【活動報告】2020年6月11日(木)刑法性犯罪規定改正案についての記者会見

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、2020年6月11日(木)、「私たちが求める刑法性犯罪規定改正案(改訂)」の条文案及びその主旨について記者会見を開催いたしました。

記者会見には、後藤弘子(ヒューマンライツ・ナウ副理事長・千葉大学大学院社会科学研究院教授)、寺町東子(ヒューマンライツ・ナウ理事・弁護士)、雪田樹理(ヒューマンライツ・ナウ理事・弁護士)、伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ事務局長・弁護士)、中山純子(弁護士)が出席しました。

 

会見では、ヒューマンライツ・ナウ理事の寺町東子弁護士と、中山純子弁護士が、刑法176条から179条までの性犯罪規定についてヒューマンライツ・ナウとして検討し作成した改正案(改訂)を発表しました。

寺町弁護士は、現行176条・177条の性的同意年齢(13歳)の低さについて懸念を示し、義務教育年齢を終えた年齢である16歳以上を提案し、合わせて性教育や性暴力防止を強化していくことを訴えました。また、177条の「暴行・脅迫」と178条の「抗拒不能」要件の厳しさや曖昧さを指摘した上で、「認識可能な意思に反した」性的行為を処罰する不同意性交等罪の新設と、「認識可能な意思に反した」「暴行・脅迫」「抗拒不能」に当てはまる場合を条文で具体的に明示することを提案しました。

 

中山弁護士は、179条(監護者等性交等罪)について現行法の「監護者」の範囲が非常に狭く、他の地位関係性を利用した性暴力被害を捉えられていない問題点を指摘し、18歳未満の児童をより徹底して保護する観点から類型を増やすことを提案しました。加えて、18歳以上の者に対しても地位や権力を利用した被害が多く見られるという実態に基づき、この場合も処罰する新しい規定(179条の2)の創設を提示しました。

 

各取材記者からは、改正案が被害者の立証負担にもたらしうる変化についてや、刑法改正反対派の意見に対するHRNの考え、そして法務省との検討会を含む今後のHRNの活動などに関して、活発な質問とコメントが寄せられました。

 

「私たちが求める刑法性犯罪規定改正案(改訂)」はこちら
https://hrn.or.jp/activity/17916/