【声明】米国による、イスラエル大使館移転表明に強く抗議し撤回を求める。2017年12月7日 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ

米国による、イスラエル大使館移転表明に強く抗議し撤回を求める。

2017年12月7日

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ

 

1   米国のトランプ大統領は12月6日、ホワイトハウスで演説を行い、中東のエルサレムについてイスラエルの首都と認めると宣言し、現在、テルアビブにある米国大使館をエルサレムに移転する方針を明らかにした。

東京を本拠とする国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは国際法に違反し、安保理決議に反するこの決定に抗議し、これを撤回することをトランプ政権に強く求める。

同時に、安保理は速やかに会合を開催し、討議し、この決定の撤回を促すべきである。

2   1967 年の第三次中東戦争によって、イスラエルは1949 年の停戦ラインである「グリーンライン」を越えて西岸地区及びガザ地区に侵略、以後国連安全保障理事会が撤退を求めてもこれに従わず、西岸地区とガザ地区を占領下に置き、現在まで継続している。

そして占領直後より東エルサレムを一方的に併合しており、1980 年に「統一された」エルサレムをイスラエルの首都とする基本法を制定した。

こうした一連の措置は明らかに国際法上違法であり、そのことは国連安全保障理事会によって繰り返し確認されてきた。

国連安保理決議242 (1967)は、戦争による領土の獲得が認められないことを明確にし、「近年の紛争で占領した領域からのイスラエル軍の撤退」を即時行うよう、イスラエルに求めている。

さらに安保理は、東エルサレム併合を非難し、イスラエルによる東エルサレムの状況を変える行政的・法的措置は、入植、土地の摂取も含めすべて無効であることを決議した(安保理決議298 (1971))。

これら決議に反してイスラエルがエルサレムを統一された首都とする基本法を制定したことを受け、1980年の安保理決議478は、基本法が国際法に違反することを確認し、エルサレムの状況を変えるすべての行政的・法的措置は無効であることを確認し、すべての国連加盟国に対し、エルサレムに大使館等外交使節を設置しないよう求める決議を採択している。

トランプ政権の措置は、これら累次の国連安保理決議に明白に違反するものである。これは安保理常任理事国が明確な安保理決議違反を公然と行い、平和への脅威に加担することにほかならず、到底あってはならないことである。

3  中東紛争は、イスラエルの国際法違反の固定化により深刻化してきた。中東和平は、法の支配、国際法に即したかたちで行われなければならず、改めてヒューマンライツ・ナウはこのことをすべての国連加盟国、とりわけ米国政府に呼びかける。

国連総会決議2625(1970、いわゆる「友好関係原則宣言」)は、「武力の行使または威嚇に基づく領土併合はいかなる場合も違法」という国際法の原則を確認した。この原則を踏みにじるような行動が許されないことは改めて強調されるべきである。

ヒューマンライツ・ナウは、安保理決議に反する決定を速やかに撤回することをトランプ政権に強く求める。そして、安保理に対し、この重大問題について速やかに会合を開催し、討議し、この決定の撤回を促す決議を採択するよう求める。

 

以上