【声明紹介】中国「709事件弁護士一斉拘束一周年家族による共同声明」のご紹介

中国では2015年7月以降、200人以上の弁護士や活動家が一斉に取り調べを受けたり、拘束されたりしています。このうち20人あまりは、国家を転覆しようとした疑いなどで逮捕・拘束されています。

大規模な拘束が始まってから1年経つのに合わせて、拘束されている人たちの家族や支持者らが2016年7月8日、インターネット上に「709事件 弁護士一斉拘束一周年家族による共同声明」を発表しました。中国語の原文と日本語訳をご紹介します。

家族も、家族が弁護を依頼した弁護人も、未だ接見を許されていません。家族や支援者は監視されており、子どもの学校入学を妨害されたり、借りている家を追い出されたりといった嫌がらせを受けています。

ヒューマンライツ・ナウでは、中国の弁護士や活動家の置かれている状況に注目しており、拘束されている人たちが、適切な弁護を受ける権利が保障されるべきだと考えており、今後も注視していきます。

日本語訳はこちら 709弁護士一斉拘束一周年家族連合声明(日本語訳) 【PDF】

中国語原文はこちら 709弁護士一斉拘束一周年家族連合声明 (中国語原文) 【PDF】


【709事件 弁護士一斉拘束一周年 家族による共同声明】

<日本語訳>

私たちは2015年7月9日に一斉拘束された弁護士の家族、親戚、弁護士、その他積極的に活動する一般市民です。弁護士たちは長年にわたって人権、言論・信仰の自由、土地紛争、反差別、食品安全など多くの問題に取り組んできました。自らの専門知識を使い、市民と連携しながら、中国における法治改革と権利擁護のために尽力してきました。

2015年7月9日前後、弁護士たちが次々に失踪しました。国家の安全に危害を加えたという名目で、中央テレビ局が罪と認めるように強要しました。たった一通の逮捕通知書が送られてきただけで、他には何の知らせもありません。

この1年、弁護士たちの代理人を務める弁護士と私たち家族は、何十回も検察院、公安局、看守所を訪れましたが冷たくあしらわれ、私たちの努力は徒労に終わりました。7月7日、709事件の当事者の一人である趙威が保釈され、微博(ウェイボ・中国版ツイッター)でメッセージを発信しました。このニュースを私たちは嬉しく聞き、胸をなでおろしましたが、同時に悲しい気持ちもこみ上げてきました。彼女がやっと社会(大きな監獄とも言えますが)に戻ってきたことは、大きな喜びです。しかし、彼女がこの一年耐えてきた大きな苦痛を想像すると、とても悲しくなるのです。彼女は保釈後、半日も経たないうちに、微博で長いメッセージを発信しました。これも、709事件で公権力が濫用されていることを証明しています※。

※趙威が当局の脅しに怯えてメッセージを発信した可能性があると捉えているのだろう。

当局は以下のような嫌がらせや妨害を数え切れないほど行なっており、趙威の事例はその中の一つに過ぎません。

 

  1. 声を上げることを禁止:外部の声援や支持を受けないように、警察は数百の弁護士や市民を呼び出し、声をあげないよう要求しました。また、709事件に関わる弁護士や市民に嫌がらせをしています。
  2. 官製メディアによる審判:官製メディアを通して当事者に罪を認めるよう強要し、さまざまな方法で当事者に汚名を着せ、保釈された一部の人たちが外部と接触したり、他の人の保釈を求めたりしないように脅しています。
  3. 収録に誘導:当事者に罪を認めさせるため、警察は家族を誘惑したり脅したりし、当事者に収録に参加するよう家族に説得させています。
  4.  違法に弁護士を解雇:当局は当事者が弁護士に接見するのを阻止し、外部の状況を知らせないために、数々の欺瞞の手段を使い、弁護人を勝手に指定し、家族が依頼した弁護人の接見を拒絶しています。
  5. 家族を巻き添えに:709事件の家族は日頃から尾行され、借りている家を追い出され、子どもは学校に入学できず、仕事は妨害され、夜中にドアを叩いて騒がれ、正常な生活を送ることもできません。
  6. 子どもにもしわ寄せ:未成年の子どもまでもが犯罪容疑者扱いされ、パスポートの取得や出入国を阻止されています。24時間監視下に置かれている子どももいます。

 

709事件では依然23人の弁護士と市民が拘束されたままであり、王宇、王全璋、李和平、謝燕益、謝陽、李春富、周世鋒、胡石根、包龍軍、劉四新、呉淦、林斌、勾洪国、唐志順、幸清賢、翟岩民、劉星、張衛紅、李燕軍、姚建清、王芳、尹旭安、張婉荷など、大部分の人が弁護士に接見できていません。多くの家族や保釈された人たちは脅迫され、恐ろしくて声を上げることができず、非常に憂慮すべき状況に置かれています。

 

ここに、私たちは強く以下のことを要求します。

  1. 709事件に関連する人たちの釈放、当事者の権利を守り、彼らに汚名を着せるのをやめ、彼らが弁護人に接見する権利を認めてください。仮に彼らが犯罪を犯しているとしても、私たちには自分で弁護人を探す能力があり、警察が弁護人を指定する必要はないと考えています。
  2. 家族に対する監視をやめ、家族や関係者へのハラスメントや尾行、迫害を停止してください。
  3. 各方面における家族の合法的な権利を保障し、家族が合法的に出入国できるようにしてください。

 

私たちが公民として自分と家族の合法的な権利の保障を求めるというのは、最も素朴な基本的要求です。当局は、火遊びは災いの元だということを知るべきでしょう。今日、当局が採用している数々の非合法的な手段は、必ず悪い結果をもたらします。

私たちは一年もの間、迫害され続けていますが、多方面からの関心と支持を受けています。一周年にあたり、709事件に関わる一部の家族を代表し、感謝の意を伝えます。まず、709事件のために奔走している弁護士たちに感謝します。彼らは、当局の悪意ある妨害にもめげず、労苦を厭わず、前線に立ってくれています。国際社会の関心にも感謝します。各国政府、メディア、NGOの方々の声援に感謝します。このような声援のおかげで、当局は意のままに事を動かせなくなっています。国内の友人たちにも感謝します。私たちは、リスクを冒してまで関心をもち、支持してくれる人たちのことを深く心に刻みます。

長く暗い夜も怖くはありません。心の中に愛があれば、どれだけ大きな恐怖も私たちの歩みを止めることはできません。私たち家族は再び家族の団欒を取り戻すことを希望しています。家族が投獄されることも、家族が巻き添えにされることも望みません。しかし、社会が進歩するためには、先に行く者が必要です。家族は中国社会の進歩のために代償を払っていますが、家族の苦難も今生の栄光です。

709事件はまだ続いています。これからも各界の関心と支持をお願いします。中国にはまだ他にも多くの人権活動家や異議を唱える人たちが逮捕され、拘束され、私たち家族が経験しているような迫害に遭っており、彼らも国内外の関心や支援を必要としています。盧昱宇、李婷玉、胡長根、符海陸、張隽勇、羅誉富、秦永敏、趙素利、張海涛など、最近捕まった人、長期にわたって失踪している人、重い判決を下された人がいます。ハンガーストライキで抵抗している郭飛雄、于世文、家族に会うことを許されていない唐荊陵、王清営、労働者のために闘ってきた服役中の曾飛洋、孟晗など。名前を全て書くことはできませんが、私たちは他の一人一人の政治受難者のことを想い、彼らが苦しみに負けず、愛の中で共に励ましあいながら、前に進んでいけるように祈っています。

国家が安全で安定しているなら、良心的な人を捉えるはずがありません。私たちは、法律の義務において、人道的な民心の天理において、正義は我々と共にあり、やがては曙の光が差すと信じています。

 

署名者:
王峭岭(弁護士、李和平の妻)
原珊珊(弁護士、謝燕益の妻)
劉二敏(公民、翟岩民の妻)
李文足(弁護士、王全璋の妻)
王全秀(弁護士、王全璋の姉)
樊麗麗(公民、戈平之妻)
陳桂秋(弁護士、謝陽の妻)

2016年7月8日

【709大抓捕一周年家属联合声明】

<中国語原文>

我们是709大抓捕事件部分当事人的家属,我们的亲人,有律师,也有积极公民。之前多年,他们在人权、言论/信仰自由、土地纠纷、反歧视、食品安全等方面做了大量的工作。通过自己的专业知识,及与社会大众的连结,致力于中国的法治改革及权利维护。

2015年7月9日前后,他们失去联系,被以涉嫌危害国家安全的名义,凭着上央视认罪及一纸逮捕通知书,再无音讯。

过去一年,代理律师和我们数十次往返奔波于检察院、公安局、看守所,遭遇冷漠拒绝,徒劳而返。7月7日,看到709事件当事人之一赵威获得取保候审并发出微博,我们为之欣慰又感到心酸。欣慰的是她终于回到社会大监狱,心酸的是,难以想象她这一年遭遇了多大的折磨,才被迫在取保候审不到半天的时间内发出微博长信指控。这恰恰见证了709事件中公权力持续滥用可耻的一幕:

  1. 禁止发声。为断绝外部声援支持,传唤数百名律师、公民,警告要求不得发声,至今仍有涉709事件的律师公民被骚扰;
  2. 官媒审判。对当事人强迫通过官方媒体认罪,采用各种方式污名化,对部分取保候审的当事人,恐吓不得和外界接触乃至要求指控其它人等方能取保;
  3. 诱录视频。为了让当事人认罪,警方威逼诱骗亲属录制视频劝导当事人,极尽威胁;
  4. 非法解聘律师。为了不让当事人会见律师,不让外界知道情况,不惜使用种种欺骗手段,为他/她们指定律师,拒绝家属聘任的律师进行会见;
  5. 株连家属。作为709事件家属,我们出门被跟踪,租房被逼迁,孩子难入学,工作受干扰,半夜被敲门骚扰,难以正常生活;
  6. 殃及儿童。把我们甚至未成年的儿童列为犯罪嫌疑人,拒绝办理护照出入境,至今有的家属、孩子一天二十四小时处于警方严密监控之下。

以上种种行径,数不胜数,赵威仅是其中一例。时至今日,仍有23位709相关律师、公民在押,其中大部分未能会见律师,他们包括王宇、王全璋、李和平、谢燕益、谢阳、李春富、周世锋、胡石根、包龙军、刘四新、吴淦、林斌、勾洪国、唐志顺、幸清贤、翟岩民、刘星、张卫红、李燕军、姚建清、王芳、尹旭安、张婉荷。
此外,还有大量相关家属、取保候审人士仍持续受到威胁不敢发声,对他们的遭遇和处境,我们深感忧虑。

在此,我们强烈要求:

  1. 释放709相关人士,保障当事人的权利,停止抹黑指控污名化,保障律师会见权。如若他们涉嫌犯罪,我们有自行聘请律师的能力,无需警方指定律师;
  2. 撤除对家属的监控,停止对家属、709相关人士的骚扰、盯梢及迫害;
  3. 保障家属的各项合法权利,恢复家属合法出入境。

作为公民,要求保障我们及亲人的合法权利,是最朴素的基本要求,需知玩火者必自焚,今日你们采用种种非法手段,他日也必将自尝恶果。
即使在持续一年的高压之下,我们仍然得到多方关心和支持,值此一周年之际,谨此以709事件部分家属的名义,一并表示感谢:
感谢为709事件奔波的律师们,即使当局各种恶意阻挠,你们顶住压力,一次次不辞劳苦奔波在前线上;
感谢国际社会的关注,包括各国政府、媒体、NGO,感谢你们的声援,才使得当局减少肆意妄为;
感谢国内的朋友伙伴,你们冒着风险的的关心和支持,我们将铭记在心。
黑夜漫漫,并非没有恐惧。然心中有爱,再大的恐惧也不会阻止我们前行的脚步。作为家人,我们希望合家团聚,不愿亲人遭遇牢狱之灾,不愿家人遭受牵连,然而,社会的进步需要前行者,亲人们为中国社会进步付出的代价,是家庭的苦难,也将是我们此生的荣光。

709事件仍在持续中,期待仍能得到社会各界的关注和支持。与此同时,我们也意识到,在中国,仍有大量不为人知的人权捍卫者、异议人士受到拘捕、关押,遭遇和我们亲人类似的迫害,他们也需要得到海内外的关怀和帮助。他们包括卢昱宇、李婷玉、胡长根、符海陆、张隽勇、罗誉富、秦永敏、赵素利、张海涛等近期被捕或长期失踪、重判的人士,也包括处于绝食抗争中的郭飞雄、于世文先生,无法会见亲属的唐荆陵、王清营先生,为工人抗争而坐牢的曾飞洋、孟晗先生等等,还有其他无法在此一一列出名字者,我们深深牵挂每一位政治受难者,愿他们能经历磨难,在爱中,共同勉励前行。

国家的安全稳定注定无法通过抓捕良心犯获得,我们深信,在法律公义的天秤之上,在人道民心的天理之上,正义终将与我们一起,迎来曙光。

签名:
王峭岭(律师李和平之妻)
原珊珊(律师谢燕益之妻)
刘二敏(公民翟岩民之妻)
李文足(律师王全璋之妻)
王全秀(律师王全璋之姊)
樊丽丽(公民戈平之妻)
陈桂秋(律师谢阳之妻)

2016年7月8日