【声明】ヒューマンライツ・ナウはガザにおける 民間人に対する攻撃の即時停止を要請する

ガザ攻撃 声明 [PDF]

1.東京を本拠とする国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、イスラエルとハマスの間で深刻化する武力紛争に深刻な懸念を表明する。とりわけ、ヒューマンライツ・ナウは、イスラエル軍のガザにおける無辜の市民に対する無差別攻撃を強く非難する。

 

「境界防衛」(Protective Edge)作戦が開始されてから、女性や子どもを含む多数の無辜の民間人が殺害されたと報告されている。この作戦は、イスラエルの10代の少年三名の殺害とこれに対する報復とみられるパレスチナの10代の少年への殺害後にハマスのロケット砲撃が増加したことに伴い、ロケット砲撃をやめさせるために開始されたとされる。しかし、作戦の結果は、一人の死者も出ていない砲撃に対し均衡性を著しく欠いている。

 

2201478日に始まった「境界防衛」(Protective
Edge
)作戦は、ガザ攻撃をエスカレートさせ、すでに多数の人々を犠牲にした。現地人権団体パレスチナ人権センターによると、イスラエル軍用機により9日の昼から10日にかけての24時間だけで、ガザ全域の民家、道路、軍事目的ではない施設などのほか、ハマスに関連した他の敷地にミサイル弾による空爆が300回ちかく行なわれている[1]。また、パレスチナ側の死者は少なくとも69人にのぼり、うち22人の女性と13人の子どもを含む60人が民間人であるというが[2]、国連によると死者数は89人とも報道されている[3]。また、同人権団体によると、火曜日からの負傷者の数は469人に達し、その半数が女性と子どもであるとされる。パレスチナ当局によると、負傷者は600人以上という情報もある。イスラエル軍が市民に対する攻撃をさらに激化し、ガザへの地上戦へと発展させることが深刻に懸念される。

 

イスラエル軍による攻撃の対象にはガザの民間人居住地域も含まれており、パレスチナ戦闘員のみに限定して攻撃をすることはほぼ不可能である。国際人道法に基づき、民間人は保護されなければならず、攻撃対象とされてはならない。ヒューマンライツ・ナウは、こうした国際法への違反は戦争犯罪等の国際犯罪に該当することを警告する。

 

3.国際社会はガザの無辜の市民を保護する責任を負う。2008年から2009年にかけてのガザ攻撃(Operation Cast Lead)に関して、ゴールドストーン調査団の勧告にも関わらず、何らの正義と説明責任の追及はなされず、イスラエルの重大な人権侵害に対する不処罰を国際社会は容認してきた。こうした状況はイスラエル軍によるパレスチナ市民への犯罪行為が繰り返されることを助けてきた。国際社会は今こそ、事態の悪化とこれ以上の民間人の犠牲を防ぐために行動しなければならない。

 

4.ヒューマンライツ・ナウは、紛争のすべての当事者に対し、いかなる軍事行動も即時停止するよう求める。とりわけ、イスラエル政府に対し、民間人・民用物攻撃を含むすべての国際人権・人道法違反行為を直ちに停止するよう求める。さらに、イスラエル政府に対し、ガザ地上戦をはじめとする軍事行動のいかなる拡大もしないよう求める。

ヒューマンライツ・ナウは国連人権理事会に対し、直ちに緊急会合を招集し、イスラエル政府に対し、人命の犠牲を発生させている軍事行動の即時停止を求める決議を採択するよう求める。

 

ヒューマンライツ・ナウは、国際社会に対し、国連調査団を速やかに発足して、イスラエル軍がパレスチナ市民に対して行った戦争犯罪が疑われるすべての行為を調査すると共に責任者を訴追する準備を進めるよう求める。国際社会は、ガザの無辜の市民を守るために行動すべきであり、イスラエルのさらなる軍事行動を停止させるためのすべての効果的な措置を採択すべきである。



[1] Palestinian
Centre for Human Rights (PCHR) http://www.pchrgaza.org/portal/en/index.php?option=com_content&view=article&id=10466:israeli-offensive-on-gaza-continues-69-palestinians-killed-of-whom-60-are-civilians-including-22-children-and-13-women-and-469-others-wounded-mostly-civilians-including-166-children-and-85-women-driver-of-press-vehicle-killed-70-houses-destroyed&catid=145:in-focushttps://www.un.org/sg/statements/index.asp?nid=7852

[2] Ibid.

[3]
https://www.un.org/sg/statements/index.asp?nid=7852