【イベント報告】2019年11月21日刑法改正市民プロジェクト院内集会

なぜ「更なる改正」が必要なの?~私たちが求める刑法性犯罪の処罰規定とは~イベント報告

11月21日、HRNは衆議院議員会館にて刑法改正市民プロジェクトの一員として院内集会に参加しました。

日 時 2019年11月21日(木)午前11時30分~午後1時00分
場 所 衆議院第二議員会館  1階多目的会議室
主催団体 刑法改正市民プロジェクト(性犯罪関連12の市民団体)

 

2017年7月、刑法は110年ぶりの大幅改正がされました。しかし、2019年3月には性犯罪無罪判決が4件が出され、更なる刑法改正への必要性が呼びかけられています。セクシャルハラスメントを告発する#MeToo運動の広がりや、フラワーデモが毎月11日に開催される背景から、性犯罪に対する取り締まりを強化する市民の声が大きくなっていると考えます。

 

第1部 法務省「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」報告

  1. 司法に届かなかった性暴力の被害者の声 一般社団法人Spring

犯罪被害当事者が法改正に取り組む市民団体であるSpringは3人の当事者が登壇し、話をしました。代表山本潤さんが挨拶をし、これからの団体の活動についての意気込みを語りました。その上で、法務省性犯罪防止に向けたワーキング調査グループを立ち上げ活動してきた人のうち3人が話をしました。

  • 公訴時効の撤廃の見直し
  1. 支援現場からNPO法人性暴力救援センター・東京/SARC東京

2012年にまつしま病院を拠点として性暴力被害者のホットラインをもとに活動を開始しました。2017年に東京都性犯罪「ワンストップ支援センター」を運営し始め、警察やロビーセンターなど4者と連携しながら活動しています。

  • 「暴行・脅迫要件」の暖和・撤廃の見直し
  • 地位関係性を利用した性行為の処罰規定の拡大
  • 性交同意年齢を13歳から16歳に引き上げる
  • リベンジポルノに対して、画像の消去する技術や制度を増やす
  1. 障がい児者への性犯罪NPO法人しあわせなみだ

NPO法人しあわせなみだは、障がい者への性暴力についてのビデオを紹介し、その中で障がい者に対しての性犯罪の多さ、制度の改革を訴えました。

  • 「暴行・脅迫要件」の暖和・撤廃の見直し
  • 同意不能等性交等罪の構成要件をもっと明確にする
  • 施設職員等権力関係にある者が地位を利用した性被害事案に対応できるように、監護者性交等罪における「監護者」の対象を広げる

 

第2部

  1. 私たちの考える「刑法性犯罪改正案」認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ
  • 強制性交等罪における「暴行・脅迫要件」の消除
  • 性交同意年齢を13歳から16歳に引き上げる
  • 「わいせつ」という表現を「性的接触」に変更する
  • 同意不能等性交等罪の構成要件をもっと明確にする
  • 他の者の認識可能な意思に反した性的行為を処罰とすることとする
  • 「抗拒不能」要件の定義を明確化する
  • 地位関係利用性的接触罪・地位関係利用性交等罪を新たにもうける

提出された提言書はこちら

ヒューマンライツ・ナウは刑法性犯罪規定の改定について、犯罪被害集会で上がった声などを中心に現行法に足りない点などをあげ、たたき台としての法改正案を作成しました。

その中でも私たちは、性交同意年齢の引き上げに対して強調したいです。性交同意年齢に関しては16歳に設定しましたが、これはドイツの刑法を参考にしています。現在の13歳という年齢は当時の医療的見解から妊娠可能な年齢として設定されましたが、妊娠可能かどうかは性行為同意ができるかどうかに関しては関係ありません。また、無理やり性交をされたとしても、恐怖や不安によって被害当時は誰にも相談できないことが多いので、せめて未成年者に関しては成年するまで時効を一時停止することも必要であると考えます。

また、提出された提言書についてHRN伊藤事務局長は、これまでの裁判で争点となった加害者の故意、認識の有無の問題をできるだけカバーできるような改正案になっていればと思い、まとめあげた。各国の法律を参考にまとめてみたので、国会議員に、是非これを条文化してほしい。法務省も知恵を絞って、みんなで協力してよりよい法社会にしていければと思う、と述べました。性犯罪規定に関して政府は再改正の必要がどうかをまだ検討している段階であり、話が進んでいないので、法制審議会を早く設置して、改正に向けて建設的な議論を進めてほしい。また、部分的改正にとどまってしまわないように最後まで改正できるようにしたいことも述べました。

第3部

  1. 刑法性犯罪再改正に向けた要望 性暴力禁止法を作ろうネットワーク
  • 法制審議会を設置し、改正に向けて建設的な議論を進める
  • 改正案の検討をする委員のメンバーに性暴力の実態、被害当事者の実態を熟知している人たちを一定の割合で入れる

 

刑法改正市民プロジェクトは集会終了後、法務省にこの改正案を提出しました。

HRNは性犯罪規定に関する変化へと建設的な一歩を踏み出せたように思います。