東京に本拠を置く国際人権NGOヒューマンライツ・ナウと、英国を本拠とする国際人権NGOのBusiness & Human Rights Resource Centre(ビジネスと人権資料センター)は、日本を拠点に活動するアパレル上位約60社に対し、企業・グループとしての人権ポリシー及びサプライチェーンも含めたポリシー実施に関するアンケート調査を実施することとし、調査への協力を求めました。
期間は1か月とし、9月には公表を予定しています。これに併せて以下のプレスリリースを公表しました。
PDFはこちらよりダウンロードできます。また、下記に声明の全文をご覧になれます。
2018年7月20日
日本のファッション/スポーツウェア産業の
人権ポリシーの開示を求める
東京に本拠を置く国際人権NGOヒューマンライツ・ナウと、英国を本拠とする国際人権NGOのBusiness & Human Rights Resource Centre(ビジネスと人権資料センター)は、日本のアパレル・スポーツウェア企業上位約60社に対し、企業・グループとしての人権ポリシー及びサプライチェーンも含めた人権ポリシー実施に関するアンケート調査を実施することとし、本日、調査への協力を求めた。
回答期間は1か月とし、9月には公表を予定している。
2013年のバングラデシュ・ラナプラザビル事件以降、アパレル業界のサプライチェーンで発生する児童労働、強制労働、ILO条約に反する過酷労働、労働者の尊厳と生存・健康を脅かす労働は深刻なものと認識され、欧米諸国では「国連ビジネスと人権指導原則」の実施が進んでいる。
日本企業のなかでもこうした取り組みは一部に始まっているものの、日本には、EU諸国のような非財務(ESG)情報開示の法制度も未整備であり、コーポレートガバナンスコード等の現行の枠組みも、厳格なESG開示を義務付けるものとはなっていないため、どの企業がいかなる人権ポリシーを持ち、それを実施しているかはほとんど開示されていない状況にある。
今日、ESG投資が国際的な主流となっているにも関わらず、企業のESGに対する取り組み、特に人権に関する方針と実施状況が開示されないままでは、投資家や消費者にとって、どの企業・グループの商品が倫理的であり、購入・投資対象としてふさわしいか明らかでなく、判断材料を欠いたままの選択を強いられることになりかねない。
そこで、私たちは、政府によるESG開示の制度構築に期待しつつ、近年特にサプライチェーン上の人権に関する問題が顕在化しているアパレル、スポーツウェア産業に対し、人権に関する方針と実施状況を中心とするESGの取り組みに関する開示を促し、現状を可視化するとともにより公正で透明性の高い産業となってほしいとの期待から、このアンケートを実施することにしたものである。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックが2年後に迫る中、世界の消費者、投資家、プレス等は、日本のオリンピック・パラリンピック関連産業が、果たしてオリンピック憲章の精神である人権の尊重を遵守しているのか、大きな関心を寄せている。企業が説明責任を果たし、ESGの取り組みを開示することは国際的な要請である。
私たちは、本アンケートに対し、アパレル、スポーツウェア上位企業が誠実に回答され、社会に対する説明責任を果たすことを期待してやまない。