【イベント報告】2019年5月8日「AV出演強要 被害をなくすための法制化を求めて」院内集会

5月8日参議院議員会館で「AV出演強要 被害をなくすための法制化を求めて」という院内集会を開催しました。この院内集会は、特定非営利活動法人人身取引被害者サポートセンターライトハウスと特定非営利活動法人ポルノ被害と性暴力を考える会(ぱっぷす)、ヒューマンライツ・ナウの3団体主催で行われました。

 

新入生や新社会人の方が増える4月が予防・啓発月間となっており、様々な啓発活動が行われていますが、明確な被害者救済の法律がなく、多くの被害者が泣き寝入り、または自分でお金を支払って弁護士に相談し、動画の削除要請を行っている状況です。ライトハウスの藤原志帆子氏、ぱっぷす金尻カズナ氏、ヒューマンライツ・ナウ事務局長伊藤和子よりそれぞれの団体の取組みと現状、法整備化に向けた課題などを報告していただきました。

 

ライトハウス 藤原志帆子氏

まずライトハウスの藤原志帆子氏より、事例を中心に報告がありました。ある被害女性は奨学金を返すためにアルバイトを探していたところパーツモデルの広告を見つけ、面接に行ったところAV出演を勧められたそうです。断っても、同性代の女性が出てきて、身バレ(家族や友達にばれること)しない、私もAV女優をやっていたなど巧みに勧誘され、契約書にサインさせられました。動画が販売された直後、学生時代の知人から「AVによく似ている人が出ているけど、大丈夫?」と連絡があったそうです。誰にも相談できず最終的にライトハウスに相談に来られましたが、インターネット上に拡散された動画をすべて削除することは難しく、ご両親と一つ一つ確認しながら削除要請を行っています。このように、気軽なバイトとして面接に向かったらAV出演を半ば強制されるケースが多く、被害者の多くが社会的、精神的に追い込まれる現状があります。業界でも取組みが始まっていますが、限界があり、強制的に出演を刑罰化する法律が早急に必要であると訴えました。

 

ぱっぷす 金尻カズナ氏

次に、ぱっぷすの金尻カズナ氏より事例と共に被害の実態について報告がありました。AV出演強要被害の特徴として、AV作品は男性向けに作られ、配信されているため、被害女性が出演した作品がどのように拡散されているのかわからないということがあります。また、初めての場合は、5、6本の作品への出演が多く、撮影を続ける中でプロダクションなど制作側と一緒に作品を作っているという連帯感が生まれ、撮影に応じる中で「自ら望んで出演した、同意した」というようなイメージを持たれてしまうとのことです。被害女性が失業や失恋など「弱い状況」にある場合が多く、勧誘されやすい精神状況に追い込まれる傾向があるということです。また、動画の販売停止、配信停止については、トカゲのしっぽを切るようなことで、グローバル化も進み、世界中で動画か拡散されることも増えています。最後に、当事者の社会的不利益を考えると、働けなくなる、引きこもりになるなど経済的な損失も大きいと指摘されました。

 

ヒューマンライツ・ナウ 伊藤和子事務局長

最後にヒューマンライツ・ナウ事務局長伊藤和子より、法制化を目指すときの課題について報告がありました。ヒューマンライツ・ナウは2016年3月被害者の声を聞き、調査報告書を作成、発表しました。多くのメディアが問題を取り上げ、公明党、自民党を中心にプロジェクトチームも立ち上がりました。しかし、被害者救済を含む法整備はまだ進んでいません。被害者の多くは契約書の内容をよく理解しないままサインさせられ、出演を断ると多額の違約金を要求されるなど、出演を断れない現状があります。また、「強要」を明確に立証するのも困難で、派遣労働法の適用も難しいケースが多くあります。最近の事例として、都内警察署で「本番の性行為がないので、労働者派遣法は難しい」と言われたり、淫行勧誘罪で不起訴になるなど、「事件化」することが難しい状況が続いています。このような現状は被害者救済も難しく、一日も早い法整備が必要です。まずは、監督官庁を設置し、職業安定法・労働者派遣法の適用、違約金を定めることの禁止など包括的な被害防止・救済立法を求めたいと訴えました。

 

また、高瀬ひろみ議員、宮崎政久議員、福島みずほ議員、遠山清彦議員からそれぞれ挨拶を頂きました。

被害者が声をあげ始めた今、性犯罪の改正を含む法整備が一日も早く実現することを願うと共に、ヒューマンライツ・ナウはこれからも協力団体と協力してこの問題に取り組んでいきます。