ヒューマンライツ・ナウの震災問題プロジェクトでは、2012年11月19日および2013年2月3日、福島県伊達市の住民が置かれている状況を調査するため伊達市内や福島市内を訪れ、聞き取り調査を行いました。
このたびその調査内容を報告書としてまとめ、公表するとともに、政府・伊達市・東京電力に対し下記の勧告を行います。
伊達市調査報告書 全文はこちら↓
勧 告
ヒューマンライツ・ナウは政府、伊達市、東京電力に対し、以下のとおり勧告する。
1 政府・伊達市は、現状の深刻な放射線量の実態を踏まえて、特定避難勧奨地点の解除を検討し直すこと。
2 政府・伊達市は、放射線汚染の実態について、定点観測地点の放射線量測定にとどまらず、包括的な調査を定期的に実施し、これを公表すること。放射線汚染の実態把握にあたっては、地元住民やPTA父母、市民団体等の実施している放射線量測定結果を十分に考慮すること。
3 住民に速やかに年間1mSv以下(自然放射線を除く)で日常生活を過ごすことが出来る生活環境を保障するよう、居住地、学校、道路、田畑等、コミュニティ全体の面的除染を、時期的目標を明確に定めて推進すること。
住環境が年間1mSv(自然放射線を除く)を下回らない間は、住民に対し、避難勧奨地点指定の有無を問わず、避難の権利を認め、避難の支援をするとともに、賠償を継続・追加的に実施すること。
4 高い放射線量が確認されている学校においては、低線量被ばくから子どもを守るため、学校の移動・再編を検討すること。
また、子どもたちを低線量被ばくから守るため、長期間の移動教室、保養プログラムが行われるよう、移動教室・保養プログラムを継続、拡充すること。そのための十分な予算措置を講ずること。
5 子どもたちの健康と健全な育成を守るため、保護者・子どもの意見を十分に取り入れ、その参加を保障したうえで、学校と周辺の定期的な放射線測定と除染、学校の移動・再編、保養・移動教室プログラムの実施、放射線防護対策、給食の安全確保、通学支援、屋外活動に関する対応等の施策を策定・実施すること
6 子どもの甲状腺検査については、2年に一度という頻度を見直して少なくとも住民全員に1年に1度の検査を実施する体制を構築し、かつ、血液・尿検査を同時に実施すること。
以上