【世界の人権:カンボジア】 2010/06/17 国連人権専門家がカンボジア司法制度の強化を要請

2010617日) 本日、国連独立専門家は、依然として司法制度にあまりに多くの欠陥が存在していると述べた上で、カンボジア各機関に同国の司法制度の強化と人権改善を要請した。

 

「刑事司法制度における各種の欠陥により、憂慮すべき多数の人々が拘束されており、誤審例はあまりにも数が多い」と、カンボジアの人権状況に関する国連特別報告者のスリア・プラサド・スベディ氏は10日間にわたる事実調査活動の最終日に警鐘を鳴らした。

 

「私は、カンボジアの全ての人々に対し法の正義をもたらすにふさわしい制度として司法を機能させるよう、司法の独立性および能力を強化する適切な措置を導入することを、カンボジア王国政府に強く求める」とプレスリリースで述べた。

 

カンボジアの司法制度は、市民、特に貧困層及び疎外された人々にとって公正な裁きを行う場面で、大きな課題に直面していると、国連専門家は結論付けた。

 

彼は、表現の自由を保護するにあたっての司法の役割に関連する具体的な懸念、そして、「ジャーナリスト・人権活動家・政敵に対して名誉毀損・虚報・扇動の責任を追及する訴訟の過剰な利用により、」社会で批判的論争をする政治的自由が限られてきていることに関する懸念を挙げた。

 

他の主要な懸念は、土地関連の権利にかかわる事案であった。「もしあなたが貧しく、弱く、自分の土地を奪われる場合、現存の行政上の土地管理制度又は裁判所によって救済を得るチャンスは限られているだろう」とスベディ氏は述べた。

 

特別報告者は、司法制度の強化を目的とした一連の新しい法律の採択を歓迎した。

 

しかし、「司法制度の実務において、適切な(人的・物的)リソースの不足・組織的および制度的欠陥・関連する人権基準についての十分な認識の不足・財政上のあるいはその他の形での外部からの干渉、といったことが組み合わさり、さまざまな階層の人々からの信頼を得られない原因となっている」と、彼は警鐘を鳴らした。

 

滞在中にノロドム・シハモニ国王及び政府や司法の関係者と会談したスベディ氏は、司法を強化し、人権状況を改善するために対策を押し進めるよう政府を促し、その努力に対する支援を申し出た。

 

9月に彼はジュネーブの国連人権理事会に対し、カンボジアの司法改革のための勧告を含めた報告を提出する。

 

“UN human rights expert urges strengthening of Cambodian justice system”

http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=35052