日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の2024年ノーベル平和賞受賞の報に接し、ヒューマンライツ・ナウはこれをお祝いし、多年の献身努力に心より敬意を表します。
選考委員会の発表の通り、日本被団協は、ヒロシマ・ナガサキの被爆者の方々の草の根運動に起源を持ち、体験を語ることによる苦痛や困難をも厭わずに発せられる証言を通じて、核兵器の非人道性と恐ろしさを世界に訴え、すべての被爆者に対する国家補償を求めてこられました。その声は、第三の原爆投下を止める力となり、2021年に発効した核兵器禁止条約(TPNW)の成立においても、大きな役割を果たされました。
核兵器は地球規模の壊滅的影響を与え、一瞬にして多数の人々の生命を奪い、生き残った人々やその次の世代にも、生涯にわたる耐え難い苦痛を強いるもので、究極の人権侵害をもたらす兵器です。このことを国際社会共通の認識にしなくてはなりません。
唯一の戦争被爆国である日本として、政府は、日本の安全保障を米国の「核の傘」に頼る核抑止力依存の立場を抜本的に改め、今こそ被爆者のメッセージに真摯に耳を傾けて、核兵器禁止条約に加わり、核兵器廃絶の先頭に立つべきです。また、石破首相が自民党総裁選において言及した、米国の核兵器を日本で運用する「核共有」は、10月12日の記者会見で日本被団協代表委員が厳しく批判したように、核廃絶を目指すこととは真逆の間違った方向性であり、到底許されません。
この度のノーベル平和賞を核兵器使用のリスクが高まる昨今の国際情勢への警鐘と受け止め、核兵器を一切使用してはならないのはもちろんのこと、特に武力による威嚇や武力の行使を今なお続ける国々の政府に対して、戦火に晒されている人々の基本的人権がこれ以上蹂躙されることのないよう、平和の実現の道を進むことを強く求めます。そして核保有国とその同盟国に対し、核兵器の威嚇と核抑止力への依存を直ちにやめ、人類の生存を脅かす核兵器の廃絶に真摯に取り組むよう強く訴えます。
ヒューマンライツ・ナウ一同