【人権活動家】ヒューマンライツ・ナウが支援する活動家たち

世界には言論の自由、表現の自由が守られていない国がたくさんあります。声をあげただけで不当に拘束され、行方不明になり、拷問や禁固刑を受けている活動家がたくさんいます。ヒューマンライツ・ナウでは、これからもこれら活動家を支援していきます。

 

 

誰かが私の頭も激しく殴り始めた。他の者たちは暴言を浴びせていた。私は裁判所の一階の部屋に引きずられ、一人の警官にひざまずくよう命じられたが、私は拒否した。すると、彼らはまた私を殴り始めた」-王全璋-

2018年12月26日、中国の人権弁護士王全璋は、国家権力転覆罪で4年6か月の禁固刑を受けました。王弁護士は北京の弁護士事務所で、被害者支援や弁護士のトレーニングなどを行っており、同時に法輪功や不当な土地の没収、労働キャンプの被害者、刑務所内の虐待や政治犯のケースも多く担当していました。王弁護士の拘束は2015年7月9日から始まった人権活動家や人権弁護士の不当な拘束や尋問など「709事件」の一部です。王弁護士の妻も「709事件」で逮捕された弁護士や活動家の家族と同様に自宅軟禁され、王弁護士は自身で弁護士を選ぶ権利も与えられていません。

2017年5月までに「709事件」で拘束された活動家や弁護士のほとんどが釈放され、執行猶予の判決を受けていますが、王弁護士はまだ拘束されたままです。釈放された人たちによると拘束中、電気ショックや暴力などの拷問を受けたといいます。

中国当局の行為は、明らかに国際法の義務に違反しており、公平な裁判を受ける権利が与えられている世界人権宣言にある中国の国際的な義務にも違反しています。

王弁護士だけでなく、その家族も不当に拘束したり、自宅軟禁している中国当局の行為は許されるものではありません。ヒューマンライツ・ナウは、中国政府に対して、一連の行為を強く非難するとともに、王弁護士の釈放と刑法の見直しを強く求めています。

 

 

あなたの国では平和を求めることは犯罪ではないかもしれない。しかし、わたしの国では犯罪です。当局は若者の声を聞かず国中で彼らを拘束しています。だから、わたしはあなたに、その自由を使って私たちを助けてくれるようお願いします。拘束された友人たちが平和を求められるよう自由になることを」ーラム・ザワンー

2018年4月、ラム・ザワンと他2名の活動家がカチン紛争の停止と紛争地域の取り残された市民が安全に避難できるようミャンマー軍に求める声明を出したところ、名誉棄損罪で有罪判決を受けました。3人には6か月間の禁固刑と500,000チャットの支払いが命じられました。

ラム・ザワンはカチン州ミッチーナーで弁護士として活動しており、ヒューマンライツ・ナウが支援していたタイにあるPeace Law Academyの学生でもありました。2010年にミッチーナー大学で法学の学位を取得し、2016年にはアメリカ、テキサス州ダラスのジョージ・W・ブッシュ・インスティテュートでフェローもしていました。

彼は仲間と共に2011年から続くKachin Independence ForceとTatmadawの間の紛争で国内避難民となった市民への人道支援を訴えています。紛争地域に取り残された2000人の市民へ人道支援は届いておらず、飢えなど深刻な状況に陥っています。

ラム・ザワンら3人の逮捕は不当であり、ミャンマー憲法と国際人権法で定められている表現の自由にも違反するものです。国連人権理事会も、当局は名誉棄損罪などで市民の言論の自由を制限してはならないとしています。

ミャンマーの完全な民主化には人権活動家の存在は不可欠で、不当な逮捕や表現・言論の自由の制限などを行う法律の改正が必要です。

ヒューマンライツ・ナウはミャンマー政府に対して、3人の活動家の釈放と表現の自由を守り、法律の改正を強く求めています。

 

 

私たちは国家に対して何も有害なことはしていない。犯罪も犯していない。それでも、彼らは私たちに有罪判決を下した。これは私たちの国の民主主義とメディアの自由に対しての挑戦だ。私たちはこの状況にできる限り冷静に向き合う。何もしていなのだから、恐れることはない」ーWa Loneー

2019年1月11日、ロイター通信記者のWa LoneとKyaw Soe Ooの2人は7年間の禁固刑を受けた後、ヤンゴン高裁に上告しましたが、棄却されました。二人は最高裁に上告しようとしています。逮捕されたとき、2人はミャンマーの武装組織Tatmadawによるロヒンギャ住民の虐殺(イン・ディン虐殺)を取材していました。ミャンマーの情報省は、2人が海外メディアに共有するために不正に情報を得ていたと主張しています。また、逮捕時に武器のリストなど公式書類を持っていたとしています。しかし、大佐など証言者は、この2人の記者が敵や武力組織のために活動しているという明確な証拠を提出することができませんでした。

ミャンマーでは、ロヒンギャに関する取材などは「犯罪」とされ、多くのジャーナリストや記者が拘束されています。

この2人の逮捕は、国際人権法などで定められている表現の自由や言論の自由に違反するもので、許されるものではありません。ジャーナリストの言論の自由と表現の自由は、基本的な人権であり、いかなる理由があっても個人からはく奪されてよいものではありません。ヒューマンライツ・ナウはミャンマー政府に対して、2人の釈放を強く求めています。