東京に本拠を置く国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、2012年12月25日、原発事故に伴い避難指示を受けて住み慣れた故郷から避難し、現在は埼玉県騎西高校において避難生活を送っている双葉町の避難住民および双葉町長を訪ねて、町を取り巻く現状と、避難生活の実情について調査を行いました。
東日本大震災と福島第一原発事故から1年8カ月以上が経過し、多くの周辺住民が未だ先の見えない避難生活を送っている。
そうしたなかでも、多くの人々が仮設住宅や民間の借り上げ住宅に住居を移しているのに、騎西高校には未だ避難所生活を送っている方々が140人以上もいる、という点でその深刻さは特筆すべきものがある。
賠償交渉も長期化し、政府等から再定住先の提供等の施策も実施されないまま、避難者の方々は極めて不安定で、自立が困難な状況に置かれていた。
未だに避難所生活を送っている騎西高校の方々の置かれた状況は深刻であるが、同時に、他に何らかの有効な選択肢が与えられていないことが浮き彫りになった。
双葉町からの避難者は全国に拡散して生活されており、本来、騎西高校の避難者や双葉町埼玉支所の職員等の声と併せて、他の場所に避難された方々からも事情をお聞きする機会を持つことが望ましいのは言うまでもない。
しかしながら、今回、騎西高校に避難している避難者の方々の実情が深刻であり、救済が待ったなしである状況に、また井戸川町長の去就をめぐり、大きな動きがあったこと[1]、「仮の町」や中間貯蔵施設等の課題が重要であることを考慮し、今回の調査に限定した調査報告書を公表することとした。
報告書全文はこちらより確認いただけます。
[1]井戸川町長は今回の調査後辞職し、現在は失職しているが、本調査当時町長であったことから、本報告書では「町長」として記載する。