメール・ルージュ(カンボジア共産党)が政権を握り、民主カンプチアが成立した。

カンボジア特別法廷(ECCCExtraordinary
Chambers in the Courts of Cambodia
)は、このクメール・ルージュ政権期に起こった大規模な重大人権侵害について、その責任者の処罰を行うために、カンボジア政府と国連との合意に基づいて設置された。

(2) ECCCはカンボジア法上の国内裁判所で、判事やスタッフ等の過半数はカンボジア人だが、国連との合意に基づき、国連事務総長が選んだ判事・検事やスタッフが一定数を占め、予算も国連加盟国の負担が相当な割合を占めるなど、国連の関与も大きい混合法廷である。審理対象は、1975417日から197916日の民主カンプチア政権期に犯された重大犯罪(ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪その他)であり、起訴対象は同政権のSenior leaders及びこれらの犯罪に最も責任がある者に限られる。

(3) クメール・ルージュ政権期の人権侵害は、広汎で多様だが、大量の拷問・処刑、党内粛清があったことは、広く知られている。知識人・海外からの帰国者なども多くが殺害されたとされる。また、都市から農村への移住を強い「集団農場」での強制労働および飢餓・疾病などによっても多くが命を失ったとされる。女性に対する人権侵害(強制結婚、集団強姦)など一層の解明がされるべき人権侵害もある。

 

<カンボジア特別法廷 関連年表>

1863年 フランス、カンボジアを保護国化

1953年 カンボジア王国として、フランスからの独立を宣言

1970年 ロン・ノルら反中親米派、クーデターによりシハヌーク政権打倒。王制廃しクメール共和国樹立。クメール・ルージュ(KR)との間で内戦。

1975年 KRが内戦に勝利し、民主カンプチア(ポル・ポト)政権を樹立。

1979年 ベトナム軍進攻でKR敗走、親ベトナムのプノンペン(ヘン・サムリン)政権擁立。以降、プノンペン政権と民主カンボジア三派連合(KR、王党(シハヌーク)派、共和(ソン・サン)派が加勢)の内戦。

1991年 パリ和平協定

1993年 国連による暫定統治を経て制憲議会選挙。新憲法公布・施行。

1994年 カンボジア国民議会「クメール・ルージュ非合法化」法を採択

1996年 イエン・サリ投降。政府、1979年死刑判決と「クメール・ルージュ非合法化」法違反に恩赦を与える決定

1998年 ポル・ポト死亡。ヌオン・チア、キュウ・サンパン、政府に投降

 

 



<設置までの経緯> ※年表も参照

(1) クメール・ルージュは、プノンペンを追われ、親ベトナム(ヘン・サムリン)政権が成立した1979年以降も、中国やタイなどの支援をうけながら、カンボジア西部などを拠点に抵抗、シハヌーク派、ソン・サン派と反ベトナム三派連合を結成し、内戦が継続した。アメリカや日本を含む国際社会も、親ベトナム政権の正統性を認めなかった。

(2) 1996年のイエン・サリ投降に始まるクメール・ルージュ幹部の投降などを経て、ようやく国際社会にクメール・ルージュ裁判の機運が盛り上がり始めた(ただし、カンボジア政府は、イエン・サリの恩赦を決定した。この恩赦の有効性は今後のECCC裁判における争点の一つとなっている)。国連人権委員会、国連総会の勧告、カンボジア政府の支援要請などを受けて、アナン事務総長は、クメール・ルージュ裁判問題を検討するための専門家パネルを設置、1999年に報告書が提出された。その後、国連とカンボジア政府との特別法廷に関する交渉は紆余曲折を経るが、2001年にカンボジア政府が特別法廷(ECCC)設置法を制定した後、2003年にカンボジア政府と国連がようやく合意に達し、これに基づいて2004年に設置法が改正された。

 

ECCC 裁判官・検察官リスト> *国名の記載がない場合はカンボジア

○(公判)第一審裁判部判事

Mr. Nil Nonn,  Mr. Thou Mony,  Mr. Ya Sokhan
Ms.
Silvia Cartwright
(
ニュージーランド),  Mr. Jean-Marc
Lavergne (
フランス)
〔補欠〕Mr. You Ottara, 〔補欠〕Ms. Claudia Fenz (オーストリア)

○上級審裁判部(最高裁)判事

 H.E. Kong Srim,  Mr. Som Sereyvuth,  Mr. Sin Rith, Mr.
Ya Narin

Mr.
Motoo Noguchi (
日本),  Ms. Agnieszka Klonowiecka-Milart (ポーランド)

Mr.
Chandra Nihal Jayasinghe (
スリランカ)

〔補欠〕Mr. Mong Monichariya, 〔補欠〕Ms. Catherine Marchi Uhel (フランス)

○共同捜査判事

 Mr. You Bun Leng,  Mr. Marcel Lemonde (フランス), 

補欠〕Mr. Thong Ol,  〔補欠〕Mr. Siegfried Blunk(ドイツ)

○共同検察官

 Ms. Chea Leang,   Mr. Andrew T. Cayley (イギリス)

〔補欠〕H.E. Chuon Sun Leng, 〔補欠〕Mr. Nicholas Koumjian (アメリカ)

○公判前裁判部判事

H.E. Prak Kimsan,  H.E. Ney Thol,  Mr. Hout Vuthy
Mr. Rowan Downing (
オーストラリア),  Ms. Katinka Lahuis (オランダ)
〔補欠〕Mr. Pen Pichsaly, 
〔補欠〕Ms. Florence Mumba(ザンビア)