1. 中国の著名な人権派弁護士である浦志強氏が騒動挑発罪の容疑で北京市公安局に拘束されたことが5月6日までに判明した。浦志強弁護士ら十数名の学者、弁護士、作家らは、1989年6月4日の天安門事件から25年となる6月4日を前に、北京市内で勉強会を開催、事件の真相究明を要求していた。
浦志強氏はその翌日の4日夜、自宅から北京市公安局に連行され、6日には刑事拘禁処分とされ、北京市第一看守所に拘束されている。
研究会参加者の改革派知識人のうち、多くが当局の事情聴取を受け、少なくとも徐友漁氏、郝建氏、胡石根氏、劉荻氏も同じ容疑で拘禁されていると伝えられている。
2.浦志強氏は、中国で最も影響力を持つ人権派弁護士の一人であり、多くの人権問題に関わる訴訟を担当し、法の支配と言論の自由を一貫して唱えてきた。労働教養制度の違法性を訴え続け、昨年末には中国指導部も同制度を廃止した。ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は今年2月、東京に浦志強氏を招き、氏の講演会を開催したが、大雪という悪天候にも関わらず、多くの聴衆が集まり、そのたゆまぬ信念と行動力に大きな共感が広がった。浦志強氏は、法に基づく国家と社会をつくるために、多大な努力を続けてきた。
浦氏らに対する今回の拘束は、集会・言論の自由の保障など、国際的に確立された人権基準から到底容認できない。中国憲法の第二章35条にも「中国の公民は言論、出版、集会、結社、デモ行進、抗議の自由を有する」との規定が置かれている。また、今回のように過去の人権侵害行為に関する歴史的検証を提起した知識人を拘束する行為は、事件の検証そのものを政府が行わないどころか、市民の間での議論する封殺する動きであり、極めて遺憾である。
3.HRNは、中国政府に対し、国際的な人権基準に基づき、浦志強氏ら、5月3日の集会参加者を早期に釈放することを求める。また、糖尿病の持病を抱える浦志強氏の健康の保障を含め、今回拘束された全員に対する人道的取扱い、弁護士による接見など、国際人権法上確立された権利を保障することを求める。