【声明】ガザ:国連事実調査団の勧告を歓迎し、国際刑事裁判所検察官に対し、2014年のガザ紛争で問題とされる全ての戦争犯罪について速やかに捜査を開始するよう求める

ヒューマンライツ・ナウは本日「ガザ:国連事実調査団の勧告を歓迎し、国際刑事裁判所検察官に対し、2014年のガザ紛争で問題とされる全ての戦争犯罪について速やかに捜査を開始するよう求める」声明を発表しました。


全文とPDFをお知らせいたします。

Statement Gaza 20150630 Japanese.pdf

2015630

 

 

ガザ

ヒューマンライツ・ナウは国連事実調査団の勧告を歓迎し、国際刑事裁判所検察官に対し、2014年のガザ紛争で問題とされる全ての戦争犯罪について速やかに捜査を開始するよう求める。

 

 

  2015622日、国連が設置した2014年ガザ紛争に関する独立調査団(以下調査団) は、直近のガザ紛争に関する調査報告書を公表した。

数多くの事例について、膨大な調査を行った上で、調査団は、紛争両当事者による国際人権・人道法違反が行なわれたと結論付け、そのうちいくつかは戦争犯罪に該当するとした。[1]

 東京を本拠とする国際人権NGOであるヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、調査団の作業を評価し、その調査結果と勧告を支持する。[2] 特に私たちは、国際社会に対し、この紛争の結果パレスチナの人びとが被った不均衡な被害について、真摯に向き合うことを求める。調査団が確認した通り、1462人ものパレスチナの民間人がイスラエル軍によって殺害され、その内、299人は女性、551人は子どもであった。[3]イスラエルは、電気など生存に不可欠なインフラ施設を標的にし、その結果、現在に至るまで、人々はあらゆる基本的人権の享受に関して絶望的な打撃を受け続けている。調査団は、「イスラエル軍による居住施設への攻撃、人口密集地域に対する広範囲な影響を与える爆発性兵器の使用、地域一体の全面的破壊」などの軍事行動が、「イスラエルの確立された軍規そのものが戦時国際法に違反するものではないか」との深刻な疑問を抱かせると指摘している。[4] 

さらに、調査団の事実認定の内、民間人が避難していた国連(UNRWA)の学校に対する一連の攻撃によって40人以上の民間人が死亡したという事案は、戦争犯罪を疑わせる意図的なパターンを示している。

私たちは、国際法違反行為に対する責任を負う「政治・軍事機構の全てのレベルに属ずる人が正義の裁きを受けるべきだ」とする、調査団の評価に全面的に賛同する。[5] イスラエル軍によるガザとヨルダン川西岸地区において疑われる全ての戦争犯罪行為に関する不処罰の横行、そして、国連機関による全ての勧告に対するイスラエルの一貫した不履行は、パレスチナの人びとに対する重大な人権侵害の再発の一因となっている。国際社会は、こうした不処罰、不正義、そして人権侵害の再発防止を終焉させるために必要なあらゆる措置を今こそ講じるべきである。

私たちは、国際刑事裁判所検察官に対し、速やかに刑事捜査を開始するよう求める。これ以上の正義の遅延はガザの人びとの人権をさらに危機に晒すものである。

同時に私たちは、全ての国連加盟国に対し、パレスチナにおける全ての国際法違反行為に関する国際刑事裁判所による捜査や、その他の正義と説明責任を確保するための取り組みに協力するよう求める。

さらに、私たちは国連人権理事会に対し、パレスチナにおける全ての国際法違反行為に関する説明責任を確保するとともに、パレスチナの人びとの人権状況に関連してイスラエルに提起された全ての勧告を実施させるための、効果的なメカニズムを新しく創設することを求める。

 

                            以 上

 



[1] Para 668, Commission’s report, A/HRC/29/CRP.4.

[2] Human Rights Now is a Tokyo based international human
rights NGO in ECOSOC special consultative status.  www.hrn.or.jp/eng

[3] Para 574, Commission’s report, A/HRC/29/CRP.4.

[4] Para 671.

[5] Para 664.