【声明】アウンサンスーチー氏の解放にあたって

ヒューマンライツ・ナウは、11月13日のビルマ民主化指導者アウンサンスーチー氏の

解放にあたり、下記の声明を発表、関係機関に送付いたします。

ヒューマンライツ・ナウは、先週行われた総選挙のプロセスを真の民主化とは
相いれないものと考えており、ミャンマー(ビルマ)の人権状況や民主化勢力への弾圧も過酷なままです。
今後、軍政は、解放されたアウンサンスーチー氏の求める平和的な対話に応じ、
過去のプロセスを見直し、真の民主化を実現していくべきであること、
こうした方向性を国際社会がサポートしていくべきことを表明しています

アウンサンスーチー氏の解放にあたって

2010年11月13日、ビルマ民主化運動のリーダーであるアウンサンスーチー氏が自宅軟
禁から解放された。

アウンサンスーチー氏に対する長期にわたる自宅軟禁は、そもそも許されない恣意的
拘禁であり、国際社会は彼女の解放を求め続けてきた。

東京に本拠を置く国際人権団体ヒューマンライツ・ナウは、アウンサンスーチー氏の
解放と公的な活動の再開を歓迎する。

ヒューマンライツ・ナウは、軍政に対し、釈放後スーチー氏の基本的人権に対し一切
制約をもうけないこと、とりわけ政治活動・表現の自由を完全に保障するように求め
る。

一方で、ミャンマー(ビルマ)には、未だに2200名に及ぶ民主化活動家らが政治犯としと投獄されて
おり、民主化勢力の政治活動の自由、集会・結社・表現の自由は過酷な弾圧を受けて
いる。

ヒューマンライツ・ナウはミャンマー(ビルマ)軍政に対し、これら2200名に及ぶ政治犯の即時釈放
と、民主化活動への弾圧を直ちに止め、スーチー氏に限らずすべての人の基本的人
権、特に政治活動・表現の自由を保障するよう、強く要請する。

軍政は11月7日に、スーチー氏を自宅軟禁下に置いたまま、かつ不公正な選挙関連法
に基づき、国民民主連盟(National League for Democracy, NLD)を解党に追い込み、
民主化勢力の多くをプロセスから排除した状況で総選挙を実施した。1990年の総選挙
で、スーチー氏を指導者とするNLDが圧勝したにも関わらず、軍事政権は選挙の結果
を受け入れず、政権移譲をせずに独裁を続けてきた。こうした軍政が、スーチー氏と
NLDを排除したもとで今回の総選挙を実施したものであり、これは民主化とは到底相
容れない正当性を欠くプロセスである。

スーチー氏の解放を受けて、国際社会は改めて、ミャンマー(ビルマ)軍政に対し、この不公正な選
挙プロセスが民政移管の名に値しないことを問い直すべきである。

ミャンマー(ビルマ)軍政は、真の民主化・人権と自由の尊重に向けたスーチー氏との対話に応じる
べきであり、軍事政権は、2008年に強行された国民投票および、民主化勢力を排除し
た今回の総選挙に関する見直しに真摯に取り組まなければならない

日本を含む国際社会にはスーチー氏の対話による問題解決の方向性を支持し、ミャンマー(ビルマ)
における民主化・人権の実現を支援することが一層求められている。