ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は中華人民共和国の香港に対する国家安全法の適用により、周庭氏ら民主活動家の不当な逮捕に憂慮し、声明を作成致しました。
全文は以下をご覧ください。
また以下のリンクからPDFファイルで声明をダウンロードすることも可能です。
周庭氏をはじめとする香港の民主活動家の不当な逮捕に対する抗議
8月10日、香港の民主運動の先頭に立ってきた周庭氏、香港の報道機関の中心人物である黎智英氏ら、総計10人が国家安全維持法違反の疑いで逮捕されたと報道された。
周庭氏は、後ろ手を縛る逮捕連行場面が報道機関の面前に晒され、極めて懲罰的であり、民主活動を沈黙させる狙いがうかがわれる。
周庭氏、黎智英氏は保釈されたものの、そのほかの逮捕者の消息は不明であり、また訴追が撤回されたという報道はない。
そもそも、中国政府は「一国二制度」の原則を尊重し、香港に高度の自治、権利、自由を認めなければならないとされており、香港基本法第23条は、国家の安全については香港政府が「自ら法律を制定するものとする」と規定する。中国当局が一方的に、国家安全維持法を制定することは一国二制度、香港基本法に明白に反しており、法の支配を明らかに踏みにじるものである。何より、「外国勢力と通じた」など著しく広範な規定によって、正当な民主化活動や国際連帯を弾圧することは、世界人権宣言、香港基本法に保障された表現の自由を始め基本的人権を著しく蹂躙する暴挙である。
周庭氏、黎智英氏は平和的に自由を求める活動を行ってきただけであり、その訴追は明らかな人権弾圧で到底許されない。
香港の人たちが追求し続けている自由と民主主義が中国政府による一方的な国家安全維持法の施行によって蹂躙されようとしていることに対し、国際的な懸念と批判が集まり、これに抗する周庭氏らに対する連帯が広まることは、基本的人権と自由を基調とする国際社会において自然なことであり、中国政府は世界の声に真摯に耳を傾け、強権発動を反省すべきである。
ヒューマンライツ・ナウは周庭氏らへの弾圧に強く抗議し、周庭氏ら民主化活動家に対する国家安全維持法関連の訴追の完全な撤回を求める。そして、中国・香港当局に対し、今後一切の国家安全維持法の発動を行わず、同法を廃止し、一切の言論弾圧を停止することを求める。
また日本政府に対し、国際社会と連携し、中国政府による香港の自治と自由を破壊する強権的行為を強く批判すること、国家安全維持法のすべての訴追を取り下げ、今後いかなる発動も行わず同法の廃止を強く求めること、危機にさらされた人々を避難民として受け入れる新たな制度を速やかに導入し、香港の人々の自由と安全を守るためにあらゆる努力をすることを求める。