【パブコメ】東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会「持続可能性に配慮した木材調達基準(案)」に対するパブリックコメントを提出しました。

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下組織委員会)は、5月17日「持続可能性に配慮した木材調達基準(案)」を公表しました。

本基準案に関し、ヒューマンライツ・ナウは、5月24日、合法性確認のためのデューデリジェンス義務、先住民族・地域住民への配慮などを求めたパブリックコメントを提出しました。詳細は以下全文をご覧ください。

ヒューマンライツ・ナウは、今後も、2020年東京オリンピック・パラリンピックがもたらす人権に対する負の影響を注視していきます。

  1. 検討・策定プロセスについて

組織委員会が調達する物品・サービス等の調達基準を策定する「持続可能な調達ワーキンググループ(調達WG)」における議論は、透明性が確保されていない。会合の傍聴や一般のオブザーバー参加は認められておらず、簡易な議事録が公開されているにとどまる。また、今般の調達基準案に対するパブリックコメントの期間も実質6日間と短すぎる。意見の集約上、A4用紙1枚以内でのコメントが求められているが、これでは十分な内容が盛り込まれた意見を提出することは不可能である。

調達WGの議論については、オブザーバー参加を認めること等により透明性を確保すべきである。また、今後調達基準案についてパブリックコメントを募集する際には、多様な社会の構成員による十分な検討を可能にするよう募集期間を設定し、コメントについての枚数制限を撤廃すべきである。

  1. 調達基準(案)について

(1)  既存の「合法木材」[1]で対応可能としている点(基準(案)2①、別紙1(1))

日本の既存の「合法木材」制度には、他の先進国の法規制(EU木材規則、米国レイシー法、豪州違法伐採禁止法等)が採用しているデューデリジェンス実施義務等が盛り込まれておらず日本には、他の先進国に比べて高い割合の違法伐採材が流入している。

基準(案)2①の合法性の確認にあたっては、少なくともEU、米国、及び豪州の法規制と同程度のデューデリジェンス義務の履行を求めるべきである。

(2)  先住民族や地域住民の権利の配慮について(基準(案)2④、別紙1(2)④)

「先住民族や地域住民の権利に配慮されていること」を確認するにあたっては、先住民族や地域住民から自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意が得られていることを事業者自らが確認する義務を負うことを明記すべきである。

また、別紙1(2)④記載に関連して、先住民族や地域住民からの苦情・要請等がある場合には、木材の購入を控えることを推奨すべきである。苦情があるにも関わらず購入しようとする場合でも、現地のサプライヤーのみならず、現地住民及び現地NGOからの聞き取りの実施を要件とした上で、先住民族や影響を受ける住民の権利侵害がない場合にのみ、購入を可能とすべきである。

(3)  再使用の場合について(基準(案)2本文)

再使用する場合は、少なくとも①は確保されなければならないとされているが、②から⑤の要件の確認を必要とすべきである。

 

[1]林野庁作成の平成18215日付「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」によって合法性等が確認された木材・木材製品