【活動報告】NPO法人夢ネット大船渡とともに、無料法律相談会実施

 ヒューマンライツ・ナウは、昨年の震災3ヶ月後から岩手・福島に弁護士を派遣し、被災者の方々に向けた無料法律相談会を実施してきました。昨年10月からは、場所を大船渡に移し、現地で復興に取り組んでいる「NPO法人夢ネット大船渡」にご協力いただき、月二回のペースで無料法律相談会を行っています。

 

 拠点となるのは、津波の影響により運休している三陸鉄道・南リアス線盛駅の駅舎。電車は止まってしまっており、一度は人が姿を消してしまった駅ですが、夢ネット大船渡により、大切なコミュニティの拠点「三鉄盛駅ふれあい待合室」へと生まれ変わりました。ユニークで魅力的なイベントが多数開催されている「ふれあい待合室」は、地域の方々・観光客が集まり笑顔が生まれる、復興への人と人との繋がりに大きな力を感じることができる場所です。

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 しかし、15ヶ月がたった今も、復興とはほど遠いのが現状であり、ふれあい待合室に訪れる方々の笑顔の裏うらにも、日々直面している苦悩があります。ヒューマンライツ・ナウは、法律の専門的知識を活かし、こうした人々の苦悩を少しでも減らし、復興へのお手伝いができるよう、無料法律相談会を実施してきました。

 

 8月4日(土)・5日(日)に行われた無料法律相談会を含め、大船渡での開催回数は20回を数え、合計相談件数は150件を超えました。一口に「被災」と言っても、その環境・状況は人によって様々であり、土地所有権、二重ローン、離婚、相続問題等、相談内容は多岐に渡ります。男女問わず、幅広い世代の方々が、「被災」を中心として広がる多様な法律に関する悩みの相談に来られています。

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 一人30分の予約制で実施していますが、相談者の人数に応じた相談時間の延長や、会場へ来るのが難しい方に配慮し、こちらから仮設住宅を訪問するなど、被災者ひとりひとりのニーズに合わせた法律相談を行っています。相談された方々は一様に、「ほっとした」「安心できた」と述べられて、笑顔で帰られるのが印象的です。

 

 「被災者生活再生支援金」や「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」といった、被災された方々に対する法的支援制度の周知が徹底されていないなど、現地の法律に関連する課題は数多くあります。また、被災してからの時間が経過し、仮設住宅での生活が長くなるにつれ、新たな悩みや不安も生まれているようです。ヒューマンライツ・ナウは、長期的視野に立って法律相談を続け、真の「復興・立て直し」が一日も早く実現するよう今後も支援を継続していく予定です。

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