ガールズ・エンパワーメント:日本のガールズ事情~彼女たちの声に耳を傾ける~開催報告
ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、国際ガールズ・デーを記念して、「ガールズ・エンパワーメント:日本のガールズ事情~彼女たちの声に耳を傾ける~」を開催しました。孤立し搾取されている少女たちがこの日本にも数多く存在しています。そうした現実に改めて向き合うことがでいた貴重な企画でした。 インターンによるイベント報告を紹介します。
本イベントでは、生きづらさを抱える少女を支援する「BONDプロジェクト」代表の橘ジュンさんをゲストスピーカーにお招きしました。
橘さんは、自身が編集長を務める「VOICES MAGAZINE」の取材で、新宿や渋谷にいる少女たちに数多く接してきました。その日1日を過ごすために援助交際に走る子、望まない妊娠で途方にくれる子もいたと言います。そのような子たちと一緒に動く大人が必要だと、橘さんは取材の過程で痛感しました。それが、2009年の「BONDプロジェクト」の設立につながりました。
「BONDプロジェクト」では、「死にたい」「居場所がない」と言う少女たちから、時間をかけてその言葉が出てきた背景を聞かせてもらいます。時には、自分の状況を話せない子もいます。自分で自分のことを大事だと思っていないと、人は自分のことを話しません。虐待を受けてきた少女たちは自己肯定感が低く、苦しみの原因に気づくのに時間がかかります。橘さんは、彼女たち自身で苦しみの原因に気付き、それを自分自身の言葉で表現してもらいたいと訴えます。
橘さんに続いて、HRNの伊藤和子事務局長が、日本での性被害の状況などについて説明しました。
国際社会では、90年代ころから、少女への性暴力が問題視され。保護・支援策についても議論が行われてきました。しかし、日本では、最近になってようやく、行き場のない少女たちに救いの手が差し伸べられるようになってきた状況です。
伊藤事務局長によると、最近では、性被害に関する相談が増えてきているようです。当初とは違う仕事内容で働かされるガールズバーの店員や、性的な経験もないのにアダルトビデオに出演させられる少女。理不尽な状況にも関わらず、少女たちはそこから抜け出せないと言います。彼女たちは、ひどい被害に遭った過去があるが故に、理不尽な仕事であっても「仕方がない」と受け入れてしまうそうです。
海外では、少女たちを性被害から助けるためのシェルターを用意している国もあるようですが、その施設は満足のいく設備が整っていないため、民間レベルのシェルターが作られています。この点においても日本は遅れていると言います。
伊藤事務局長は、少女たちを守る方策として、「支援者作り」、「施設整備」、「公的資金の投入」の3つが重要になっていくと強調して、報告を締めくくりました。
その後に行われた質疑応答では、具体的な被害事例を踏まえた質問や相談が寄せられ、性暴力の深刻さを実感しました。
経済的に豊かだと言われている現代の日本社会ですが、その裏では、自分の存在価値を見出せない少女たちが、声なき声で救いを求めていることもまた現実です。今回のイベントでは。そうした少女たちにまずは寄り添って、耳を傾けることが大切なのだということを学びました。(文責:高木あずさ)