ミャンマー(ビルマ)「みらいの法律学校」講師派遣開始/パソコン寄贈のお願い

  • 【ピースローアカデミーでの支援開始! 】

 タイ・ミャンマー(ビルマ)国境の町メイソット。そこから車で30分ほどいったメクという緑豊かな地域にある学校「ピースローアカデミー」。ここでは、ミャンマー(ビルマ)国内や難民キャンプからきた20歳から25歳のミャンマー(ビルマ)の若者たちが法律、人権、民主主義について学んでいます。

 ヒューマンライツ・ナウは、閉鎖されてしまったこの学校を応援、今年2月に学校の再開にこぎつけ、今年8月より11月まで、毎月現地に講師を派遣して、人権教育の支援を行うことになりました。

その第一陣として、8月3日より13日まで、私(HRN事務局長・伊藤和子)と、二名のインターンとともに、「ピースローアカデミー」に滞在、学生たちに国際人権法を教えてまいりました。

 「ピースローアカデミー」には20歳から25歳まで、25人の学生たちが寮生活を送りながら学んでいます。彼らにこの学校にきた理由をきくと、「ミャンマー(ビルマ)では人権がない。とてもひどい人権侵害にみんなが苦しんでいるから」と口ぐちにこたえます。「誰も自分が苦しんでいるのが人権侵害だということを知らずにひたすら耐えている。帰国したら私が人権についてみんなに伝えたい、不当な目にあわないように、自分たちを守るために」。

 そんな25人の学生たちの、勉強に向かう目は真剣そのもの、自分だけでなく、自分の国の人々のために、知識をどこまでも貪欲に吸収しようとします。彼らの目は本当に輝いていて、そんな彼らに講義をするのは本当に素晴らしい、感動的な体験でした。

  • 【国際人権法をはじめて教える 】

 私は9日間の滞在中、19クラスの集中コースを実施して、主に世界人権宣言、人権諸条約について英語で学生たちに教えました。学生たちは、私の講義ではじめて国際人権法に出会ったわけですが、じつに学ぶ意欲にあふれていました。

 ミャンマー(ビルマ)では軍事政権が深刻な人権侵害を繰り返しています。本来なら人権を守る憲法があり、人権侵害は憲法に違反する、という議論になるでしょう。しかし、ミャンマー(ビルマ)の憲法では人権保障は極めて不十分です。国の中で「人権」について話し合うだけで逮捕されてしまう危険があり、「人権」について学校では教えません。そこで、国際的な人権のスタンダードである「世界人権宣言」や人権諸条約を学び、世界ではどんな人権保障が実現されているのかを知ることがとても重要なのです。

  • 【国際人権法をもっとも必要としているひとたち 】

 まず私のクラスでは、「世界人権宣言」を勉強しました。1948年に国連総会で採択されたこの宣言は人権のスタンダードとして世界で共有され、ミャンマー(ビルマ)政府ですら無視できない、まさに基本文書です。講義では、学生にその条文を一条一条読んでもらい議論しました。改めて驚いたことに、ミャンマー(ビルマ)では世界人権宣言のどの条文も否定されているのです。それぞれの条文について「ミャンマー(ビルマ)ではこの条項に反する事態がある?」と聞くと、どの権利についても「イエス」の声。学生たちの発言から、ミャンマー(ビルマ)では、世界人権宣言のどの条文一つとっても、まともに実現していないことがわかります。表現の自由や集会の自由の侵害、民主化運動の弾圧が深刻なことは有名ですが、学生の話からは普通の人々が日常的な人権侵害を受けている様子がわかります。たとえば、「うちの村には軍がきていきなり家を没収した。軍にさからえないので家はとられたままだ」「内戦が続いていて、どんどん自分たちの民族が殺されている」「強制労働や少年兵にとられてしまう。断ることは許されない」「私たちは自由に歌をつくって歌う自由がない。歌をつくったら軍政に届け出て許可を得ない限り歌えない。」

「学校ではミャンマー(ビルマ)語を習い、自分たちの民族の言葉を勉強できない」「小学校は無償じゃない。たくさんの教材を買わなければならず、教材を変えない人は学校に行けない。ユニセフが毎年鉛筆1本と本を三冊生徒にくれることになっているけれど、学校は『これも買わないといけない』と言い、お金を払わせられている」「などの声、声、声。

 だからこそ、そんな不合理な問題に対処する鍵となる世界人権宣言は彼らにとっては驚きだったのです。ミャンマー(ビルマ)で起きている様々なことは、世界のだれもが保障されるべき権利の侵害なのだ、と知ったのです。毎日多くの質問が出され、みんなが一生懸命に議論し、そして、なんとか自分の国を変えるために国際人権法を活用しようと考えをめぐらせます。

 私はこれまで、こんなに真剣に国際人権法について学ぶ人々の姿を見たことがありません。彼らにとって国際人権法は知識ではなく、自分たちの苦境から脱するために必要な糧であり、現実に必要不可欠なのです。彼らこそ、国際人権法をもっとも必要とするひとたちなのだ、と痛感しました。

  • 【学生たちに託す未来】

 学生たちの顔はまだあどけなさが残るのですが、誰もがミャンマー(ビルマ)で困っている人々を助け、そして民主化を実現するために活動したい、というひたむきな思いを抱えていました。国際的なNGOで貧しい人々の支援の仕事に携わりたいという女性。ミャンマー(ビルマ)にかえって弁護士として人権活動をしたいという女性。卒業生のなかには、難民キャンプのなかにある紛争解決の委員会の責任者をつとめている男性もいました。「私たちの住む地域では本当に人権侵害がひどい、あまりにも多くの人権侵害。だから今人権を学ぶことがとても好き。帰国したら周りの人たちみんなにこの経験を伝え、私がみんなを教育するつもり」と話してくれた女性もいます。

 学生たちは実に様々な民族にわかれています。四人の男子学生たちが、「実は、自分たちはみんな同じ州からきたけれど、みんな民族が違う。自分たちの上の世代は民族同士で敵対し、いまだに戦っている。」と話してくれました。「でも自分たちは戦いを望まない。自分たちが民族のリーダーになる時代がきたら、民族間の和解を実現して、もう紛争はおこさない」と言ってくれました。この学校を卒業した人々が未来の民族・コミュニティのリーダーとなって、民族間の平和共存に道を開く、それがこの学校のひとつの目的、「ピースローアカデミー」という学校名にこめられた思いなのかもしれません。

 この学校の運営を担っているミャンマー(ビルマ)法律家協会の代表ウーテンウーさんは「この学校の卒業生には、今のアウンサンスーチーさんのような民主化運動をひっぱるリーダーになってほしい。これからのミャンマー(ビルマ)には民主化運動を担うリーダーが一人ではなくたくさん育っていくべきだ。そんな未来のリーダーを育てるのがこの学校の目的だ」と語っていました。ウーテンウーさんをはじめ、資金難や様々な困難ななかでこの学校を守り運営してきた人々はこの学校にミャンマー(ビルマ)の未来の大きな夢を託しています。

 ミャンマー(ビルマ)の民主化をめぐる道のりはまだまだ困難が多くありますが、私たちも草の根からミャンマー(ビルマ)の民主化運動の担い手たちを応援するこの大切な活動をつうじて、未来への種まきをしていきたい、との思いを新たにしました。

  • 【日本からの支援を】

 高い志を持った若者たちに、届けるべき教育はまだまだ不足しています。人権法をはじめて学んで「もっと学びたい」と思い始めた学生たちから、帰国する際には「いつ戻ってくれるの」「今度はいつ人権法を教えてくれるの」という多くの問い掛けを受けました。ヒューマンライツ・ナウでは、こうした声にこたえて、今後も継続的に教育を続けていく予定です。日本やほかのアジアの国々の経験も話したいと思います。

 是非今後とも、みなさんのご支援を今後ともよろしくお願いいたします。
 みらいの法律家基金を支えてください。 http://hrn.or.jp/activity/1467/

  • 【お願い。パソコンを学校に送りましょう!】

 ピースローアカデミーでは学生たちが勉強するためのノートパソコンが不足しています。学生たちには25人のところ8台しかパソコンがなく、時間割を決めて順番に使用していますが、勉強に不便をきたしています。HRNでは、学生にパソコンを提供したいと思います。みなさまの周囲でいらなくなった中古のパソコンなどがありましたら、ぜひHRNに御提供ください。

 必要な性能は以下のようになります。

・出来ればwindows xpが入っていたもの。あるいはwindows meか2000が入っていたもの。
・機械的にはCPU pentium3
800MHz メモリ256MB ハードディスク15GB 以上くらいのもの。
・訪問者が手持ちで運ぶので出きれば軽量小型のもの。

・メーカーは出来ればdellのものがいいです。2000年以降のものであれば大丈夫です。

 ※内部の個人情報は寄贈前に削除しておいて下さい。
  ただ現地でミャンマー(ビルマ)の学生が使うため事前に中身を英語のソフトに入れ替えるので、もし個人情報が残っていた場合も流出の心配はありません。

9月の第二弾講師派遣を前に8月末を受領の締切としますので、ぜひご協力をお願いします。

★ご連絡・ご相談は、info@ngo-hrn.orgまたは、電話03-3835-2110までお願いします。