【イベント報告】「新学期・新生活だからこそ考えたい「性的同意」 ― ユース団体リレートーク ―」

2026年4月17日(金)、オンラインにてユースイベント「新学期・新生活だからこそ考えたい―性的同意ユース団体リレートーク」を開催しました。本イベントは、新学期・新生活の始まりに伴い身近になる人間関係の中で、「性的同意」について理解を深めるとともに、ユース世代が当事者としてどのように向き合い、行動していくことができるのかを考えることを目的として実施されました。当日は、性的同意や性暴力防止、SRHR(性と生殖に関する健康と権利)に取り組む複数のユース団体が登壇し、それぞれの活動や視点を共有しました。

当日のプログラムは以下の通り進行しました。

1.オープニング
2.ユース団体によるリレートーク
3.クロストーク
4.参加者からのQ&A
5.クロージング

オープニングでは、本イベントが「正解を出す場ではなく、参加者それぞれが考える場」であることが共有され、安心して参加できる環境づくりの重要性が示されました。また、「いい雰囲気のときに同意を確認するのは変か」「お酒の場での同意はどう考えるか」など、日常的に多くの人が感じる疑問が提示されました。


・各登壇団体の発表内容

(1)NO YOUTH NO JAPAN

若者の政治参加を促進する団体として、性的同意と政治参加に共通する課題について発表がありました。

両者に共通するのは、本来生活に深く関わる重要なテーマであるにもかかわらず、教育や社会の中で十分に扱われておらず、話しづらい雰囲気がある点です。

また、性的同意について「自分の体や心を守るだけでなく、相手の権利や尊厳を尊重するためのコミュニケーションである」という視点が示されました。


(2)NPO法人SISTERS

性暴力防止と包括的性教育に取り組む立場から、実体験を交えた発表が行われました。

性暴力の被害は若者の間でも決して少なくない一方で、それが被害であると認識されるまでに時間がかかるケースが多いことが指摘されました。その背景には、性的同意や性教育を学ぶ機会の不足があります。

また、性的同意は特別なものではなく、日常のコミュニケーションと同様に「相手の意思を確認する行為」であると説明され、身近な例として物の貸し借りとの共通性が示されました。

さらに、被害者に対する心ない言葉などの「二次加害」や、周囲の人が適切に関わる「アクティブ・バイスタンダー」の重要性についても言及がありました。


(3)ここのへや

LGBTQ+の若者支援を行う団体からは、居場所づくりの実践とそこから見える課題が共有されました。

安心して過ごせる場の提供やプライバシーへの配慮、自由に参加できる雰囲気づくりなどを通じて、若者が孤立せずにいられる環境の重要性が示されました。

また、性的同意や多様性の理解においては、「特別扱いではなく対等な関係性を築くこと」や「相手の気持ちを想像する姿勢」が大切であると指摘されました。


(4)SRHR for Business

ビジネスと人権の観点から、性的同意をより広い社会構造の中で捉える発表が行われました。

SRHRは「自分の体や性に関することを自分で決定する権利」であり、企業活動においても不可欠な視点です。

近年の企業におけるハラスメントや性暴力問題を踏まえ、制度の整備だけでなく、根本的な人権理解がなければ問題は解決しないことが指摘されました。


(5)SRHR for ALL HOKKAIDO

地域で活動する団体からは、性や権利に関する情報や支援へのアクセスに地域差があるという課題が共有されました。

都市部と比較して、地方では性教育の機会や相談先が限られている場合があり、必要な情報にアクセスしづらい状況があることが指摘されました。

そのため、地域においても学びや対話の機会を広げることや、安心して相談できる場を増やすことの重要性が示されました。


(6)プラン・インターナショナル ユースグループ

国際的な視点で活動するユースグループからは、性的同意とジェンダー平等の関係について共有がありました。

性的同意は個人間の問題にとどまらず、社会に存在するジェンダー規範や力関係と深く結びついていることが指摘されました。

また、若者自身が権利について学び、声を上げていくことが、社会を変えていくうえで重要であると強調されました。


(7)HRN女性の権利プロジェクト ユースチーム

主催団体からは、本イベントの背景にある問題意識が共有されました。

性的同意は日常の中で誰もが関わるテーマであるにもかかわらず、話題にしづらく、十分に議論されてこなかった現状があります。

そのため、ユース世代が安心して対話できる場をつくり、日常の中で感じる疑問や迷いを言葉にしていくことの重要性が強調されました。


・クロストーク

クロストークでは、「いい雰囲気のときに同意を確認するのは変ではないか」「お酒を飲んでいるときの同意はどう考えるか」「先輩・後輩など力関係がある場合の同意は成立するのか」「周囲の友人として何ができるか」といった具体的な問いをもとに議論が行われました。

「雰囲気を壊してしまうのではないか」という不安については、同意確認は関係性を壊すものではなく、むしろ相手を尊重し安心感を生む行為であるという意見が共有されました。一方で、実際にはその場の空気や期待によって言い出しにくいと感じる人が多いという現実も指摘され、日常的に意思を伝える経験を積むことの重要性が示されました。

お酒の場における同意については、アルコールによって判断力が低下することで、自由な意思表示が難しくなる可能性があるとされ、同意が成立しているかどうかを慎重に考える必要があるという認識が共有されました。

また、先輩・後輩や上下関係のある場面では、形式的に同意があったとしても、実際には断りにくい状況が存在することが指摘されました。このような場合には、関係性そのものが同意に影響を与えている可能性があり、より強い立場にある側が配慮する責任があるという意見が出されました。

さらに、周囲の友人としてできることについては、違和感に気づいたときに声をかけることや、その場の状況を確認すること、被害を受けた可能性のある人に寄り添うことなど、具体的な行動の重要性が共有されました。

これらの議論を通して、性的同意は個人間の問題にとどまらず、状況や関係性、周囲の環境によって左右されるものであり、複合的に考える必要があることが明らかになりました。


・まとめ

本イベントを通じて、性的同意は単なる知識ではなく、日常のコミュニケーションや人間関係、さらには社会全体の人権意識に関わる重要なテーマであることが明らかになりました。

特にユース世代においては、学ぶ機会の不足や、性に関する話題のタブー視が課題として存在しています。そのため、若者自身が主体的に学び、対話し、行動していくことが重要です。

新しい人間関係が始まるこの時期に、自分と相手を尊重する関係とは何かを改めて考えることは、よりよい社会の実現につながる一歩となります。

今後も、教育や対話の機会を通じて、性的同意に対する理解が広がっていくことが期待されます。