【メディア】福島の母親と子どもが健康被害についてニューヨークで講演(2012/3/8The Mainichi Dairy News)

毎日新聞(英語版)に掲載された記事の仮訳をUPいたします。

Fukushima mothers, kids speak of health concerns at N.Y. event

【福島の母親と子どもが健康被害についてニューヨークで講演】

福島県出身の二人の母親とその子ども達がニューヨークにおいて、
東日本大震災に起因する原子力事故による自らの健康に対する
不安について、3月7日水曜に行われた講演で話をしました。
富塚千秋さんとその子どもの悠吏君、深川美子さんとその子どもの
凱聖君は、国連女性の地位委員会第56回会議の際に、日本のNGO
であるヒューマンライツ・ナウの主催で行われたイベントにおいて、
講演を行いました。
福島第一原子力発電所から58km離れた郡山市に家を構える、
富塚千秋さんは、インターネット上での放射能の潜在的危険性に
ついての多くの情報を見てから、放射能の子どもに対する影響が
とても心配になりました。
「私の家族はしばらくの間、避難することができませんでした。
私たちは、夜眠れず、吐き気や下痢に悩まされました」と、
彼女は語りました。更に、彼女の不安は、最初に起きたマグニ
チュード9の地震の後も続いた余震によって、悪化していきました。
郡山市は日本政府により定められた、原発から半径20km内である
避難指示区域に指定されていませんが、彼女とその息子は、夫が
仕事で滞在した神奈川県に自主的に避難することを決めました。
富塚さんは、政府からの支援が少ないことに不満を抱いています。
「政府には、福島に住む子ども達の命を軽視しないでもらいたい。
 子ども達が病気になってからでは遅いのだから」
「避難すればお父さんとは、そんなに会えなくなると、言われました。
 でも、避難してよかったと思っています。なぜなら、将来病気になる
 のは嫌だし、長生きして、お父さんとお母さんの不安を無くして
 あげたい」
と、彼女の息子悠吏君(10歳)は発言しました。
同じく郡山市から来た、深川凱聖君(7歳)は、現在東京の祖母の家に
住んでいます。
「チェルノブイリというところで、僕が生まれるずっと昔に、
 原子力発電所事故があったと聞きました。そして、出てしまった
 放射能のせいで、病気になってしまった人がいたことや、先天性異常の
 子どもが生まれたということも知りました。
 なぜ大人たちは、外国でそのような悲惨な事故が起きたのを見ていながら、
 自分の国でも将来そのような事故が起こるかもしれないと考えなかったのか、
 不思議です。
 たくさんの人が地震からなんとか生き延びました。でもその人たちは
 今、放射能の危険にさらされ、自分たちの健康について不安を感じて
 います。そんな僕たちの存在を忘れないでほしい」
と、凱聖君は言いました。
日弁連の安藤ヨイ子さんは
「多くの避難所で女性にとって必要である授乳時や着替え時の際の、
 壁で囲まれたスペースや衛生用品が、決定的に無視されている」
と発言しました。
また、ヒューマンライツ・ナウの事務局長である伊藤和子さんは、
「福島原発事故後に外に放出された放射性物質は、特に児童や妊婦の
 健康に悪影響をもたらす。
 政府からの十分な財政的援助がなければ、避難することのできない
 多くの人達が、健康を脅かされる恐怖を抱きながらも、引き続き
 汚染された地域に住むことを余儀なくされている」
と発言しました。
政府は、避難指示区域の外側にある避難勧奨地域では、放射能レベルが
毎時20ミリシーベルトを超えなえれば、避難に対する援助をしないと
しています。しかし、この基準に使われている数値は高すぎる、
と伊藤和子さんは言います。
「私たちは、これは人権問題であり、生きる権利、健康への権利、
 生殖に関する健康の権利への重大な侵害であると考えている」と。
通常は、被ばく線量の許容線量は、年1ミリシーベルトとされています。
国際放射能防護委員会(ICRP)は、緊急時の限度値は、20~100ミリ
シーベルトにおかれるべきだとしています。
2012/3/8仮訳:ヒューマンライツ・ナウ
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