【活動報告】3/20~22国連特別報告者アナンド・グローバーさん招聘企画を行いました。

2014年3月20日(木)~22日(土)にかけて、
国連人権理事会の任命した”到達可能な最高水準の心身の健康を享受する権利”
(健康に対する権利)特別報告者アナンド・グローバー氏を招聘いたしました。
皆様方にはご協力いただきまして、誠にありがとうございます。
たくさんの方々にご支援いただき、グローバー氏に日本に来ていただくことができました。
グローバー氏は、2012年11月に来日し、
2011年3月の福島第一原発事故後の人びとが置かれている状況について
「健康に対する権利」の観点から正式な事実調査を実施し、
その結果を2013年5月の人権理事会に調査報告書として提出、
日本政府に対し、抜本的な政策転換を求める重要な勧告をしました(グローバー勧告)。
ところが、その勧告を日本政府はほとんど取り入れず、
原発災害の影響を受けた人々の置かれた状況は極めて深刻なままです。
今回の来日は、グローバー勧告を多くの方に知っていただき、世論を喚起すると共に、
政府とのダイアログを行うために実施いたしました。

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【実施報告】


① 3月20日(木)10:30~11:30 日本外国特派員協会にて記者会見。
海外メディアだけではなく、日本のメディアも多数ご参加されました。
下記のリンクよりご覧いただくことができます
日本外国特派員協会  https://www.youtube.com/watch?v=Gzg98qoGGEk 

② 3月20日(木)12:10~14:20 参議院議員会館・講堂で開催された院内勉強会(150人参加)

グローバー氏の勧告の内容に関する講演の後、関係省庁の勧告の履行状況の報告、
NGO・市民社会との対話の機会をもちました。出席した省庁・および言及した内容は以下です。
・復興庁 佐藤紀明参事官 「子ども被災者支援法における支援対象地域の考え方」 
・環境省 桐生康生参事官
  「原発事故に伴う住民の被ばくと健康調査に関する日本の政策と
  グローバー勧告が受け入れられない理由」
・原子力規制委員会 室石泰弘監視情報課長
  「福島原発事故に伴う放射線モニタリングと住民の放射線防護措置」
・外務省 山中修人権人道課長 伊藤京子人権人道課外務事務官
   「グローバー勧告のフォローアップへの取り組みについて」
ご報告のあと、NGO・市民社会から、意見が出され、活発な議論がありました。
 伊藤和子   (弁護士/ヒューマンライツ・ナウ事務局長)
 岩田 渉   (市民科学者国際会議(CSRP))
 河崎健一郎 (弁護士/福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN))
  満田夏花     (FoE Japan 理事) ほか
 院内勉強会の様子は下記のリンクよりご覧いただくことができます。

  Our Planet-TV       http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1748
  ユープラン https://www.youtube.com/watch?v=APu1dex8-mY
 IWJ(会員のみ視聴可能) http://www.ustream.tv/recorded/45083448

 この場では、グローバー氏の勧告が十分に理解されていないことに加え、
政府が繰り返し低線量被ばくの影響を過小評価する見解を示しているものの、
その実態は根拠が極めて薄弱であり、最新の研究結果を十分に参照していないことが
改めて明らかになりました。
 今後の市民社会と政府のダイアローグにとって貴重な第一歩となり、
意義の多い院内勉強会でした。
 院内勉強会終了後は、この3年間、福島をはじめとする放射線数値の高い地域の人々の
置かれた状況を改善するべく取り組んできたNGO、国会議員、原発労働者との面談を行い
ました。グローバー氏は市民社会の参画の重要性を強調しておられました。
③3月20日(木)18:00~21:00 明治学院大学にて開催されたシンポジウム(参加:170人)
『国連人権理事会グローバー勧告を受けて~福島原発事故後の「健康の権利」の現状と課題』
グローバー氏による勧告の内容についての講演ののち、
福島第一原発で収束作業に従事する方、福島市内で測定する活動に取り組んでいる方、
会津で子どもたちを放射能から守る取り組みをしていらっしゃる方からの発言していただきました。
そしてゲストをお迎えし、伊藤事務局長のコーディネートによりシンポジウムを開催いたしました。
・井坂晶氏(福島県双葉郡医師会顧問(前会長))
・木田光一氏(福島県医師会副会長)
・崎山比早子氏(高木学校/元放医研・主任研究員/元国会事故調査委員会委員)
・島薗進氏(上智大学神学部教授/同大学グリーフケア研究所所長)
福島県県民健康管理調査検討委員会の委員をされている井坂氏から、
健康診査・支援体制の改革の必要性と方向性が明確に示され、
木田氏からは、日本医師会、福島県医師会も井坂氏と同様の見解であり、
グローバー勧告を基調とした健康モニタリング体制の改革が必要との力強いメッセージを
いただきました。
崎山氏からは低線量被ばくのリスクを重視したグローバー勧告の重要性が専門家の
観点から提起され、島薗氏はこれを受けて、政府の行おうとしている
リスク・コミュニケーションの問題、原発災害の影響を受けた方々への施策の
抜本的な転換が多岐にわたる視点から提案されました。
グローバー氏のまとめのコメントに参加者一同、これからに向けてエネルギーを
もらうことができました。
下記リンクから、当日の様子をご覧いただければと思います。 
 IWJ(期限つき公開)        http://www.ustream.tv/recorded/45088141 
 ユープラン第一部(手話付き)  https://www.youtube.com/watch?v=P8oGphtJ-gI
 ユープラン第二部(手話付き)  http://www.youtube.com/watch?v=cDN7DaOOfGk

④3月21日(金) 13.00~18:00 福島大学・L4教室にて開催されたシンポジウム (参加:150人)

 『放射線被ばくを健康への権利と教育から考える』
福島大学放射線副読本研究会の方々のご尽力でグローバー氏の講演、
第一部 健康に対する権利に関する分科会
・今中哲二氏(京都大学助教)
・木田光一氏(福島県医師会副会長)
・荒木田岳氏(福島大学准教授・福島大学放射線副読本研究会)
・伊藤和子氏(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)
第二部 原子力・放射線教育に関する分科会
・國分俊樹氏(福島県教職員組合書記次長)
・佐々木清氏(郡山市立郡山第六中学校教諭/福島県中学校教育研究会理科専門部)
・八巻俊憲氏(福島県立田村高等学校教諭/日本科学教育学会)
・後藤忍(福島大学准教授/福島大学放射線副読本研究会)
を開催いたしました。
ここでは、各分野の専門家福島でこの問題に長く取り組んでこられた多数の方々の
御参加を得て、充実した意見交換をする機会となりました。
特に、教育の分野での様々な現場での取り組みに力づけられました。
当日の様子は下記をご覧ください。

  IWJ(会員のみ視聴可能) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/130329

⑤3月22日(土) 9:30~18:30 同志社大学 志高館にてシンポジウム開催
『福島原発事故後、健康の権利をどう実現できるか?:その現状と見地』
1.ワークショップ
・峯陽一氏 (同志社大学グローバルスタディーズ研究科)
・中里見博氏 (徳島大学)
・小山田英治氏 (同志社大学)
・清水奈名子氏 (宇都宮大学大学院国際学部)
・白石理氏 (アジア・太平洋人権情報センター、ヒューライツ大阪)
 2. 討論会「市民社会における経験と応答の共有」
・宗田勝也氏(ラジオ難民ナウ!)
・皆川萌子氏(同志社大学)
・セシル・アサヌマ=ブリス氏(日仏会館(CNRS-UMIFRE19))
・福島敦子氏(原発賠償京都原告団)
・3.11同志社学生ネットワーク
・アナンド・グローバー氏(国連・人権理事会特別報告者)
・他
  22日は、関西で初めてグローバー勧告について議論するシンポジウムが
開催されたものですが、原発事故後に関西に避難をされた方々がスピーカーとして、
また参加者として多数参加され、避難者の方々が提起した訴訟に関する支援の必要性が
確認されました。
 多彩なスピーカーがそれぞれの立場から、今後の政策改善とグローバー勧告の
実施のための課題と活動のアイディアを出しあいました。
 今回、多忙なグローバー氏に3日間、日本に来ていただき、駆け足でしたが
勧告についてお話ししていただけたことは原発災害から4年目に入ったわたしたちにとって、
大きな学びとなり、励ましとなったのではないかと思います。
  同時に、これまでの取り組みを振り返り、今後の新たな連携や取組について確認する
場となったと思います。
 ヒューマンライツ・ナウでは、今後とも皆様と連携し、グローバー勧告を原発災害被災者
の支援施策に活かすべく、取り組んでいきたいと考えております。
 この度は、沢山のみなさまにご支援いただきまして誠にありがとうございました。
今後とも皆様の御支援、御協力、そして当団体の活動へのご注目をいただきたく、
何卒よろしくお願いいたします。