【世界の人権・アメリカ】 2009/08/25 国連人権担当トップ、CIAの人権侵害疑惑に対する米国調査を歓迎

2009825日 午後1時 ニューヨーク)

  国連人権高等弁務官ナヴィ・ピレイ氏は、米国司法長官が、米国中央情報局(CIA)局員らとその請負業者らが、グアンタナモ米軍基地も含め米国外において実施した取調べにおいて、米国法を犯したか否かを調査するため特別検察官を任命するという決定を下したことに対し、歓迎の意を表した。

 

 「私は、米国政府が予備調査開始という責任ある判断をしたことを、心から歓迎する。」と、ピレイ氏は述べた。「私は、グアンタナモ米軍基地やその他米国が運営する収容所の、過去および現在の被収容者らから申し立てられた様々な人権侵害に対する調査が迅速に行われ、もしそれらが確認された場合、次の段階において、法を犯したものが誰であろうとその説明責任が果たされることを期待する。」

 

 ピレイ氏は、ピレイ氏の懸念事項は当初から「被収容者に対する拷問やその他違法な取扱いは、それが米国内であろうと世界のどこであろうと免責されるべきではない。いま我々はグアンタナモ米軍基地で起きたことの一部を知っており、また、イラクのアブ・グレイブ収容所やアフガニスタンのバグラム空軍基地といった施設で起きたことについては、より少ない情報であるにせよその一部を知っているが、我々は今も秘密収容施設と、そこで何が起きていたのかについて、一層の透明性を必要としている」ことであると述べた。

 

  ピレイ氏は、秘密収容施設の使用は控えなければならないと述べ、これらの収容施設に現在収容されている者の氏名を公開するよう要請した。「秘密主義は、この種の拘禁体制の問題の主要な部分となってきた。」と、彼女は言った。「看守と取調官は、自分たちには外部から監視されず、人権保護のための法的な仕組みも回避し得ると考えたとき、法はあまりにたやすく無視されてしまう。」

 

  高等弁務官は、2002年に収容され、当時わずか12歳だったかもしれない、アフガニスタン人のモハメド・ジャワドを解放するという決定についても、同様に称えた。彼に対する嫌疑のほとんどにについて認められないとする法的判断が2008年に下されており、先月、米国の連邦地方裁判所は彼をグアンタナモから解放するよう命じた。

 

 「私は、月曜日にモハメド・ジャワドがアフガニスタンの家族のもとに戻ることを許されたことに対し、喜びを感じている。」と、ピレイ氏は述べた。「常軌を逸した長い時間を要したが、米国の司法システムは ― ひとたび、彼の案件に関して適切に機能することができるようになった後には ― 最終的には正義をもたらしてくれたと思っている。」

 

  とはいえ、「ジャワドのケースでも、また同様に、嫌疑をもたれた罪が1つも証明されていなかったり、拷問されたり、その他の不法な扱いを受けながら、受忍し難い長い期間にわたって収容されたその他の人々にも、補償とその他の救済措置が不可欠である。ただ単に、間違った時に間違った場所にいたというだけで、人生のうち7年間を奪われ、そこでの経験から心理的・肉体的あるいは経済的に深刻な傷を負わされた可能性のある人達がいる。」と、彼女は付け加えた。

 

  ピレイ氏は、グアンタナモ収容所を2010年までに閉鎖するというバラク・オバマ米国大統領の公約を支持することを改めて述べ、またオバマ大統領に、アフガニスタンのバグラム空軍基地の被収容者の状況を緊急調査するよう求めた。

 

“UN HUMAN RIGHTS CHIEF WELCOMES US INVESTIGATION INTO ALLEGED CIA ABUSES”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=31846&Cr=torture&Cr1