【世界の人権・スリランカ】2007/12/28 反政府軍や分派が、子ども兵の徴集をまだ続けている:国連事務総長

(20071228)

本日発表された新しいレポートの中で、潘基文事務総長は、スリランカの分離主義派タミルの虎反政府軍と、TMVPカルナ派として知られる分派は、凄惨な内戦で兵士として戦わせるために、少年を誘拐(拉致)し続けている、と述べている。

 

2006111日から2007914日の期間をあつかう20ページのこのレポートは、「この2つのグループは、子どもの誘拐、徴集、利用を停止していない。」と指摘している。

 

潘氏のレポートの記述によれば、タミル・イーラム解放の虎(LTTE)と、LTTEから分かれ現在は政府軍を援護しているTMVPカルナ派は、「彼らの軍隊に関わったすべての子どもたちをいまだ解放しておらず、また子どもたちの解放とその検証のための透明性ある手続きに参加していない。」 例えば、監視・報告のための国連タスク・フォースが、両派のコントロール下にある軍事拠点に自由にアクセスすることを認めていない。

 

UNICEFが受けた報告によると、2006111日から2007831日の間で、262人の子どもがLTTEに徴集され、そのうち32人は再徴集であった。その前の12ヶ月には、756人が徴集されたと報告され、97人が再徴集だったことに比べると、顕著な減少である。

 

UNICEFと、LTTEの子ども徴集問題を扱う部門『子ども保護局』との間では、対話に一定の進展があったが、いくつかの困難な問題がある。例えばLTTEが、(当時)17才未満の、19901月以降に生まれた子どもたちだけが解放の対象だと主張していたことだ。これは、徴集の年令制限を18才以上と定めている、国際的基準、国内基準の両方を無視している。

 

一方、UNICEFによると、TMVPカルナ派が、2006111日から2007831日の間に徴集した子どもたちの数は207人で、その前の12ヶ月が193人であったのに対し、増加している。

 

今回のレポートによると、「当初、行動計画への取組みを見せたにもかかわらず、TMVPカルナ派は、幾度となく不誠実な行動を示してきた。国連をバティカロアの偽の訓練所に案内したり、UNICEF立ち会いのもとで解放した子どもたちを、数日のうちに再徴集したりしたのである。」

 

20079月現在、TMVPカルナ派は、子どもの徴集停止について全面的な順守の姿勢を示しておらず、彼らのもとにいる子どもたちをすべて解放するに至っていない。」とレポートは述べている。

 

20074月にスリランカ政府が、子どもと武力紛争に関する特別タスク・フォースを設立したことについて、潘氏は評価を示し、武装グループによる誘拐や少年兵徴集を防ぐための対策をとるように、また現在の少年兵の解放を確実にするように、当局に求めた。

 

潘氏は、前回のレポートで、平和と少年兵の徴集停止を訴えており、各派に対して、同レポートの勧告に従うよう、強く求めた。

 

この前レポートはまた、「学校、病院、宗教施設を、紛争地域の『安全地帯』として、それらの中立と安全を認知し、維持することを約束する」よう、全ての当事者に求めていた。

 

“Sri Lankan rebels, breakaway faction still recruiting child soldiers – Ban Ki-moon”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=25179&Cr=sri&Cr1=lanka#