ヒューマンライツ・ナウは、11月25日にアムネスティ・インターナショナル日本、秘密保護法対策弁護団代表とともに、表現の自由に関する国連特別報告者・日本公式訪問の延期に関するNGO共同記者会見を開催しました。
表現の自由に関する国連特別報告者が12月1日から8日まで日本を公式訪問し、調査する予定でしたが、日本政府からの要請により延期となりまし た。
特別報告者であるディビッド・ケイ氏の公式コメントによれば、10月時点ではすでに日本政府と日本公式訪問についての合意はできており、その目的 は、特定秘密保護法をはじめとする日本の表現の自由に関する調査を行い、日本政府に対して改善に向けての勧告を行うことでした。
突然の延期決定を受け、ケイ氏への情報提供の機会を準備していたNGO共同で、11月25日に記者会見を行い、多くのメディア、市民団体の方が参加されました。
記者会見の前には、外務省を訪問し、岸田文雄 外務大臣宛の要請書を提出し、出来るだけ早期の調査受け入れを要請するとともに、延期決定 の経緯をヒアリングしました。
ヒアリングにおいて、来年の秋以降への延期の理由は何か、という問いに対し、外務省側からは、国会の会期中だと、関係省庁の対応が流動的であり、政府の政策を説明するための充分な人員が用意できないため、と回答がありました。また、今後も特別報告制度を全面的にサポートしていく姿勢に変わりはない、デビット・ケイ氏の訪問希望に対して日程調整を進めていくとの事です。
NGO側としては、本年10月時点でケイ氏の12月公式訪問に対して招待を行ったにも関わらず、政府関係者との調整を理由にこれを延期することは極めて異例のことであり、二度と繰り返されてはならないと考えています。また、特に今回の訪問は、広く知る権利・表現の自由に関わることであり、日本政府は延期理由を広く日本国内において十分に説明するとともに、国際社会に対しても十分に説明して説明責任を果たす必要があると考えます。
また、今回の決定は、日本政府の国際人権基準を軽視する姿勢の表れと国際社会から受け止められ、結果として、日本は国内の人権問題を改善する意思が欠如しているとみなされる可能性があります。このような不名誉な事態を避けるために、日本政府は、表現の自由の国連特別報告者の公式訪問を、来年の前半中のできる限り早い時期に実現を要請しています。
<記者会見 スピーカーリスト>
川上 園子氏 (公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本 )
海渡 雄一氏 (秘密保護法対策弁護団代表)
伊藤 和子氏 (ヒューマンライツ・ナウ事務局長・弁護士)
<メディア掲載>
朝日新聞: 「表現の自由」調査の延期、弁護士ら批判 外務省に要請 http://www.asahi.com/articles/ASHCT51J4HCTUTFK005.html(2015年11月26日)
TBS: 国連「表現の自由」調査に日本政府が延期要請、特別報告者は? http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2644613.html
東京新聞:国連調査 早期実現を 「表現の自由」延期でNGO http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015112602000155.html (2015年11月26朝刊)
◎国連特別報告者とは?
特別報告者は、国連の人権理事会に任命された独立した専門家であり、国や特定の人権テーマについて調査し理事会に報告する役割を持つ。国連人権理 事会の特別手続きの一環。表現の自由に関する特別報告者の正式名称はUN Special Rapporteur on the Right to Freedom of Opinion and Expression。
ディビッド・ケイ氏は2014年8月に任命された。詳細は:
http://www.ohchr.org/EN/ISSUES/FREEDOMOPINION/Pages/OpinionIndex.aspx