【声明】国連人権理事会、普遍的定期的審査(Universal Periodic Review)が開催され、 各国政府が日本の人権状況について厳しく勧告。

国連人権理事会、普遍的定期的審査(Universal Periodic Review)が開催され、

各国政府が日本の人権状況について厳しく勧告。

1 10月31日、国連人権理事会作業部会は、日本の人権状況に関する審査を
行った。これは、2006年3月15日の国連総会決議60/251(人権理事会設置決議)
に基づき始まった普遍的定期的審査(UPR)制度によるもので、2008年より、4年に
1度のサイクルで国連加盟国すべての国の人権状況を審査している。日本は2008年
度第2会期審査で初めて審査され、現在14会期にて2度目の審査を受けている。

2 第1回UPR日本政府審査においては、日本政府に対し26の勧告が出され、日本
政府はこのうち13の勧告(国内の人権侵害の申し立てを審理する独立機関の設置、
国際人権条約の個人通報制度の受領、男女の平等を確保するための法整備など)
を受け入れることに同意した。しかし、勧告のこれまでの実施状況は十分とはいえず、
市民社会との協議も十分には設けられてこなかった。

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、日本政府がUPRの勧告を効果的に
取り入れていないとして、繰り返し問題提起を行ってきた。本日の審査においても、
多くの国連加盟国から、2008年と同様の勧告がなされた。

中でも、パリ原則に基づく独立した人権擁護機関の設立、人権条約の個人通報制度
の実現、取調べの全面可視化や弁護人の取調べ立ち会い、起訴前勾留制度の改革
等の刑事司法改革、死刑の執行停止と死刑の存廃に関する国内的な議論の喚起、
死刑囚処遇の国際人権基準に基づく改革、従軍慰安婦問題に対する解決、女性に
対する暴力・人身売買の根絶のための措置と女性のエンパワーメント、民法の女性
差別規定・非嫡出子差別規定等の改正などの課題については、多くの国が繰り返し
勧告を出しており、国際社会の強い懸念が示されたといえる。

また、今回の審査では、とりわけ、女性に対する差別撤廃、障がい者、外国人、
LGBTに対する差別撤廃の課題について、日本政府のさらなる取り組みを求める
勧告が相次いだ。これら差別撤廃に向けて、確固とした方針と実効性のある政策を
とり、現実に差別を根絶していくことが求められている。

日本は国際社会の強い懸念に応え、勧告の実現に真剣に取り組む必要がある。

3 今回の審査では、公務員等に対する人権教育の必要性、学校教育における
人権教育の必要性も複数の加盟国から指摘されており、注目される。

日本政府は、現在の不十分な人権教育政策を再検討し、改善することが求められて
いる。

4 第一回UPR以後に発生した事態として、HRNは、2011年3月11日の東日本
大震災と、福島第一原子力発電所の事故に伴う周辺住民への深刻な人権侵害に
ついて情報提供を行ってきた。

 本日の審査においては、福島の人々に対する健康を保護するために必要な措置を
取ること、11月に予定される「国連健康の権利に対する特別報告者」の調査に真摯に
応じ、市民社会が特別報告者に会うことのできる機会を保障するよう勧告が出された。
重要な勧告であり、HRNはこの勧告を真摯に実現することを日本政府に求める。

5 HRNは日本政府に対し、本日の審査で提案された上記勧告を受諾するとともに、
これら勧告を現実に実施し、市民社会と積極的に連携して日本の人権状況を改善
していくよう、要請するものである。

                                          以上