3月28日、HRN震災プロジェクトでは、宮城県気仙沼市の仮設住宅で医療支援など多岐にわたる献身的な支援活動を続ける村上充氏、「被災弱者」(岩波書店)を執筆した岡田広行氏をお招きして、被災地の現状や課題について話していただくトークイベントを開催しました。村上氏は2012年初めころからHRNと協力関係にあり、多くのサポーターから信頼されている方ですが、東京で公演されるのは初めて。開催当日は会場が満員になり、参加者の質疑応答も多くとびかう、熱気あふれるなかで実施されました。
村上氏はご自身も東日本大震災で被災、震災直後の避難場所での救護活動を契機とし、その後育まれてきた地元の方々との関係が現在の支援活動につながっていると述べました。そして、被災地の日常的な視点から、住民の方々が抱えるさまざまな不安や問題を会場に一つ一つ伝え、解決を訴えました。そして、それらに丁寧に向き合っていくためには、地元の情報をよく知っている人の個人ベースの支援が重要であること、現状ではそのような「支援のあり方」に対し、行政支援が不足していると強調しました。
続いて、岡田氏のお話では、高台移転、防潮堤、災害公営住宅の建設等、東日本大震災から5年たち、「復興」という右肩上がりのイメージが先行する影で、立ち退きや冠水といった問題があること、さらに「自立」という言葉のプレッシャーのもと、時間の経過とともに、ますます困難な状況に陥っている弱い立場の方が少なくないという現実が述べられました。そして、弱い立場の方に目を向け、つながりを持ち、支援していくことが今求められていると会場に訴えました。
東日本大震災から5年、東京では、時間の経過とともにその時の記憶が徐々に薄れはじめているように感じます。しかし、支援はこれからが正念場です。復興から取り残されている人々が多いことを肝に銘じ、私たちも村上氏と連携しながら、今後も法律相談活動等を続けていきます。
本イベントは独立行政法人福祉医療機構(WAM)の助成事業として実施しました。