ヒューマンライツ・ナウは声明
「ユニクロ 主要取引先工場リスト の公開を歓迎し、一層のコンプライアンス推進を期待する。」
を公開しました。
ユニクロ主要取引先工場のリストの公開を歓迎し、一層のコンプライアンス推進を期待する
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ユニクロ 主要取引先工場リスト の公開を歓迎し、一層のコンプライアンス推進を期待する。
1 2017年2月28日、ユニクロ、GUで知られる株式会社ファーストリテイリング(以下、ファーストリテイリング)[1]は、ユニクロの主要取引先工場リストをウェブサイト上で公開した。[2]
7カ国146工場の名称と所在地が公表されており、報道によれば、ユニクロの商品の生産の8割を占める主要取引先縫製工場であるとされ、[3]業者名の公表を通じて、工場に労働環境の改善を促す狙いもあるという。[4]
ヒューマンライツ・ナウは、2015年1月の、ユニクロ中国委託先工場潜入調査報告書公表以来、パートナー団体であるSACOM[5]とともに、株式会社ファーストリテイリングに対し、サプライヤー・リストの公開を求めてきた。[6]
サプライヤー・リストの公開は、サプライチェーンの透明化を図り、説明責任を果たし、サプライチェーン上の人権保障を推進するための要となる施策であり、ナイキ、アディダス、プーマ、H&M、GAP、M&S、Inditex など大手アパレルが採用し、世界の趨勢となっている。
ファーストリテイリングはこれまでサプライヤー・リストを公開せず、コンプライアンスの観点では世界のブランドから立ち遅れていたものであるが、このたびようやく、主要取引先工場リストの公開に至った。ヒューマンライツ・ナウはコンプライアンスに向けた積極的な動きとして、これを歓迎する。
2 今回のリスト公開は、ユニクロの主要取引先に限定されたものであり、GUの取引先は未だ公開されていない。また、主要取引先の意義や、リストに掲載された取引先がユニクロの商品や売上において占める割合についても、ファーストリテイリング社の公開資料からは明らかでない。加えて、縫製工場のみが対象となっており、素材工場などの二次委託先はリストに含まれていないと考えられる。
全商品の約98.5%のサプライヤーがリストに含まれることを明記し、縫製工場、素材工場をわけて包括的なサプライヤー・リストを公表しているH&M[7]や、従業員数や製造している商品のカテゴリー(アパレル、アクセサリー、靴等)も記載しているGAP[8]など、他のグローバル・ブランドと比較すれば、今回のリスト公表はまだ十分な公開とは言えない。この点、ヒューマンライツ・ナウとSACOMが2015年に公表した労働環境調査において、調査対象となり、深刻な問題が確認された2工場のうち、1工場は素材工場であったことは留意されなければならない。
ヒューマンライツ・ナウは、ファーストリテイリング社に対し、今回の開示にとどまることなく、一層の透明性確保を期待する。具体的には、
・GUについても早急に取引先リストを開示すること
・二次以降の委託先に関する取引先リストの開示に向けた検討を開始すること
・原材料調達も含めたトレーサビリティの確保も進めていくこと
を要請する。
また、公開されている取引先のリストについては、今後、定期的に情報をアップデートするとともに、新旧の取引先のリストがわかる形で公開を進めていくことを要請する。
3 サプライヤー・リストの公表は言うまでもなくコンプライアンスのゴールではなく、いわば透明化のためのスタート地点である。
ヒューマンライツ・ナウは、2015年1月、2月にファーストリテイリングが公表した委託先工場での労働環境改善についてのアクションプランの進捗状況について消費者・市民社会にもわかるような透明性の高い説明・開示を求めているが、この点でファーストリテイリングの対応は十分と評価できない。[9]
主要取引先リスト公開を第一歩として、労働環境改善の進捗状況の開示について、透明性を高めていくこと、現地ステークホルダーの関与を十分に確保したうえで労働環境改善施策を進めていくことを要請する。
4 ファーストリテイリングの主要取引先の開示は、日本における責任あるサプライチェーンの達成全体に積極的な影響をもたらすことが期待される。
ヒューマンライツ・ナウは、日本国内の主要なアパレル企業、さらに、すべての主要製造業企業に対し、今回の改革にならい、サプライヤー・リストの公開を推進していくことを強く要請する。
以上
[1] http://www.fastretailing.com/jp/
[2] http://www.fastretailing.com/jp/sustainability/business/policy.html#factory
[3] http://www.senken.co.jp/news/management/fr-uniqro-sustainability-170228/
[4] http://digital.asahi.com/articles/ASK2X4TSMK2XULFA00Q.html?_requesturl=articles%2FASK2X4TSMK2XULFA00Q.html&rm=564
[5] Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour
[6] http://hrn.or.jp/activity/2127/
[7]http://sustainability.hm.com/en/sustainability/downloads-resources/resources/supplier-list.html
[8] http://www.gapincsustainability.com/sites/default/files/Gap%20Inc%20Factory%20List.pdf
[9] 2015年2月11日にヒューマンライツ・ナウとSACOMが発表した声明「ユニクロ製造請負工場・短期的改善を超えた抜本的解決を」では、以下の包括的な解決を提言している。
1) 工場に対する調査結果の公表を含め、アクションプランの進捗•結果に関する情報の詳細を公表することを通じて、透明性を確保すること。
2) ユニクロのサプライヤーに対する低い発注額を是正すること
3) 2015年6月までに、少なくともユニクロのサプライヤー5社において、非営利の労働者の権利擁護団体の参加を確保したうえで、民主的な工場単位の労働組合の結成の促進および、労働者のトレーニングを実施すること
4) ユニクロのサプライヤーにおける労働環境モニタリング体制を再検討し、改善すること
5) ユニクロのすべてのサプライヤーのリストを公表すること
6) 建設的で誠実な対話を市民団体と進めていくこと