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国民生活センター、AV出演勧誘の注意呼びかけ…伊藤弁護士「消費者並みの保護を」
10代、20代の若い女性を中心にタレント・モデル契約をめぐるトラブルが発生しているとして、国民生活センターは11月30日、消費者に向けて注意を呼びかけた。同センターによると、自分からモデル事務所に応募して面接を受けたところ、「アダルトビデオ(AV)に出演しないか」と勧誘されたという相談もあったという。
●モデルに応募したところ「AV出演」を勧誘されたケースも
国民生活センター相談情報部の担当者は12月5日、弁護士ドットコムニュースの取材に応じた。担当者によると、タレント・モデル契約をめぐって寄せられた相談件数は、2006年〜2015年までの10年間、年700〜900件の間を推移している。
これまで、繁華街で声をかけられる「スカウト」をきっかけとしたトラブルが多く見られたが、近年はそれに加えて、SNSで知り合った人から声をかけられたり、インターネットやSNSの募集広告を通じて、自分から連絡をとったことがきっかけにトラブルに巻き込まれるケースが増えている傾向にあるという。
相談内容は、芸能事務所のオーディションに申し込んで合格したが、同じグループの養成教室に通うため50〜100万円の高額契約を結ばされたというケースや、ネットで見つけたモデル事務所(絵画モデル、パーツモデル)に応募して面接を受けたところ、「AVに出演しないか」と勧誘されたケースなどがあった。
担当者は「トラブルに巻き込まれるきっかけが、多様化しています。自分が選んだものでも、トラブルにあう可能性があります。『街で声をかけられてもついていかなくてもいい』『自分で選んでいるから大丈夫』と思いがちですが、身を守るためにご相談してください」と警鐘を鳴らした。
今回の国民生活センターの呼びかけの中で、「アダルト関連の出演を強要されるなどした場合には警察に相談しましょう」という文言もある。相談情報部の担当者によると、タレントになるつもりで連絡しているのに、フタをあけたらアダルトビデオに出演しないかと勧誘されているケースが複数件あり、そのなかには実際に「AV出演を強要された」という相談事例があったという。
●ヒューマンライツ・ナウ「消費者被害と共通性がある」
AV出演強要をめぐっては、NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)が今年3月、被害をまとめた報告書を発表した。消費者庁にも「無知や困惑に乗じて契約締結に至って被害が生じるという点で消費者被害と共通性がある」などとして、被害の防止の対策をとるよう要望していた。国民生活センターによると、今回の呼びかけの背景の一つには、この要望もあるという。
HRN事務局長の伊藤和子弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「国民生活センターにずっと働きかけて来たことが実り、AV出演強要に関するリリースを出していただきました。ずっと、『せめて消費者被害並みの保護を』と訴えてきましたが、消費者並みの保護の重要な第一歩が踏み出されたことをうれしく思います」と述べた。
さらに、「被害を防止するための啓発として重要であるとともに、AV強要被害にあった人にも消費相談センターに相談することを呼びかけている点が注目されます。困ったら消費相談センターに相談すればいいというのは被害の只中にある人にとって心強いと思います」と今回の国民生活センターの呼びかけの意義を語った。