【イベント報告】11月29日開催「〜#ChildRightsNow 学んで語ろう、世界の子どもたちの今〜」

2020年11月29日、ヒューマンライツ・ナウは「世界子どもの日」を記念し、「〜#ChildRightsNow 学んで語ろう、世界の子どもたちの今〜」を開催いたしました。

オンラインでの開催ということもあり、全国から非常にたくさんの方々にご参加いただきました。ご参加頂いた皆様、誠にありがとうございました。

 

今回のイベントは、子どもの権利の実現と世界を取り巻く問題の解決のために何ができるのか、ということを中高生の皆さんに主体的に考えてもらうべく、年代を問わずご参加いただける講演中高生に限定したディスカッションの二部に分けて開催いたしました。

イベントに先立ち、ヒューマンライツ・ナウ理事長である青山学院大学法学の申惠丰教授より世界子どもの日の背景、また子どもの権利条約についてお話しいただきました。全ての子どもには自分に影響を及ぼす事柄について自らの意見を言う権利があることや、暴力や虐待から守られる権利があることを説明していただきました。

 

第一部の講演では、イラクで人道支援を行っている高遠菜穂子氏をお招きし、紛争下で生き育つ子どもたちの現状についてお話ししていただきました。

はじめに、高遠さんが活動されている中東のイラクについてご説明いただきました。様々な宗教、民族の人々が共存していることや、隣国からの難民も多く生活しているとのことでした。また、イラク戦争についてもお話しいただき、全てはイラクに関する誤情報が招いたものであったと高遠さんは語りました。米国がイラクのことをテロ支援国家と名指ししたり大量破壊兵器保有を疑ったりしたことにより、イラク戦争は多くの民間人を巻き込み貧困や死へと追い込んできたと説明がありました。

 

次に、イラクで生活する子どもたちの現状についてお話しいただきました。難民キャンプでは父親がイスラム国の戦闘員であったが故に「ISファミリー」という烙印が押され、母親共々帰還が困難となってしまった子どもたちが生活しているそうです。そして、その子どもたちの多くは、教育と医療の機会を奪われた中でトラウマを背負いながら生きているということが説明されました。

 

高遠さんは、日本で生活する私たちにもイラクの子どもたちのためにできることがあると強調されました。それは、正しい情報を見聞きし、現実から目を逸らさないということです。私たちの生活の中にはフェイクニュースや偏った報道などが多く存在します。それらを鵜呑みにせず、海外のニュースなど多数のメディア媒体から情報を得ることで偏った認識をなくすことが重要だと、高遠さんは語ります。このように様々な情報を吸収することでイラクの現状について深く考え、募金やボランティアなどの各々の一歩に繋げていくことが大切です。

 

高遠さんによるセミナーが行われた後、メキシコ大使館とベルギー大使館より頂いたビデオメッセージを上映いたしました。それぞれの大使館より、子どもの権利を守るために行われている活動についてご紹介いただきました。

第二部では、中高生の希望者だけを集めたグループディスカッションを行いました。参加者は5チームに分けられ、それぞれのチーム内で議論を行いました。ディスカッションのトピックは、高遠さんからのお話に基づき、「日本に住んでいる私たちとイラクの子どもたちや国籍のない子どもたちではどのような違いがあるか」というものでした。30分間という限られた時間の中で、それぞれのグループで様々な意見が飛び交いました。そして、最後には全体の前で各班が発表を行い、考えたことを高遠さんや他の参加者と共有し、フィードバックをもらいました。中には、当事者意識を持って自分たちにできることを発表する班もあり、高遠さんからのお話を元に参加者それぞれが今回のセミナーのテーマについて理解を深めることができました。

 

 

ディスカッションの後は、『第6回「世界子どもの日」映像スピーチコンテスト』の発表を行いました。

はじめに、審査員として、また入賞者のスピーチ指導を通して本スピーチコンテストに携わって下さったジャーナリストの堀潤氏からのビデオメッセージを上映いたしました。様々な社会問題に対して当事者意識を持って話しているスピーチが多く感銘を受けた、と今年のスピーチコンテストの紹介がありました。次に、優勝者、準優勝者の3名がスピーチを披露しました。画面越しではありましたが、それぞれの発表者の人権に対する熱い想いが伝わり、参加者一人ひとりの胸に響く素晴らしいスピーチでした。

スピーチコンテスト入賞者のスピーチはこちらからご覧いただけます

イベントの最後には、ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子事務局長より閉会の挨拶がありました。今回のイベントを通して生まれた「世界のために何か行動を取りたい」という想いを今後も持ち続けて、日々の勉学や将来の夢に繋げていって欲しいということを話しました。私たち一人ひとりの意志と行動こそが、様々な差別問題の改善や、平和な社会の実現につながるのではないでしょうか。