性暴力被害者を守れるより良い制度の実現をめざして

日本の性暴力の現状

みなさんは知っていますか…

 

内閣府の調査によると、女性の13人に1人、男性の67人に1人が、「無理やり性交を受けた経験がある」と回答しています。つまり、女性のおよそ400万人、男性のおよそ80万人が被害にあったことがあると推定できます。一方、1年間に認知された被害例は1307件。起訴された事例は、そのおよそ37%、492件で、他罪と比較しても低いことがわかっています。

 

2017年に始まった#MeToo運動を受け、日本でも性暴力被害者が声を上げ始めました。しかし、女性に対する暴力は深刻であるのに、法制度は国際水準に遠く及んでいません。また、女性を性欲の対象として消費する文化が蔓延し、声を上げる女性たちはバッシングの対象となり、声を上げにくい状況が作られています。

「どうして全力で抵抗しなかったの?」
「あなたが誘ったんじゃないの」
「家に行ったなら、性行為に同意したと思われても仕方ないよね」
「嫌よ嫌よも好きのうち」

罪を犯した人には、罰が与えられます。しかし、今の日本社会では、性暴力被害者に原因があるとして、彼らを責め、加害者に無罪判決を下されるというケースが後を立ちません。

 

2017年6月、110年ぶりに性暴力に関する刑法が大幅改正されました。これを受け、強姦罪(改正後は「強制性交等罪」)は性別を問わず処罰されることになり、刑も懲役3年から5年へと重くなりました。しかし、改正後もなお、レイプ罪が成立するためには、不同意の性行為があっただけではなく、暴行・脅迫、心神喪失、抗拒不能の証明などの厳しい要件が求められています。これにより、警察で被害届を受理してもらえない、受理されても不起訴になるというケースが相次いでいます。
また、13歳以上の子どもに対する性行為があった場合も、加害者に対しての罪は成人に対する性暴力被害と同じように扱われるというような、子どもの人権を無視した課題が残されています。

 

「レイプは、見知らぬ人から突然される行為だ…?」

 

「レイプは、見知らぬ人から突然される行為だ」と多くの人によって信じられています。

しかし、実態に沿っていない誤解だということを知っていますか?レイプ被害の約87%は、知人、友人、上司など、面識がある人によるもの。 相手が知っている人だからこそ、抵抗出来ない被害者が多くいます。また、上司や先生、親などの力関係にある人からの被害の場合、報復やその後の人間関係を気にして声をあげられない被害者も多くいます。

 

その結果、無理やりに性交等された被害者のうち、相談した件数は39%(2017)。相談しなかった理由として、恥ずかしくて誰にも言えなかった、どこに(誰に)相談すべきかわからなかった、自分にも悪いところがあると思ったなどの理由が。日本では、女性が性暴力を受けたことを恥と考え、容易に相談できないというのが現状です。また、そのように話しづらいものとして扱うからこそ、相談機関の存在を知らないということもあります。様々な要因から、証明することが難しい性暴力。たとえ相談件数が多くなくても、声をあげることができず苦しみを抱えている人は多くいます。

 

   ヒューマンライツ・ナウでは、米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、韓国、台湾の性犯罪に関する規定を調査しました(2018)。その結果、日本は被害者保護の観点から、どの国よりも遅れていることがわかったのです。

 

調査報告書はこちら

2017年法改正から、3年を目途に、再度刑法の見直しを検討することになっています。今年はその3年後、2020年。海外で実現したことは、日本でもできるはずです。被害者を守れるより良い制度を実現するために、ヒューマンライツ・ナウは行動します。

 

2020年は国会を動かす年! 私たちが求める改正案

 

私たちは2020年中に国会で議題にあげてもらい、2021年までに、次の改正案が実現することを求めています。

 

①「ヒューマンライツ・ナウは、暴行・脅迫を要件から削除することを求めます。」(不同意性交等罪・若年者性交等罪)

  • 現在のレイプ罪成立には、同意なしに性行為が行われたことが明らかでも、「暴行」「脅迫」による性交等があったことを証明しない限り、加害者は罪に問われません。そのため、警察に届けても約6割が不起訴となるなど、未だに「性暴力」の被害にあっても泣き寝入りをせざるを得ない人が多くいるのです。

②「ヒューマンライツ・ナウは、「心神喪失・抗拒不能」の構成要件を、より具体的・明確なものに変えることを求めます。」(同意不能等性的行為罪・同意不能等性交等罪)

  • 現在のレイプ罪成立には「抗拒不能」であったことを証明する必要がありますが、法律には、実際にどのような状態が、心神喪失・抗拒不能であるのかが明記されていません。

③「ヒューマンライツ・ナウは、現に監護していなくても、地位関係性を利用した性暴力についても処罰できるように、新たな規定をを加えることを求めます。」
「ヒューマンライツ・ナウは、18歳以上の者への地位関係性を利用した性暴力を処罰する規定の新設を求めます。」(監護者等性的行為罪・監護者等性交等罪)

  • 現在の法律では、性暴力加害者が、被害者を監護する者でない場合、性交等が「暴行」「脅迫」によりなされた、又は被害者が「抗拒不能」であったと証明されないと犯罪として処罰されません。そのため、親族、後見人、教師、指導者、雇用者、上司、施設職員など、被害者に対し優位な立場にいるものが、地位を利用して性暴力を行った場合、罪に問うことができないのです。
  • 18歳以上の者であっても、親族、後見人、教師、指導者、雇用者、上司、施設職員等、被害者に対する権力関係にある者がその地位を利用した性暴力が多く報告されているのです。

④「ヒューマンライツ・ナウは、性交同意年齢を13歳から16歳に引き上げることを求めます。」

どうして?▼

  • 現在の法律では、性交同意年齢は13歳となっています。性交同意年齢とは、性行為の同意能力があるとみなされる年齢であり、性行為がどのような行為かを理解し、自分が性行為をしたいか、したくないかを判断できる年齢とされています。多くの国では、子どもの保護のために性交同意年齢が引き上げられている一方、日本の性交同意年齢は、他先進国と比べると低年齢に定められています。ヒューマンライツ・ナウは、義務教育終了年齢である16歳未満が適切であると考えます。

 

刑法の改正が実現すれば、教育やメディアにも変化が現れます。同意なき性交を性暴力として処罰する法改正が実現すれば、相手の自発的な同意がない性行為は許されないというルールが明確になります。

そして、互いの「同意」に基づいた、相手の尊厳・性的自己決定を尊重し合うより安全な社会を実現することができます。

 

詳しい改正案はこちら

性暴力に関する刑法のさらなる改正に向けて、新たな検討会が設置!

2020年6月、法務省に刑法改正に関する有識者会議が立ち上がることになりました。被害者支援や心理の専門家が新たにメンバーとして加わり、実態に即した刑法の要件などを議論することが報じられました。このような前進が得られたのも、支援いただいた皆様、ご一緒に行動をしてきた団体、署名いただいたお一人お一人、そしてフラワーデモなどに共感し、声を上げてくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

HRNとしては、被害者や市民の期待に沿った法改正が実現するよう、専門的な知見を活かして一層貢献するとともに、市民の声と検討会をつなぐ役割も果たしていきたいと思っています。

是非引き続き皆様の力を貸してください。どうぞよろしくお願いいたします。

 

今あなたが起こせるアクション

 

 

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HRNは、一般社団法人Spring、一般社団法人Voice Up Japan とコラボし、法務大臣へ性暴力における刑法改正を求めて、署名活動を行っています。
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ヒューマンライツ・ナウのアクション

■ 実態調査・報告

HRNは、法律家、研究者、ジャーナリストなど、人権分野のプロフェッショナルたちが中心なって組織されている団体です。

2018年2月、HRNは、10カ国(米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、韓国、台湾)における性犯罪に関する規定を調査。勧告を発表しました。

さらに2019年11月には、刑法改正市民プロジェクトとして、性犯罪に関する刑法の改正試案を発表しました。

2020年1月には、スウェーデン大使館と協力し、性的同意のない性的行為を処罰する新しいスウェーデンの法律について日本で理解を深めるセミナーや院内集会を開催。多数の参加者とメディア報道があり、多くの人に日本でもできる!という共感と励ましを与えました。

■ これまでに発表した調査報告書・提言等

■ #metooを応援

ヒューマンライツ・ナウは#metooを応援し、勇気を出して声を上げた性暴力被害者を応援するシンポジウムやトークイベントを多数開催してきました。

■ 署名運動

2019年6月 相次ぐ性犯罪無罪判決を受けて、4月末からHRNの呼びかけで、Spring, Voice up Japanとともに、刑法改正を求めるChange.orgの署名を開始、大きな共感を呼びました。2020年3月17日に改めて、市民団体とともに94000以上集まったChange.orgの署名を提出、森法務大臣に刑法改正に向けた政治決断を求めました。私たちとも懇談を経て、森大臣は3月31日、刑法改正に向けた有識者の検討会を法務省内に設置することを決定。改正に向けて事態が動き出しました。この様子は、メディアでも大きく取り上げられました。

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