【声明】「中国の人権派弁護士・浦志強氏に対する起訴に深い憂慮を表明し、起訴の取消を求める声明」を発表しました

ヒューマンライツ・ナウは本日「中国の人権派弁護士・浦志強氏に対する起訴に深い憂慮を表明し、起訴の取消を求める声明」を発表しました。

全文とPDFをお知らせいたします。

浦志強氏声明20150529.pdf

中国の人権派弁護士・浦志強氏に対する起訴に深い憂慮を表明し、起訴の取消を求める。

 

1 東京を本拠とする国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、中国の著名な人権派弁護士である浦志強氏に対する起訴に対し、深い懸念を表明する。

 

2 浦弁護士は、1995年に弁護士資格を取得し、人権派の弁護士として地道な活動を続け、中国の「労働教養制度」の廃止に尽力した人物である。20145月、中国の著名な人権派弁護士の浦志強氏ら十数名は、天安門事件から25年となる64日を前に、事件の記憶を風化させまいと、北京市内の住宅で内輪の勉強会を開いた。しかし、集会の翌日、浦弁護士を含む集会参加者5人は、騒動を挑発したとして警察に連行された。その後、4人が保釈されたものの、浦氏だけは613日に騒動挑発罪と個人情報の不法取得罪の容疑で正式に逮捕された。既に、浦弁護士の拘束は、1年以上を経過し、健康状態の悪化が伝えられている。

 

3 浦氏の起訴状によれば、浦氏は、中国のソーシャルメディアである新浪微博に開設したアカウント(フォロワー数は約13万人)で、雲南省昆明暴力テロ事件などに関してコメントをしたことが、「民族の恨みを煽った罪」、同じく新浪微博に開設したアカウント(フォロワー数は約20万人)を使い、社会で話題になっている問題に関連し、個人を侮辱したことが「騒動を引き起こした罪」に問われている。いずれも、大量のネットユーザーが閲覧し、リツイートしたり、コメントしたりすることによって民族の団結が破壊されたり、社会に悪影響がもたらされたというのである。

ソーシャルメディアにおける言論活動や、政府やそれに近い人々に対する批判的言動が「民族の恨みを煽る」「騒動を引き起こす」などとして訴追・処罰するということそのものが、表現の自由の保障、罪刑法定主義など、国際的に確立された人権保障に照らし甚だ疑問である。中国憲法の第235条は「中国の公民は言論、出版、集会、結社、デモ行進、抗議の自由を有する」と規定しており、この規定に照らしても重大な問題がある。何より、ヒューマンライツ・ナウは、今回の起訴が、人権活動家である浦氏に対する、その表現活動や影響力を阻害するための中国政府による不当な攻撃としての訴追であると考える。

 

4 ヒューマンライツ・ナウは以上のとおり、浦氏の起訴に対し深い憂慮を表明し、以下のことを求める。

 

 第一に、検察当局に対し、熟慮のうえ、起訴を取り下げ、直ちに釈放することを求める。

 第二に、不当にも起訴が取り下げられない場合であっても、裁判は証拠に基づき、公正・公平・公開のもとに実施されなければならず、国際的に確立されたデュープロセスの保障が与えられるべきである。

 

 

以 上