【世界の人権・ネパール】2007/09/21 国連人権担当官がネパール中南部での殺人と暴力を調査

(2007年9月21日)

地方の指導者の死亡事件以来、この1週間、暴力行為、殺人その他の残虐行為が報告されているネパール中南部で、国連人権監視団による調査が行われている。

新任の国連人権高等弁務官ネパール代表リチャード・ベネットは、本日カトマンズでの記者会見で、監視団は「この一週間の悲劇的な出来事について徹底した調査を行うために、必要なだけ長く滞在するだろう」と伝えた。
http://www.ohchr.org/english/countries/np/index.htm

 監視団はUNMIN(国連ネパール政治派遣団)
http://www.un.org/apps/news/infocusRel. asp?infocusID=126&Body=Nepal&Body1= )の担当官と共同で任務にあたり、この地方の指導者であったモヒット・カーンが先週殺された、カピルバストゥ周辺の状況を調査する。

 この殺害事件の後に暴力行為が巻き起こる中、警官の死亡者があった。ベネットは、「この数日で、多数の殺人とさまざまな残虐行為が、犠牲者を出しているという報告がある。」と述べた。

 ベネットはカピルバストゥを今週訪れており、地域住民は先週の最初の殺人の後、政府が何の対応もしなかったとし、そのことに不満を募らせていると伝えた。暴力事件によって、多くの住民が避難を余儀なくされ、何の人道的救済措置も受けていない。法と秩序が取り戻されてない地域もある。

 「今日のネパールでは、公共の治安が不十分であることが、人権、そして平和移行のために、疑いもなく、最大の課題の一つとなっている。」とベネットは指摘する。複数の地域において武装集団と治安部隊の双方による暴力行為があるため、11月に予定されている制憲議会選挙が、自由で公正に行えるか、危うくなっていると同氏は憂慮する。

 さらにベネットが同様に深刻な問題として指摘するのは、人権侵害や国際人道法違反を犯した者に対しての不処罰が蔓延しており、捜査すら全くされない犯罪も多いということだ。

 「不処罰をなくすには、法的枠組みの強化をさらに押し進めなければならない。」としてベネットは、ネパール政府に条約上の義務を果たすべく、さらに努力するよう要請した。

“UN human rights officials probe killings, violence in south-central Nepal” http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=23909&Cr=nepal&Cr1=