【イベント報告】2019年10月24日「ここがおかしい!日本を騒がせる人権問題#MeTooを経て、社会、世界は変化しているのか!?」

【イベント報告】10月24日「ここがおかしい!日本を騒がせる人権問題#MeTooを経て、社会、世界は変化しているのか!?

 

2019年10月24日(木)、ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、専修大学・神田キャンパスにて表題のイベントに協力いたしました。

#MeToo運動は、2017年、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)がメディアのセクハラ報道によって解雇されたことがきっかけとなり、不当に差別されていることについて、多くの人々がSNSを中心に「#MeToo」と声をあげたことで、世界的に拡がった運動です。この10月で#MeToo 運動の盛り上がりから約2年が経過しました。しかし、果たして、社会や世界で本当に変化は起きているのでしょうか?

 

なぜ#MeTooムーブメントを経ても日本は変わらないのか、どうすれば社会は変わっていくのか、などについてニューヨーク在住でジャーナリストの津山恵子氏、HRN後藤弘子副理事長(千葉大学大学院教授)、伊藤和子事務局長(弁護士)の3人で議論を行いました。

 

最初に、なぜ日本では被害者が声をあげにくいのか、あげたらどうなるのか、について後藤副理事長は、Twitterなどのソーシャルメディアで起こるバッシングの問題について話しました。

 

声をあげることが性犯罪の抑止、女性のエンパワーメントの促進につながる可能性がある一方で、被害者がセカンドレイプ(被害者叩き)による心理的・社会的ダメージを負ってしまう大きなリスクもあります。 多くの被害者はバッシングされることを恐れ、自分を守るために声を上げないといいます。

 

日本で声があげにくい理由として、バッシング以外にも教育の影響も大きいとの指摘もありました。責められることを恐れ、 誰にも相談しなかった被害者が60%もいるという調査データもあるそうです。被害者は、自分が本当に被害にあったのか、いう疑問があり、全部自分のせいにしてしまう。このような認識は幼い頃から教育などによって形成されていると、後藤副理事長は強調しました。

 

 

 

伊藤詩織さんの民事裁判の代理人の一人である角田由紀子弁護士もイベントに参加しており、伊藤詩織さんのように「黙らない、沈黙をしないことが大事」、「沈黙は物事を解決できない」と声をあげることの大切さを強調しました。

 

続いて、津山氏は日本のメディアの性被害に関しての対応も被害者の声があげにくい理由に繋がっているのではないかと指摘しました。アメリカのThe New York Timesのように日本のメディアでは調査報道はされません 。

アメリカのメディアは、調査報道することは民主主義を守ることであり重要なメディアの役割であると考えています。一方、日本では女性や子どもの性犯罪についての調査報道はタブーになっている傾向が見られます。さらに、アメリカでセクハラの加害者が短期間で解雇処分になるのは、事件に関わる周辺の多くの人による証言に基づいて報道になることが多く、調査が詳細な為、声をあげやすい土壌になっているからだと述べました。

また、「差別」(discrimination) という言葉を日本の社会では使わないことも問題だと指摘しました。「差別」という言葉を嫌うのは、日本は差別がない平等な社会だと信じていることの表れなのではないかと述べました。優秀な女性が数多くいるにも関わらず、女性差別は東京医大の入試だけではなく、あらゆるところで起こっています。社会全体が女性を排除しているシステムになっていて、女性差別問題がなかなか表面化していないと訴えました。

 

一つ、積み残された課題は、同意なき性行為を広く処罰対象とすることです。「性行為の同意があったと思われても仕方がないと思うもの」と題された調査によると、日本では二人きりで食事や飲酒などをする行為が性行為の「同意」を表していると思うのだそうです。このような調査から、日本の陰湿なバッシングが存在する背景が窺えます。伊藤事務局長は、このように間違った「同意」の認識の拡大は非常に危険だと訴えました。イギリスで作られた紅茶理論 (sexual consent and tea video)を紹介し、「同意」についての教育の重要さを強調しました。

 

 

日本社会に根強く問題が残っていることを再認識させられるイベントとなりました。女性が声をあげられる社会、不当な扱いを受けることがない社会を目指し、HRNはこれからも活動を続けてまいります。